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【やさしく解説】固定資産の「償却」って何?〜社会福祉法人会計基準 第4条第2項より〜
社会福祉法人の会計に携わる皆さん、「減価償却(げんかしょうきゃく)」という言葉、よく目にしますよね。
今回は、社会福祉法人会計基準 第4条第2項に記載されている「固定資産の償却(減価償却)」について、わかりやすく解説します。
■ 条文をひもとく
社会福祉法人会計基準
(資産の評価)
第4条2 有形固定資産及び無形固定資産については、会計年度の末日(会計年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この条及び次条第二項において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。
社会福祉法人会計基準
これを簡単に言うと、
👉 建物やソフトウェアなどの固定資産は、年末などの区切りのタイミングで、適切に価値を減らす処理(=償却)をしなさい ということです。
■ なぜ償却が必要なの?
固定資産は、購入した時に一括で費用として処理するわけではありません。使っているうちに少しずつ価値が減っていくものだからです。
たとえば、500万円の車を買って10年間使うとしたら、毎年50万円ずつ価値が減っていくと考え、その分を「費用」として計上します。これが減価償却です。
法人の財務状況を正しく反映するためには、この償却の考え方がとても大切になります。
■ 「相当の償却」とは?
「相当の償却」とは、資産の種類や耐用年数などに応じて、適切な方法と金額で償却することを意味します。
例えば以下のような要素を踏まえます。
- 資産の種類(建物、車両、パソコンなど)
- 耐用年数(法令や法人の内規で定める)
- 残存価額(最後に残ると見込まれる価値)
このルールに沿って、会計年度末などの適切なタイミングで、資産の価値を会計帳簿上で減らしていくのです。
■ 「会計年度の末日以外」の場合とは?
条文では「会計年度の末日以外の日において評価すべき場合」とも書かれています。
これは例えば、資産を売却した日や、廃棄した日などが該当します。その日をもって、償却を行う必要があります。ようするに「その資産を使い終わった日」にはきちんと帳簿上の処理を済ませておきましょう、ということです。
■ 実務のポイント
- 償却漏れを防ぐ
→ 固定資産管理台帳をきちんと整備し、期末に忘れず処理。 - 耐用年数と償却終了時期の確認
→ 長年使っている資産の償却が終わっているか、確認を。 - 計算根拠の保存
→ 減価償却費の算出根拠は、監査や指導監査で確認されることもあります。 - 現物資産の確認(実査)
→ 減価償却を行っている固定資産が、現実に存在しているか、事業に使われているかについては、定期的に現物を確認して、固定資産管理台帳と実物が一致していることを確認することも大切な業務です。
■ まとめ
社会福祉法人の財務報告では、固定資産の償却は「見た目だけでなく、実態を反映した会計」を行ううえで重要なプロセスです。
毎年の会計年度末や、資産の除却・売却時には、必ず見直して処理を行いましょう。
📌 ポイント
固定資産の償却は「費用の平準化」と「資産価値の適正な把握」のために不可欠。社会福祉法人も企業と同様に、会計の基本をしっかり守りましょう。
社会福祉法人会計基準 第2条第1号 には、次のように定められています:
■ 国庫補助金等特別積立金の償却(取崩)
社会福祉法人の減価償却を確認する上で、忘れてならないのが。国庫補助金等特別積立の取崩しの会計処理です。
社会福祉法人の施設整備(固定資産の取得)では、補助金が交付される機会も多く、減価償却に対応させながら、補助金の取崩しを行う処理が求められています。
国庫補助金等特別積立金の会計処理については改めて掲載します。
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著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。