マツオカ会計事務所

未収補助金|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と実務のポイント

補助金

はじめに

未収補助金は、
社会福祉法人が行う事業や施設整備に関連して交付される補助金のうち、
すでに交付が見込まれているものの、まだ入金されていない金額を整理するための勘定科目です。

補助金は、
申請・完了報告・額の確定・交付という手続きを経て入金されるため、
事業が完了していても、年度末時点では未収となることが少なくありません。

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厚生労働省の勘定科目の説明

未収補助金
施設整備、設備整備及び事業に係る補助金等の未収額をいう。

出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

未収補助金は、
補助金として交付されることが制度上予定されており、
要件を満たしていれば受け取ることができる補助金が、
まだ入金されていない状態を表します。

社会福祉法人における補助金の特徴

社会福祉法人では、次のような補助金を受ける機会があります。

これらの補助金は、
公金(税金など)を原資として交付されるという点が共通しています。

そのため、
補助対象事業の適正な実施や、
交付申請・完了報告書類の正確な作成が強く求められます。

補助金の入金時期と未収補助金

補助金の入金時期は、
一般的に 補助対象事業が完了した後 になります。

多くの場合、

  1. 交付申請・交付決定
  2. 事業の実施・完了
  3. 完了報告の提出
  4. 補助金額の確定通知
  5. 補助金の交付

という流れを経て入金されます。

また、行政機関には
出納閉鎖期間(年度終了後から5月末頃まで) があるため、
年度内に事業が完了していても、
実際の入金が翌年度になるケースも少なくありません。

このような場合、
年度末時点では未収補助金として計上されることになります。

実務で気をつけたいポイント

① 事業の完了状況と対応づける

未収補助金を計上する際は、
補助対象事業がどこまで完了しているか を確認することが重要です。

こうした点を整理したうえで、
未収として計上する必要があります。

② 入金予定を把握しておく

未収補助金は、
制度や手続きに沿っていれば、
一定期間後に入金されることが見込まれる科目です。

そのため、

を把握しておくことで、
月次や決算時の確認がスムーズになります。

③ 長期化していないか確認する

補助金の入金が想定よりも遅れている場合には、

といった要因がないか、
一度確認しておくことが大切です。

まとめ

未収補助金は、
社会福祉法人に特有の実務が反映されやすい科目です。

こうした点を整理しておくことで、
月次・決算・監査のいずれの場面でも、
実務が安定しやすくなります。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。


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