はじめに
その他の流動資産は、
社会福祉法人の貸借対照表において、
他の流動資産の勘定科目には該当しない債権等 のうち、
貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金の期限が到来するもの を整理するための勘定科目です。
この科目は、
特定の内容を表すためのものではなく、
分類しきれない短期の資産を一時的にまとめるための受け皿的な科目
として位置づけられています。
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厚生労働省の勘定科目の説明
その他の流動資産
出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
下記(流動資産の各科目)に属さない債権等であって、
貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金の期限が到来するものをいう。
ただし、金額の大きいものについては独立の勘定科目を設けて処理することが望ましい。
この定義から読み取れるポイントは、
次の2点です。
- 他の流動資産科目に属さないこと
- 金額が大きい場合には、独立した科目を設けることが望ましいこと
その他の流動資産の位置づけ
その他の流動資産は、
あらかじめ内容が想定されている科目ではありません。
流動資産には、
- 現金及び預金
- 事業未収金
- 未収補助金
- 貯蔵品
- 前払費用
など、
具体的な内容を想定した勘定科目が設けられています。
それでもなお、
どの科目にも該当しない短期の債権等が生じた場合に、
補完的に用いられるのが
その他の流動資産 です。
「その他」に入れる際の判断の考え方
その他の流動資産として整理するためには、
次の条件を満たしている必要があります。
- 他の流動資産科目に該当しないこと
- 入金期限が1年以内であること
- 金額が比較的小さいこと
このうち、
金額が大きい場合には、独立した科目を設けることが望ましい
と明記されている点は重要です。
科目を独立させるべき場合
1件あたりの金額が小さくても、
- 同じ内容の取引が継続的に発生している
- 合計額として見たときに残高が大きくなっている
といった場合には、
「その他の流動資産」にまとめたままにせず、
内容を表す具体的な科目名を設ける方が望ましい と考えられます。
これは、
計算書類を読む立場の人にとって、
資産の内容が分かりにくくなることを避けるためです。
表示の分かりやすさという視点
貸借対照表において
「その他」という表記は、
どうしても内容をイメージしにくくなります。
例えば、
- 「その他の流動資産」が多額に計上されている場合
- その内訳が注記などでも十分に示されていない場合
計算書類を確認する側にとっては、
資産の内容を判断しにくくなります。
そのため、
分類が可能なものについては、
できるだけ具体的な科目名で表示することが望まれます。
会計処理上の注意点
その他の流動資産は、
あくまで 補助的な整理科目 です。
恒常的に多額の残高が計上されている場合には、
- 本来、別の科目に分類できないか
- 独立した科目を設けるべき内容ではないか
を、定期的に見直す必要があります。
まとめ
その他の流動資産は、
- 他の流動資産科目に該当しない短期の債権等を整理する科目であること
- 金額が大きい場合には独立した科目を設けることが望ましいこと
- 表示の分かりやすさの観点から、安易にまとめすぎないこと
これらを意識して整理することで、
計算書類の理解しやすさと、
会計処理の適切性を保ちやすくなります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。
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