はじめに
社会福祉法人が保有する固定資産は、
その性質に応じて 建物、構築物、機械及び装置、器具及び備品 などに区分されます。
このうち 構築物 は、
建物には該当しないものの、
土地に固着して設置され、
長期にわたって使用される資産を整理するための勘定科目です。
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厚生労働省の勘定科目の説明
構築物
建物以外の土地に固着している建造物をいう。出典
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う
会計処理等に関する運用上の留意事項について」
構築物
構築物に該当するかどうかは、
土地に固着しているか、
建物としての要件を満たすか
という点を基準に判断します。
建物と構築物の違い
構築物を理解するうえでは、
建物との違い を整理しておくことが重要です。
建物は、
- 基礎
- 柱
- 屋根
- 四方を囲む壁
といった要素を備え、
人が内部で活動する空間を持つものを指します。
これに対して、
構築物は、
- 基礎などにより土地に固着している
- 建物のような内部空間を持たない
- 屋外に設置され、独立して機能する
といった特徴を持つ資産です。
構築物に該当する資産
構築物として整理される資産には、
次のようなものがあります。
- 外構工事により設置された設備
- 駐輪場
- フェンスや塀
- 門扉
- ポール、ミラーなどの附属設備
いずれも、
建物には該当しないものの、
土地に固着し、
長期間使用される点が共通しています。
建物工事と一体で設置される場合の考え方
構築物は、
単独で設置される場合もありますが、
建物の新築や改修工事と一体で施工されることもあります。
その場合には、
- 建物部分
- 構築物部分
を、
見積書や工事内訳書の内容をもとに、
合理的な基準で区分・按分 して整理する必要があります。
すべてを建物としてまとめてしまうのではなく、
資産の性質に応じて適切に区分することが重要です。
構築物の取得価額
構築物の帳簿価額は、
次の考え方で整理します。
構築物の帳簿価額
= 構築物の取得に要した直接費用 + 付随費用
付随費用には、
設置工事に直接関連する費用など、
使用可能な状態にするために必要な支出が含まれます。
管理上の留意点
構築物は、
建物に比べて軽視されがちですが、
固定資産として管理が必要な資産です。
そのため、
- 建物と構築物の区分が適切か
- 固定資産管理台帳に正しく登録されているか
- 帳簿価額と実態が一致しているか
といった点を、
定期的に確認しておくことが重要です。
まとめ
構築物は、
- 建物以外で土地に固着している建造物であること
- 建物とは性質が異なる固定資産であること
- 建物工事と一体の場合には按分が必要になること
- 固定資産として適切な管理が求められること
これらを整理して理解しておくことで、
固定資産の区分や減価償却の場面でも、
落ち着いて対応しやすくなります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。
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