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厚生労働省の勘定科目の説明 短期運営資金借入金
短期運営資金借入金
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
経常経費に係る外部からの借入金で、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来するものをいう。
勘定科目説明の解説
預金残高と資金繰り
法人の決算日現在や毎月末の預金残高について、把握はできていても、日々同じ金額が口座の残高にあるとは限らないことを、誰もが知っていると思います。
通帳を見ると
支払いや入金があることで、日々お金は動き、残高は変わっていきますね。
今月たくさんの入金の予定があっても、その入金日より前に多額の支払いの予定があれば、お金が足りなくなることがあり得ます。
口座の残高の把握だけでなく、入出金のタイミングによってお金が足りなくなることがないか、確認をしておく必要があります。口座残高と入出金の管理をしていく、資金繰りの管理が大切になってきます。
例えば、こんな感じです。
(1)短期運営資金の借入前
日付 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|---|
前月繰越 | 100万円 | |||
〇月25日 | 給与の支給 | 130万円 | △30万円 | |
〇月27日 | 国保連から入金 | 150万円 | 120万円 | |
翌月繰越 | 120万円 |
表の上では、口座残高は、前月末で100万円、当月末で120万円あり、十分に口座残高が、あるように見えますが、実際には、25日の給与支給時に、お金が足りなくなっており、給与がお渡しできていない状況に陥っています。
(2)短期運営資金の借入後
そのため、以下のように、給与支給日までに、お金を確保しておく必要があります。
日付 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|---|
前月繰越 | 100万円 | |||
〇月20日 | 短期運営資金の借入 | 50万円 | 150万円 | |
〇月25日 | 給与の支給 | 130万円 | 20万円 | |
〇月27日 | 国保連から入金 | 150万円 | 170万円 | |
翌月繰越 | 170万円 |
このような場合に、短期運営資金の借入を行っていくことになります。
社会福祉法人の収入時期と支出時期の傾向
社会福祉法人への収入と支出の時期(入出金)については、支出(出金)が、収入(入金)より先行する傾向にあります。
区分 | 収入の取引 | 支出の取引 |
---|---|---|
発生 | 当月 | 当月 |
入出金の時期 | 翌月以降が多い (比較的遅め) | 当月または翌月以降 (比較的早め) |
取引の例 | 国保連からの入金(2か月後に入金) ご利用者の利用料(翌月以降に入金) 市町村からの入金(翌月以降が多い) | 職員給与(当月支払) 社会保険料など(翌月末など) 業者支払(翌月末など) |
福祉サービスの対価として受け入れる収入は、サービス提供月より遅れて入金される傾向があります。介護報酬など国保連からの入金は、サービス提供月から約2か月後ですね。
一方で、人件費のように、サービス提供月と同月にその月の給与を支給する法人さんも多いと思います。
業者支払なども、当月分を翌月末に支払うなど、
国保連からの収入時期より、支出の時期が先行する傾向があると言えます。
この場合に、先行する支払のための資金の確保が必要になります。
法人の規模が大きくなればなるほど、動くお金も大きくなりますね。
運転資金として必要になるお金も大きくなってきて、入金予定日や支払予定日の把握も重要な業務になってきますね。
社会福祉法人会計基準のポイント
短期運営資金借入金は、1年以内に返済される借入金のため、貸借対照表の流動負債に分類されています。
短期運営資金借入金の借入額(収入)や償還額(支出)は、資金収支計算書には反映されないことになります。
設備資金借入金や長期運営資金借入金とは、異なることに注意が必要です。
※資金収支計算書の計上科目
区分 | 借入時の科目 | 償還時の科目 |
---|---|---|
短期運営資金借入金 | - | - |
設備資金借入金 | 設備資金借入金収入 | 設備資金借入金元金償還支出 |
長期運営資金借入金 | 長期運営資金借入金収入 | 長期運営資金借入金元金償還支出 |
簡単な説明です
短期運営資金借入金
法人の事業運営のために短期的に借りたお金。一般的な表現では、運転資金のための借入金のイメージですね。短期とは1年以内に返す予定であったり、返済の期限が決まっていないものです。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
借入の手続きについて
法人内部での借入の承認手続きについては、こちらの記事へ
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勘定科目の解説の一覧
よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。
マツオカ会計事務所のストーリー
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。