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共通経費の配分方法

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質問の内容

共通経費の按分について、どのような基準で行うと良いでしょうか。

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共通経費の具体的な配分方法

科目ごとの共通経費の具体的な配分方法は下のようになっています。

具 体 的 な 科 目 及 び 配 分 方 法

種  類 想定される勘定科目 配 分 方 法
人件費(支出) ・職員給料(支出)
・職員賞与(支出)
・賞与引当金繰入
・非常勤職員給与(支出)
・退職給付費用(退職給付支出)
・法定福利費(支出)
勤務時間割合により区分。
(困難な場合は次の方法により配分)
・職種別人員配置割合
・看護・介護職員人員配置割合
・届出人員割合
・延利用者数割合
事業費(支出) ・介護用品費(支出)
・医薬品費(支出)
・診療・療養等材料費(支出)
・消耗器具備品費(支出)
各事業の消費金額により区分。
(困難な場合は次の方法により配分)
・延利用者数割合
 ・各事業別収入割合
・給食費(支出) 実際食数割合により区分。
(困難な場合は次の方法により配分)
・延利用者数割合
・各事業別収入割合
事務費(支出) ・福利厚生費(支出)
・職員被服費(支出)
・旅費交通費(支出)
・通信運搬費(支出)
・諸会費(支出)
・雑費(雑支出)
・渉外費(支出)
給与費割合により区分。
(困難な場合は延利用者数割合により配分)
・延利用者数割合
・職種別人員配置割合
・給与費割合
・事務消耗品費(支出)
・広報費(支出)
各事業の消費金額により区分。
(困難な場合は延利用者数割合により配分)
・会議費(支出) 会議内容により事業個別費として区分。
(困難な場合は延利用者数割合により配分)
・水道光熱費(支出) メーター等による測定割合により区分。
(困難な場合は建物床面積割合により配分)
・修繕費(支出) 建物修繕は、当該修繕部分により区分、建物修
繕以外は事業個別費として配分
(困難な場合は建物床面積割合で配分)
・賃借料(支出)
・土地建物賃借料(支出)
賃貸物件特にリース物件については、その物件
の使用割合により区分。
(困難な場合は建物床面積割合により配分)
・保険料(支出) ・建物床面積割合により配分
・自動車関係は送迎利用者数割合又は使用
高割合で、損害保険料等は延利用者数割
合により配分
・租税公課(支出) ・建物床面積割合により配分
・自動車関係は送迎利用者数割合又は使用
高割合で配分
・保守料(支出) 保守契約対象物件の設置場所等に基づき事業
個別費として区分。
(困難な場合は延利用者数割合により配分)
・業務委託費(支出)(寝具)

         (給食)

         (その他)
各事業の消費金額により区分。
(困難な場合は、延利用者数割合により配分)
・延利用者数割合
・実際食数割合
・建物床面積割合
・延利用者数割合
・研修研究費(支出)  研修内容等、目的、出席者等の実態に応じて、
事業個別費として区分。
(困難な場合は、延利用者数割合により配分)
減価償却費 ・建物、構築物等に係る減価償却費 建物床面積割合により区分。
(困難な場合は、延利用者数割合により配分)
・車輌運搬具、機械及び装置等に係る
減価償却費
使用高割合により区分。
(困難な場合は、延利用者数割合により配分)
・その他の有形固定資産、無形固定資
産に係る減価償却費
延利用者数割合により配分
徴収不能額 ・徴収不能額 各事業の個別発生金額により区分。
(困難な場合は、各事業別収入割合により配分)
徴収不能引当金
繰入
・徴収不能引当金繰入 事業ごとの債権金額に引当率を乗じた金額に基
づき区分。
(困難な場合は、延利用者数割合により配分)
支払利息(支出) ・支払利息(支出) 事業借入目的の借入金に対する期末残高割合
により区分。
(困難な場合は、次の方法により配分)
・借入金が主として土地建物の取得の場合は
建物床面積割合
・それ以外は、延利用者数割合

社会福祉法人会計基準の規定

共通経費の配分方法の根拠となる規定は、下のようになっています。

社会福祉法人会計基準

社会福祉法人会計基準では、共通経費の按分について、下のように定めています。

(資金収支計算の方法)
第十四条 資金収支計算は、当該会計年度における支払資金の増加及び減少に基づいて行うものとする。
2 資金収支計算を行うに当たっては、事業区分、拠点区分又はサービス区分ごとに、複数の区分に共通する収入及び支出を合理的な基準に基づいて当該区分に配分するものとする。

(事業活動計算の方法)
第二十条 事業活動計算は、当該会計年度における純資産の増減に基づいて行うものとする。
2 事業活動計算を行うに当たっては、事業区分、拠点区分又はサービス区分ごとに、複数の区分に共通する収益及び費用を合理的な基準に基づいて当該区分に配分するものとする。

社会福祉法人会計基準(平成二十八年厚生労働省令第七十九号)

厚生労働省通知

社会福祉法人会計基準の制定を受けて通知された2つの通知

「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて」

「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」

では、共通経費の按分について、以下のように示されています。

社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて

7 共通支出及び共通費用の配分について(会計基準省令第 14 条第2項、第 20 条第2項関係)

資金収支計算及び事業活動計算を行うに当たって、人件費、水道光熱費、減価償却費等、事業区分又は拠点区分又はサービス区分に共通する支出及び費用については、合理的な基準に基づいて配分することになるが、その配分基準は、支出及び費用の項目ごとに、その発生に最も密接に関連する量的基準(例えば、人数、時間、面積等による基準、又はこれらの2つ以上の要素を合わせた複合基準)を選択して適用する。

一度選択した配分基準は、状況の変化等により当該基準を適用することが不合理であると認められるようになった場合を除き、継続的に適用するものとする。

なお、共通する収入及び収益がある場合には、同様の取扱いをするものとする。

社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて

社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

13 共通支出及び費用の配分方法

(1)配分方法について
共通支出及び費用の具体的な科目及び配分方法は別添1のとおりとするが、これによりがたい場合は、実態に即した合理的な配分方法によることとして差し支えない。
また、科目が別添1に示すものにない場合は、適宜、類似の科目の考え方を基に配分して差し支えない。
なお、どのような配分方法を用いたか分かるように記録しておくことが必要である。

(2)事務費と事業費の科目の取扱について
「水道光熱費(支出)」、「燃料費(支出)」、「賃借料(支出)」、「保険料(支出)」については原則、事業費(支出)のみに計上できる。ただし、措置費、保育所運営費の弾力運用が認められないケースでは、事業費(支出)、事務費(支出)双方に計上するものとする。

社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

採用する配分基準

いったん採用した配分基準については、正当な理由なく、みだりに変更することはできません。

配分基準を決定する場合には、法人内部の規程にしたがって、適正な承認を受けましょう。

配分比率の定期的な確認

配分基準で用いる配分比率については、定期的に確認を行い、現状(実態)を反映した比率となっているか確認をしましょう。

(確認時期の例)毎年度、年度当初に確認と改定を行い、当年度について当該比率を用いる

配分基準及び配分比率の手続きの流れ

共通経費の把握
本部経費等の共通経費の有無や内容を確認する
配分基準の検討・決定
共通経費の取引の内容を基に、適切な配分基準を検討し、決定する
配分比率の決定
配分基準で使用する配分比率を計算する
配分基準及びの承認
決定した配分基準及び配分比率について、法人内部での承認を受ける(稟議書等の記録を残す)
配分の計算・仕訳
発生した費用について、配分比率を基に、配分を行う
配分比率の確認
使用する配分比率について、実態を反映するように定期的に確認、改定を行う。

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著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史 松岡弘巳

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。


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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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