マツオカ会計事務所

勘定科目の解説 事業活動計算書 事業費 医薬品費 社会福祉法人会計

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厚生労働省の勘定科目の説明 医薬品費

医薬品費
利用者のための施設内又は事業所内の医療に要する医薬品の費用をいう。ただし病院・介護老人保健施設・介護医療院以外ではこれらを保健衛生費に含めて良いものとする。

出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」

勘定科目説明の解説

費用科目の解説について

事業活動計算書の費用科目については、中区分の分類を用いながら小区分の科目を解説していきます。

医薬品費

今回、解説する勘定科目の体系は下のようになっています。

大区分中区分小区分
事業費医薬品費

大区分は、「事業費」です。
ご利用者の処遇に直接要する費用になります。

平成12年度に制定された(旧)社会福祉法人会計基準の科目説明には

大区分についても説明がありました。

事業費支出
利用者の処遇に直接要する費用をいう。

平成12年 社会福祉法人会計基準 事業活動収支計算書勘定科目の説明より

中区分は「医薬品費」です。

ご利用者さんのために施設内で用いる医療用の医薬品になります。

医薬品費の範囲

社会福祉法人が医薬品費に計上していく内容は、下のようになります。

NO.区   分
ご利用者のために用いられるもの
施設内又は事業所内の医療に要するもの
病院・介護老人保健施設・介護医療院以外では、医薬品費は「保健衛生費」に含めても良い
例外保育園では、「医薬品費」を用いずに、「保健衛生費」に計上する

① ご利用者のために用いられるもの

「医薬品費」に計上していくものは、ご利用者に提供される医薬品になります。

例えば、職員用に救急箱等を常備している医薬品は、医薬品費には、含まれません。

(職員のための常備薬等の購入費用は、一般的に「福利厚生費」を用います)

② 施設内又は事業所内の医療に要するもの

医薬品費に計上するものは、施設や事業所内で医療用に用いるものになります。

③ 病院・介護老人保健施設・介護医療院以外

病院・介護老人保健施設・介護医療院以外の施設、事業所で、ご利用者のために医薬品を用いる場合には、

「医薬品費」に計上せずに、保健衛生費に計上することもできます。

(例外)「保育園・特定教育・保育施設(認定こども園など)」の医薬品の科目

保育園や認定こども園等の特定教育・保育施設が用いる医薬品(費用及び支出)については、「保健衛生費」に計上していきます。

内閣府及び厚生労働省通知の

「子ども・子育て支援法附則第6条の規定による私立保育所に対する委託費の経理等について」の

別表6の科目として、「医薬品費」は明示されていないことから、「医薬品費」を用いずに

別表6に科目として明示されている「保健衛生費」に計上していくことになります。

25 計算書類の勘定科目及び注記について
(1)計算書類の勘定科目

また、計算書類の様式又は別添3に規定されている勘定科目においても、該当する取引が制度上認められていない事業種別では当該勘定科目を使用することができないものとする。

出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」

注意点 医薬品(貸借対照表・流動資産)の計上

医薬品費の注意点としては、決算において、貸借対照表の科目「医薬品」の計上を検討する必要があることです。

医薬品として購入したもののうち、決算日現在、未使用のものがあれば、棚卸しを行い、数量、金額を把握して、貸借対照表の科目「医薬品」に計上していきます。

決算日現在、されずに保管されている医薬品は、棚卸資産として貸借対照表に計上しておき、使用した時点で、費用(医薬品費)として計上するという考え方になります。

区 分当年度内に費消分
(使用済み分)
決算日現在、未使用分
利用者のために購入した医薬品医薬品費
(事業活動計算書・事業費)
医薬品
(貸借対照表・流動資産)

医薬品の計上と重要性の原則

社会福祉法人会計基準には、「重要性の原則」という考え方があります。

重要性の原則では、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理を行わずに、簡便な方法を採用することができます。

医薬品の金額や内容に、重要性が乏しい場合には、決算日現在の医薬品の未使用分についても、医薬品(流動資産)として計上せずに、医薬品費(費用)に計上する方法を採用することができると考えられます。

「医薬品」の重要性の原則の適用について 厚生労働省の見解

医薬品にも「重要性の原則」が適用されるどうかについて、厚生労働省の見解が平成23年のパブリックコメントの結果に記載されています。

(給食用材料についての回答になります)

ご意見回答(考え方)
給食用材料の計上について、現実的に給食用材料の棚卸は大変な手間を伴い困難ではないかと思う。また実際に多くはすぐに消費するものではないか。資産としての価値も低い。重要性に乏しく、計上しない選択もできるようにして欲しい。重要性の原則は全ての取り引きに適用されますので、実態に即してご判断いただいて結構です。
出典 「社会福祉法人新会計基準(案)に関する意見募集手続き(パブリックコメント)の結果について」

社会福祉法人会計基準の重要性の原則の規定

社会福祉法人会計基準

(会計原則)
第二条
一~三 略

四 重要性の乏しいものについては、会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができること。

社会福祉法人会計基準

簡単な説明です

マツオカ

医薬品費
施設、事業所でご利用者さんへ用いる医療用の医薬品の費用です。


科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。

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マツオカ会計事務所のストーリー

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。

(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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