マツオカ会計事務所

評議員会の招集通知|理事会での招集の決議・評議員会招集の通知方法・通知を省略する場合の注意点

理事会の招集通知

はじめに

社会福祉法人の運営では、理事会や評議員会を適切に開催することが
法人運営の透明性と法令遵守の基本になります。

特に評議員会の招集通知は、

本記事では、社会福祉法および一般法人法の規定に基づいて、
評議員会の招集通知に関する実務上の注意点を整理します。


本記事は、社会福祉法人会計を専門とする公認会計士・税理士が、法令や厚生労働省の通知に沿って、実務で起こりやすい論点を解説しています。

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評議員会の招集通知の基本

社会福祉法では、評議員会の招集について、次の5点が重要とされています。

No.要点
(1)評議員会の招集には理事会の決議が必要
(2)開催日の1週間前までに招集通知を発すること
(3)上記期間は定款で短縮可能(定款優先)
(4)書面の代わりに電磁的方法(メール等)で通知可(承諾必要)
(5)評議員全員の同意があれば招集手続の省略が可能

これらを順に見ていきます。


① 評議員会の招集のための理事会(事前決議)

評議員会を開催する際は、事前に理事会を開催し、評議員会の招集に関する決議を行う必要があります。

● 理事会で決議すべき内容

No.項目
評議員会の日時・開催場所
評議員会の目的(議題)
評議員会議案(概要)※議案未確定ならその旨

理事会議事録には、この内容が正しく記録されている必要があります。


② 招集通知を発する場合(期限・記録)

● 招集通知のルール

● 残しておくべき記録

No.内容
招集通知(控え)
発出日の記録(期限内に通知した証拠)
全評議員に発送した記録

事務局では「通知を出した/誰に送った/いつ送った」が第三者から見ても分かる状態にしておくことが大事です。


③ 電磁的方法(メール等)による通知

評議員全員の承諾があれば、書面の通知に代えて電磁的方法で通知することができます。

● 実務上のポイント


④ 招集通知を省略する場合(全評議員の同意)

評議員全員が同意した場合、
招集手続を経ずに評議員会を開催できます。

● 保管しておくべき書類

No.内容
全評議員の同意書
議事録への記載(同意があった旨)※望ましい

※欠席者がいる場合など、後で確認が必要になるため、同意書を必ず回収しておく方が安全です。


【重要】招集通知を省略しても「理事会の開催」は省略できない

厚労省の指導監査ガイドラインでは、次のように示されています。

・招集手続の省略は可能
・しかし「評議員会の日時・場所などを決定する理事会の決議」は省略できない

つまり、
招集を省略しても、理事会(事前決議)は絶対に必要
ということです。

指導監査ガイドライン:1 理事会は法令及び定款の定めに従って開催されているか。

○ なお、評議員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく評議員会を開催することができることとされており(法第45 条の9第10 項により準用される一般法人法第183 条)、この場合には招集の通知を省略できるが、評議員会の日時等に関する理事会の決議は省略できないことに留意するとともに、評議員全員の同意があったことが客観的に確認できる書類の保存が必要である。

出典:厚生労働省:指導監査ガイドライン「着眼点、指摘基準、確認書類」より


⑤ まとめ:指導監査で問われるポイント

監査では次の点が重点的に確認されます。

特に「記録の有無」「証跡の証明」が重要になります。

指導監査ガイドライン:1 理事会は法令及び定款の定めに従って開催されているか。

○ なお、評議員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく評議員会を開催することができることとされており(法第45 条の9第10 項により準用される一般法人法第183 条)、この場合には招集の通知を省略できるが、評議員会の日時等に関する理事会の決議は省略できないことに留意するとともに、評議員全員の同意があったことが客観的に確認できる書類の保存が必要である。

出典:厚生労働省:指導監査ガイドライン「着眼点、指摘基準、確認書類」より

参考条文

評議員会の招集通知については、社会福祉法では「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を準用する形で定められています。

社会福祉法

社会福祉法

(評議員会の運営)
第四十五条の九 定時評議員会は、毎会計年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。


2~9 省略

10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百八十一条から第百八十三条まで及び第百九十二条の規定は評議員会の招集について、同法第百九十四条の規定は評議員会の決議について、同法第百九十五条の規定は評議員会への報告について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百八十一条第一項第三号及び第百九十四条第三項第二号中「法務省令」とあるのは、「厚生労働省令」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

出典:社会福祉法

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

(評議員会の招集の決定)
第百八十一条 評議員会を招集する場合には、理事会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 評議員会の日時及び場所
 二 評議員会の目的である事項があるときは、当該事項
 三 前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項


2 前項の規定にかかわらず、前条第二項の規定により評議員が評議員会を招集する場合には、当該評議員は、前項各号に掲げる事項を定めなければならない。

(評議員会の招集の通知)
第百八十二条 評議員会を招集するには、理事(第百八十条第二項の規定により評議員が評議員会を招集する場合にあっては、当該評議員。次項において同じ。)は、評議員会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、評議員に対して、書面でその通知を発しなければならない。
2 理事は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、評議員の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該理事は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
3 前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。


(招集手続の省略)
第百八十三条 前条の規定にかかわらず、評議員会は、評議員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

指導監査の準備

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記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。


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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計


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