マツオカ会計事務所

重要性の原則を簡単に分かりやすく 社会福祉法人会計専門 公認会計士・税理士

社会福祉法人会計基準における重要性の原則の運用上の取扱いを解説した図解バナー(マツオカ会計事務所)
「ホームページ利用上のご注意について」をお読み頂き、これらの条件にご同意の上ご利用ください。
顧問先様からのメールでのご相談の中で、他の顧問先様にもご参考になりそうな内容を、ホームページでご案内しています。

質問の内容

社会福祉法人会計の重要性の原則について、簡単に分かりやすく教えてください。

関連するページは下のようになります。


まんがでポイントを押さえよう

🎓 4コマ漫画で学ぶ「重要性の原則」

わかりやすい4コマ漫画もぜひご覧ください👇

「すべて厳密に処理しなければ…」と思っていませんか?―社会福祉法人会計における“重要性の原則”を解説します

社会福祉法人の会計実務では、「すべての取引を正確に処理しなければならない」と思い込んで、細かな事務作業に追われていませんか?

実は、社会福祉法人会計基準では「重要性の原則」が認められており、重要性が乏しい項目については、簡便な方法での処理が可能です。

重要性の原則とは?

社会福祉法人会計基準(第2条)では、次のように記載されています:

重要性の乏しいものについては、会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができる。

社会福祉法人会計基準より

つまり、「すべてを厳密に処理すること」よりも、計算書類の全体としての信頼性が保たれていれば、細かい項目に関しては実務的な簡便な処理も認められるという考え方です。

どんなケースで適用できるの?

運用上の具体例を紹介します。現場でもよくあるケースばかりです。

(1)消耗品・貯蔵品

コピー用紙や文房具などの少額の消耗品は、買ったときや使ったときに「費用」として処理してOK。棚卸して資産に計上する必要はありません。

(2)少額の前払金・未払金など

毎年出てくる少額の保険料や受取利息、賃貸料などについては、未払・前払の処理を省略して、支出ベースで費用として記帳しても構いません。

(3)引当金の未計上

引当金なども、金額が小さい場合は無理に計上しなくてOK。逆に、計上することで混乱する場合もあります。

(4)償却原価法の省略

満期保有目的の債券で取得価額と債券金額との差額が小さい場合、償却原価法を適用せずに処理できます。

(5)ファイナンス・リース取引

取得価額が少額のリース物件は、通常の賃貸借と同様に費用処理してOK。資産計上・リース負債計上を省略できます。

(6)税効果会計の適用除外

収益事業に係る課税所得がごくわずかである場合、繰延税金資産や負債を計上しなくても差し支えありません

現場で迷ったら、「目的に立ち返る」

重要性の原則は「ズボラな会計をしていい」という意味ではありません。

本来の目的である財務諸表の適正な表示に影響を与えない範囲で、事務の効率化を図るためのルールです。

まとめ

会計実務は、「厳密さ」と「効率性」のバランスが大切です。
大事なのは、社会福祉法人として本当に注力すべき活動に、会計の力をどう活かすかです。
「これは重要か?」と一度問いかけてみましょう。

参考

1 重要性の原則の適用について(会計基準省令第2条第1項第4号関係)重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。

(1)消耗品、貯蔵品等のうち、重要性が乏しいものについては、その買入時又は払出時に費用として処理する方法を採用することができる。

(2)保険料、賃借料、受取利息配当金、借入金利息、法人税等にかかる前払金、未払金、未収金、前受金等のうち重要性の乏しいもの、または毎会計年度経常的に発生しその発生額が少額なものについては、前払金、未払金、未収金、前受金等を計上しないことができる。

(3)引当金のうち、重要性の乏しいものについては、これを計上しないことができる。

(4)取得価額と債券金額との差額について重要性が乏しい満期保有目的の債券については、償却原価法を適用しないことができる。

(5)ファイナンス・リース取引について、取得したリース物件の価額に重要性が乏しい場合、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。

(6)法人税法上の収益事業に係る課税所得の額に重要性が乏しい場合、税効果会計を適用しないで、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。なお、財産目録の表示に関しても重要性の原則が適用される。

社会福祉法人会計基準の運用上の取り扱い(厚生労働省)


記事の一覧

 質問と回答の記事の一覧はこちら

まんがの部屋

事務所の記事が600記事になってきました。会計をさらに親しみやすくなるように、記事の漫画化を進めています。

ぜひご覧になってくださいね。

社会福祉法人専門 公認会計士・税理士による書籍のご案内

Amazonのページはこちら(試し読み機能あり)

Amazonの試し読み機能をぜひご活用ください。本の内容を一部ご覧いただくことができます。

第1巻
資金収支計算書

63ページ
1870円

NO.タイトルページ価格
第1巻資金収支計算書 (第5版)581870円
第2巻事業活動計算書(第3版)731925円
第3巻貸借対照表 (第3版)811980円
第4巻経営組織(理事・監事や理事会・評議員会について)571760円
第5巻随意契約 451650円
第6巻注記と附属明細書1091980円
第7巻社会福祉法人会計簿記の特徴
『大切なのは、1行増えること』
521870円
第8巻管理職のための
社会福祉法人会計基準の逐条解説
831980円
第9巻利益と増減差額
 ~その違いからわかること~
471815円
第10巻現金主義と発生主義、実現主義
 ~収益と費用を計上するタイミングはいつ?~
671980円
第11巻社会福祉法人の減価償却 ~考え方と計算方法~581870円
※ 第4巻 経営組織は、法人の理事・監事や評議員について解説しています

マツオカ会計事務所のストーリー

よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。

(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

モバイルバージョンを終了