はじめに
― 役割・議決権・運営上の重要ポイント ―
社会福祉連携推進法人(以下「連携推進法人」)において、
社員総会は最も重要な意思決定機関です。
一般法人法(※)に基づき、
社員が出席し、法人運営の根幹事項を決定します。
※一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui
1.社員総会の役割
社員総会は、法人運営に係る重要事項を決定します。
例えば、
- 理事・監事・会計監査人の選任・解任
- 定款の変更
- 計算書類の承認
- 役員報酬等基準の承認
- 社員の除名
などです。
連携推進法人は
「理事会設置一般社団法人」に該当します。
そのため、
社員総会は“何でも決められる機関”ではなく、
一般法人法および定款で定めた事項に限って決議します。
ここは誤解されやすいポイントです。
2.議決権のルール
ここは非常に重要です。
(1)原則:1社員1議決権
社員間の公平性を担保するため、
原則として1社員につき1議決権です。
推進法人への資金拠出額や社員法人の規模で重みを変える仕組みではありません。
(2)例外はあるが、厳しい条件付き
定款で定めれば例外も可能です。
ただし、次の3要件をすべて満たす必要があります。
① 不当に差別的でないこと
② 提供財産の額に応じた配分をしないこと
③ 1の社員に対し、総数の半数を超える議決権を配分しないこと
❌ 不当に差別的な取扱いとは?
例えば、
- 「株式会社だから議決権を減らす」
- 「貸付を受けた法人だから議決権を減らす」
などは認められません。
社会福祉連携推進業務に伴う立場の違いを理由に
議決権を減らすことも不可です。
❌ 過半数支配は禁止
1法人が過半数を超える議決権を持つことはできません。
さらに、
実質的に少数の法人が支配するような状態も
認められません。
趣旨は、
社員総会で実質的な議論を確保すること
です。
重要:社会福祉法人が過半数
議決権の総数においても、
社会福祉法人の議決権が過半数を占めている必要があります。
連携推進法人は、
あくまで社会福祉法人中心の制度だからです。
(3)議決権の行使方法
議決権は原則として
社員法人の代表者が行使します。
代理人による行使も可能ですが、
- あらかじめ当該法人の理事会決議が必要
- 代理権を証明する書面の提出が必要
となります。
実務ではここが抜けやすいので要注意です。
3.社員総会の運営実務
ここからは実務の話です。
(1)招集権者
原則として理事が招集します。
例外的に、
- 総議決権の10分の1以上(定款で5分の1以下に緩和可)を有する社員
が裁判所の許可を得て招集することも可能です。
(2)招集通知の期限
- 原則:1週間前まで
- 書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合:2週間前まで
通知期限違反は決議取消リスクになります。
(3)議案提出権
- 総議決権の30分の1以上の社員は議題提案が可能
- 社員は総会で議案提出が可能
社員の発言権は強い設計です。
(4)決議要件
原則:
- 総議決権の過半数出席
- 出席者の過半数で可決
特別決議(除名・定款変更等):
- 総社員の半数以上
- 総議決権の3分の2以上
(5)書面決議・みなし決議
- 書面投票は出席に算入
- 全員同意なら総会を開かなくても決議成立
これは実務でよく使われます。
(6)議事録保存義務
- 本店:10年間
- 従たる事務所:5年間
社員・債権者は閲覧請求可能です。
✍ 実務上の注意点
設立支援でよくある誤りは、
- 招集期限違反
- 議決権配分ミス
- 社会福祉法人の議決権割合不足
- 代理行使の理事会決議漏れ
です。
社員総会の設計を誤ると、
法人全体の意思決定が無効になる可能性があります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。
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