はじめに
社会福祉法人が介護保険制度に基づいて施設サービスを提供する場合、
その収益は 介護保険事業収益として事業活動計算書に計上されます。
その中でも、特別養護老人ホームなどの入所系サービスに関する収益は
施設介護料収益として整理されます。
この施設介護料収益は、さらに次の3つの科目に分かれています。
- 介護報酬収益
- 利用者負担金収益(公費)
- 利用者負担金収益(一般)
それぞれの意味と実務上の考え方を整理していきます。
🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui
厚生労働省による勘定科目の説明
介護報酬収益
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
介護保険の施設介護料で介護報酬収益をいう。
(介護保険法の給付等に関する省令・告示に規定する介護福祉施設サービス費、介護保健施設サービス費、療養病床を有する病院における介護療養施設サービス費、療養病床を有する診療所における介護療養施設サービス費、老人性認知症疾患療養病棟を有する病院における介護療養施設サービス費、介護医療院サービス費、ユニット型介
護福祉施設サービス費、ユニット型介護保健施設サービス費、ユニット型介護医療院サービス費、初期加算、退所時等相談援助加算、退所時指導等加算、緊急時施設療養費等)
利用者負担金収益(公費)
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
介護保険の施設介護料で利用者負担収益(公費)をいう。
(介護保険法の給付等に関する省令・告示に規定する介護福祉施設サービス費、介護保健施設サービス費、療養病床を有する病院における介護療養施設サービス費、療養病床を有する診療所における介護療養施設サービス費、老人性認知症疾患療養病棟を有する病院における介護療養施設サービス費、介護医療院サービス費、ユニット型介
護福祉施設サービス費、ユニット型介護保健施設サービス費、ユニット型介護医療院サービス費、初期加算、退所時等相談援助加算、退所時指導等加算、緊急時施設療養費等の利用者負担額のうち、公費分)
利用者負担金収益(一般)
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
介護保険の施設介護料で利用者負担収益(一般)をいう。
(介護保険法の給付等に関する省令・告示に規定する介護福祉施設サービス費、介護保健施設サービス費、療養病床を有する病院における介護療養施設サービス費、療養病床を有する診療所における介護療養施設サービス費、老人性認知症疾患療養病棟を有する病院における介護療養施設サービス費、介護医療院サービス費、ユニット型介
護福祉施設サービス費、ユニット型介護保健施設サービス費、ユニット型介護医療院サービス費、初期加算、退所時等相談援助加算、退所時指導等加算、緊急時施設療養費等の利用者負担額のうち、一般分)
介護報酬収益
介護保険制度における施設サービスのうち、
介護保険から支払われる給付部分を計上する科目です。
対象となるのは、例えば次のようなサービスです。
- 介護福祉施設サービス費
- 介護保健施設サービス費
- 介護医療院サービス費
- ユニット型施設サービス費
- 初期加算
- 退所時相談援助加算
- 退所時指導等加算
- 緊急時施設療養費 など
これらは、介護保険制度に基づいて
保険給付として支払われる部分になります。
利用者負担金収益(公費)
施設サービスに係る利用者負担のうち、
公費負担によって支払われる部分を計上する科目です。
例えば、
- 生活保護
- 公費による利用者負担軽減
などにより、公費で負担される部分が該当します。
利用者負担金収益(一般)
施設サービスに係る利用者負担のうち、
利用者本人が負担する部分を計上する科目です。
一般的には、
- 1割負担
- 2割負担
- 3割負担
といった利用者負担がこの科目になります。
勘定科目の構造
施設介護料収益の科目構造は、次のようになります。
| 大区分 | 中区分 | 小区分 |
|---|---|---|
| 介護保険事業収益 | 施設介護料収益 | 介護報酬収益 |
| 利用者負担金収益(公費) | ||
| 利用者負担金収益(一般) |
つまり、
介護保険事業収益 → 施設介護料収益 → 小区分科目
という階層で整理されています。
施設介護料収益のポイント
施設介護料収益として計上する収益には、次の特徴があります。
① 介護給付と利用者負担を計上する
収益として計上するのは、
- 介護保険給付(介護報酬)
- 利用者負担額
です。
なお、
- 食費
- 居住費
- その他利用料
などは、別の科目で処理されます。
② 入所系サービスが対象
施設介護料収益は、
入所系(施設・居住系)のサービス
に係る収益が対象になります。
例えば、
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
などです。
③ 地域密着型サービスは含まれない
同じ入所系でも、
地域密着型サービス
については、この科目ではなく
別の科目で計上します。
④ 短期入所・通所サービスは含まれない
同じ施設で行われている場合でも、
- ショートステイ
- デイサービス
などの収益は
施設介護料収益には含めません。
それぞれ対応する別の科目に計上します。
会計実務上の注意
この科目は、実務上入力ミスが起きやすい科目です。
理由は、次のような点にあります。
- 他の収益科目でも同じ名称が使われる場合がある
- サービス区分によって計上先が変わる
そのため、
- 勘定科目
- サービス区分
の両方を正しく確認して入力することが重要になります。
まとめ
施設介護料収益は、
- 介護保険制度に基づく施設サービスの収益
- 介護報酬と利用者負担に分けて計上する
- 入所系サービスのみが対象
という特徴があります。
社会福祉法人の事業活動計算書では、
介護保険事業収益の中心となる科目の一つです。
制度上の区分と会計科目の関係を理解しておくことで、
収益構造をより正確に把握することができます。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。
ホームページの各記事や事務所サービスのご案内
よく読まれている人気の記事(カテゴリー別)
- 社会福祉法人・企業主導型保育事業の質問と回答はこちら
- 社会福祉法人の役員(理事・監事)と評議員に関する手続き・監査指摘事項への対応はこちら
- 社会福祉法人会計で用いる勘定科目を科目ごとに分かりやすく解説はこちら
- 企業主導型保育事業の専門的財務監査の評価基準の解説はこちら
- 有料動画で学ぶ福祉の会計や経営はこちら
マツオカ会計事務所作成の書籍・動画・規程
20年間の社会福祉法人・福祉事業者の支援と、11年間の地方公務員の行政事務で培ったノウハウを 書籍・動画・規程 として公開しています。
ご自身で学び、法人内で活かせるコンテンツをご用意していますので、ぜひご覧ください。
▶ マツオカ会計事務所が提供する書籍・動画・規程まとめページを見る
出版中の書籍
よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。
