社会福祉連携推進法人の業務

業務の内容と留意事項

社会福祉連携推進法人の行う業務と留意事項

この記事の目次

社会福祉連携推進法人の行う業務の内容

社会福祉連携推進業務

NO.業務説明
地域福祉支援業務地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援
災害時支援業務災害が発生した場合における社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を社員が共同して確保するための支援
経営支援業務社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援
貸付業務資金の貸付けを通じた社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援
人材確保等業務社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修
物資等供給業務社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資の供給

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成 18 年法律第 48 号。以下「一般法人法」という。)に基づき設立される一般社団法人は、次の①から⑥までに掲げる業務(以下「社会福祉連携推進業務」という。)の全部又はいずれかを行おうとする場合に、法第 125 条に規定する所轄庁(以下「認定所轄庁」という。)から連携推進法人に係る認定(以下「社会福祉連携推進認定」という。)を受けることができるものであること。

出典:厚生労働省通知「社会福祉連携推進法人の認定等について」より

社会福祉連携推進業務以外の業務

社会福祉連携推進法人は、一定の範囲内で、社会福祉連携推進業務に関連する業務を行うことができます。

区分内容
社会福祉連携推進業務に関連する業務
不可社会福祉事業

(社会福祉連携推進法人の業務運営)
第百三十二条 社会福祉連携推進法人は、社員の社会福祉に係る業務の連携の推進及びその運営の透明性の確保を図り、地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供及び社会福祉法人の経営基盤の強化に資する役割を積極的に果たすよう努めなければならない。
2 社会福祉連携推進法人は、社会福祉連携推進業務を行うに当たり、当該一般社団法人の社員、理事、監事、職員その他の政令で定める関係者に対し特別の利益を与えてはならない。
3 社会福祉連携推進法人は、社会福祉連携推進業務以外の業務を行う場合には、社会福祉連携推進業務以外の業務を行うことによつて社会福祉連携推進業務の実施に支障を及ぼさないようにしなければならない。
4 社会福祉連携推進法人は、社会福祉事業を行うことができない。

出典:社会福祉法より

社会福祉連携推進業務の実施上の留意点

地域福祉支援業務の実施上の留意点

業務の内容

地域福祉支援業務の内容が次の①から③までのいずれにも該当しているものであること。

NO.業務の内容
地域福祉の推進に係る取組であること
取組を社員が共同して行うものであること
取組を連携推進法人が支援するものであること

地域福祉の推進に係る取組とは

法令に基づく事業に関連する取組に限らず、地域住民の福祉ニーズに対応するインフォーマルな取組が広く該当する。

当該取組を連携推進法人が支援するとは

当該取組の実施に当たって、福祉サービスの提供は社員が行うことを前提としつつ、社員間の情報共有や連絡調整、ノウハウの共有等といった連携強化のための支援を行うことをいう。

支援とは

  • 社員を対象とする必要がある
  • 原則として、連携推進法人自体が主体となって、地域住民等に対し、社会福祉事業その他社会福祉を目的とする福祉サービスを提供するような取組は該当しない

例外的に、

地域の福祉ニーズを踏まえつつ、連携推進法人が社員である社会福祉法人等を支援する一環で、社会福祉を目的とする福祉サービス(社会福祉事業を除く。)であって、先駆的なものや地域における供給量が著しく不足するもの等を行う場合については、次のア及びイの要件をいずれも満たせば、地域福祉支援業務に該当するものとして差し支えないこと。

ア 連携推進法人と社員の両方が当該福祉サービスを提供していること

イ 連携推進法人から社員へのノウハウの移転等を主たる目的とするなど、連携推進法人が福祉サービスを実施することが社員への支援に当たること

地域福祉支援業務の内容(例)

「地域における公益的な取組」を含め、社員が行う地域福祉に関する取組を促進するなどの観点からの例示

  •  地域住民の生活課題を把握するためのニーズ調査の実施
  • ニーズ調査の結果を踏まえた新たな取組の企画立案、支援ノウハウの提供• 取組の実施状況の把握・分析
  • 地域住民に対する取組の周知・広報 
  • 社員が地域の他の機関と協働を図るための調整
  •  社員の経営する施設又は事業所(以下「施設等」という。)の利用者であって、判断能力が不十分なもの等に対する法人後見

災害時支援業務の実施上の留意点

業務の内容

(1)災害時支援業務の内容が次の①から③までのいずれにも該当しているものであること。

NO.業務の内容
災害が発生した場合において、社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を確保するための取組であること
取組を社員が共同して行うものであること
取組を連携推進法人が支援すること

災害とは

「災害」には、自然災害に限らず、感染症の発生等の危機的状況も含まれる。

社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービスとは

社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービスであれば、社会福祉事業に限らず、特段の制約はなく、例えば福祉避難所として受け入れた被災者等に対する支援も含まれる。

当該取組を連携推進法人が支援するとは

社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を確保するための取組に対して、社員間の情報共有や連絡調整、人材や物資の融通等といった支援を行うもの

業務実施上の責務

連携推進法人及びその社員は、常に連携推進法人の活動区域内の地方公共団体と連携し、これらの対策と調和が保たれるよう、努めなければならない。

災害時支援業務の内容(例)

災害時において、社員が提供する福祉サービスに係る事業継続性の確保や相互支援体制の整備などを図る観点からの例示

  • 災害時支援ニーズの事前把握
  • 業務継続計画の策定や避難訓練の実施 
  • 被災した社員の経営する施設等(以下「被災施設等」という。)に対する被害状況調査の実施
  • 被災施設等に対する応急的な物資の備蓄・提供
  • 被災施設等の利用者の他施設への移送の調整
  • 被災施設等で不足する人材の応援派遣の調整
  • 地方公共団体との連絡・調整

経営支援業務の実施上の留意点

業務の内容

経営支援業務の内容が次の①及び②のいずれにも該当しているものであること。

NO.業務の内容
社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図る取組であること
取組を連携推進法人が支援するものであること

社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有とは

特定の社員が持つ経営方法に関する知識を共有することに限らず、社会福祉事業の経営ノウハウを共有するなどの取組も該当する。

社会福祉事業の経営方法に関する知識とは

社会福祉事業の経営を確立するためには幅広い知識が求められることを踏まえ、直接的に社会福祉事業に関わる知識に限られるものではない。

当該取組を連携推進法人が支援するとは

当該取組の実施に当たって、社員間の連絡調整、社員へのコンサルティング等の支援を行うもの。

法令上の注意

経営支援業務には、連携推進法人が社員の事務処理の代行を行うことも含まれるが、関係法令に違反しない範囲で行われる必要がある。

(例)法令により連携推進法人が行うことはできないこととされているもの

  • 税理士法ー租税に関する申告や書類の作成等
  • 社会保険労務士法ー労働基準法や職業安定法等に基づく書類の作成や手続

経営支援業務の内容(例)

社員の経営の適正化又は効率化などを支援する観点からの例示

  • 社員に対する経営ノウハウ等に関するコンサルティングの実施
  • 賃金テーブルの作成等人事・給与システムに関するコンサルティングの実施
  • 社員の財務状況の分析・助言
  • 社会福祉法人会計に関する研修の実施等適正な財務会計の構築に向けた支援
  • 社員の特定事務に関する事務処理の代行
  • 社員の施設等における外国人材の受入れ支援(介護職種に係る技能実習の監理団体として行う業務に限る。)

貸付業務の実施上の留意点

業務の内容

貸付業務の内容が次の①及び②のいずれにも該当しているものであること。

NO.業務の内容
社会福祉法人である社員に対する貸付けであること
当該貸付けに係る原資は、貸付けを受ける社員以外の社会福祉法人である社員から連携推進法人に対して貸付けを受けたものであること

貸付の契約の締結方法

貸付業務を行う場合の契約の締結方法については、次の①及び②のとおりとすること。

NO.業務の内容
・貸付原資を連携推進法人に提供する社員と連携推進法人との間の金銭消費貸借契約、
・連携推進法人と貸付けを受ける社会福祉法人である社員との間の金銭消費貸借契約を、

それぞれ締結すること
貸付資金が返済不能となる場合に備え、返済不能時の資金回収手続や、回収資金分配等の処理について、私法上の契約を締結すること

補完的な役割・位置付け

貸付業務は、民間金融機関による融資や独立行政法人福祉医療機構等による政策融資の補完的な役割を担う。

社員総会決議の取消し

金銭消費貸借契約について、連携推進法人の社員は、特別の利害関係を有する社員が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされた場合、一般法人法第 266 条の規定に基づき、裁判所に社員総会等の決議の取消しの訴えが提起できる。

貸付業務の実施

厚生労働省通知別添「貸付業務の実施方法」にしたがうこと。

人材確保等業務の実施上の留意点

業務の内容

人材確保等業務の内容が次の①及び②のいずれかに該当しているものであること。

NO.業務の内容
社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援
社員が経営する社会福祉事業の従事者の資質の向上を図るための研修

社会福祉事業の従事者の確保の内容(例)

  •  新たな従事者の募集や採用、外国人材の受入れの調整等多様な人材の確保のための取組
  • 社員間の人事交流の支援等既存の従事者が職場に定着するための取組
  • 学生に対する職場体験の調整等福祉の仕事の魅力を発信するための取組

人材確保等業務実施上の注意

連携推進法人が社員間の人事交流を支援することも含まれるが、労働関係法令に抵触しない方法で行う必要がある。

  • 連携推進法人が自ら求人及び求職の申込みを受け、社員である法人との間の雇用関係の成立をあっせんすることは職業安定法に定める職業紹介事業に該当する。
  • 連携推進法人と従業員とが雇用契約を締結し、当該従業員を社員である法人の指揮命令において当該社員の下で労働に従事させることは、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に定める労働者派遣事業に該当する。
  • 職業紹介事業又は労働者派遣事業を行う場合は、別途職業安定法又は労働者派遣法の規定に基づき、適正な手続により許可を得る必要があること。

社員が社会連携推進法人に対し、社会福祉事業に従事する労働者の募集を委託する場合

厚生労働省通知別紙2「委託募集の特例の実施方法」にしたがうこと。

人材確保等業務の内容(例)

社員が提供する福祉サービスの従事者の確保、その職場への定着、資質の向上などを図る観点からの例示

  • 社員合同での採用募集出向等社員間の人事交流の調整
  • 賃金テーブルや初任給等の社員間の共通化に向けた調整
  • 社員の施設等における職場体験、現場実習等の調整
  • 社員合同での研修の実施• ​社員の施設等における外国人材の受入れ支援(経営支援業務である介護職種に係る技能実習の監理団体として行う業務を除く。)

物資等供給業務の実施上の留意点

業務の内容

物資等供給業務の内容が次の①及び②のいずれにも該当しているものであること。

NO.業務の内容
社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資であること
当該設備又は物資を連携推進法人が供給すること

当該設備又は物資を連携推進法人が供給するこ

連携推進法人が一括調達して社員に供給することのほか、連携推進法人が生産して社員に供給することを含む。

な 食品衛生法等の関係法令を遵守した上で、社員から社会福祉連携推進法人が委託を受けて、社員の施設等で提供される給食の供給を行うこともこれに含まれる。

物資等供給業務の内容(例)

社員の物資調達に係る費用の効率化、事務負担の軽減などを図る観点からの例示

  • 紙おむつやマスク、消毒液等の衛生用品の一括調達
  • 介護ベッドや車いす、リフト等の介護機器の一括調達
  • 介護記録の電子化等 ICT を活用したシステムの一括調達
  • 社員の施設等で提供される給食の供給

社会福祉連携推進業務以外の業務の取扱い

実施可能な業務

社会福祉連携推進業務以外の業務については、社会福祉連携推進業務に関連する業務であって、次の①から③までの要件を満たすものについては、行って差し支えない。

NO.業務の内容
業務の事業規模が連携推進法人全体の事業規模の過半に満たないものであること
業務を行うことによって社会福祉連携推進業務の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること

社会福祉事業その他社会福祉を目的とする福祉サービス事業でないこと

適当でない業務

  • 連携推進法人の社会的信用を傷つけるおそれのあるもの
  • 投機的なもの

収益の取扱い

得られた収益は、社会福祉連携推進業務に充当すること。

社会福祉連携推進法人の会計基準等

区分名称HP上の略称
社会福祉連携推進法人会計基準 
令和三年厚生労働省令第百七十七号
連携推進法人会計基準
社会福祉連携推進法人会計基準の運用上の取扱いについて
(社援発1112第2号 令和3年11月12日付け厚生労働省通知)
連携推進法人
運用上の取り扱い
社会福祉連携推進法人会計基準の運用上の留意事項について
(社援発1112第1号 令和3年11月12日付け厚生労働省通知)
連携推進法人
運用上の留意事項
error: Content is protected !!