はじめに
社会福祉法人では、
固定資産を購入するだけでなく、
リース契約によって利用するケース もあります。
このうち、
リース契約により利用している
形のない固定資産 を整理するための勘定科目が、
無形リース資産 です。
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厚生労働省の勘定科目の説明
無形リース資産
無形固定資産のうちリースに係る資産をいう。出典
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う
会計処理等に関する運用上の留意事項について」
この定義のとおり、
無形リース資産は、
無形固定資産のうち、リース契約に基づいて利用しているもの を指します。
無形リース資産に該当するもの
社会福祉法人において、
無形リース資産として代表的なものは、
ソフトウェア です。
たとえば、
- 会計ソフト
- 給与計算ソフト
- 請求管理ソフト
- 業務システム
などを、
リース契約により利用している場合には、
契約内容に応じて無形リース資産として整理されます。
有形リース資産との違い
リース契約の対象が、
- パソコン本体や複合機など
→ 有形リース資産 - ソフトウェアなど形のないもの
→ 無形リース資産
というように、
リース物件の性質 によって区分されます。
リース取引の区分
無形リース資産の会計処理においても、
リース取引は次の2つに区分されます。
- ファイナンス・リース取引
- オペレーティング・リース取引
この区分は、
契約名称ではなく、
契約内容と実態 に基づいて判断します。
ファイナンス・リース取引
次の2つの要件を満たすリース取引は、
ファイナンス・リース取引に該当します。
- リース期間の途中で解約できない、
またはこれに準ずる取引であること - リース物件から得られる経済的利益を実質的に享受し、
使用に伴うコストを実質的に負担すること
この場合には、
通常の売買取引に準じた会計処理 を行い、
無形リース資産として計上します。
オペレーティング・リース取引
ファイナンス・リース取引に該当しないものは、
オペレーティング・リース取引として整理されます。
この場合には、
- リース料を
- 賃借料や利用料などの費用として処理し
無形リース資産としては計上しません。
簡便な取扱い(重要性の原則)
会計基準では、
重要性の原則に基づき、
一定のファイナンス・リース取引について、
簡便な会計処理 を認めています。
簡便な処理が認められるのは、
次のいずれかに該当する場合です。
- リース契約1件当たりのリース料総額が 300万円以下
- リース期間が 1年以内
この場合には、
ファイナンス・リース取引であっても、
賃借料等として処理することができます。
無形リース資産として計上する場合
ファイナンス・リース取引として
無形リース資産を計上する場合には、
- リース開始時に資産を計上
- 同時にリース債務を負債として計上
- 使用期間にわたり減価償却を行う
といった会計処理を行います。
管理上の留意点
無形リース資産は、
形のない資産であるため、
- 契約内容の把握
- 契約期間や更新条件の管理
- 固定資産台帳との整合確認
といった点を、
継続的に確認しておくことが重要です。
まとめ
無形リース資産は、
- 無形固定資産のうち、リースに係る資産を整理する科目であること
- ソフトウェアが代表例であること
- 契約内容により会計処理が異なること
- 簡便な取扱いが認められる場合があること
これらを整理して理解しておくことで、
リース取引に関する会計処理を、
制度に沿って落ち着いて進めやすくなります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。
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