マツオカ会計事務所

社会福祉法人の収益事業について 社会福祉法人会計専門 公認会計士・税理士

収益事業

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質問の内容

社会福祉法人が運営する収益事業の内容について教えてください。

社会福祉法

収益事業について(社会福祉法)

社会福祉法第26条で、社会福祉法人は、運営している社会福祉事業に支障のない限りにおいて、

(公益事業及び収益事業)
第二十六条 社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業(以下「公益事業」という。)又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業(第二条第四項第四号に掲げる事業その他の政令で定めるものに限る。第五十七条第二号において同じ。)の経営に充てることを目的とする事業(以下「収益事業」という。)を行うことができる。
2 公益事業又は収益事業に関する会計は、それぞれ当該社会福祉法人の行う社会福祉事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

社会福祉法より

収益事業の目的

収益事業は、収益を社会福祉事業若しくは公益事業の経営に充てることを目的とされています。

社会福祉法人審査基準及び社会福祉法人審査要領

社会福祉法人審査基準及び社会福祉法人審査要領では、収益事業の内容などが示されています。

収益事業を運営する際の留意点

社会福祉法人審査基準では、社会福祉法人が収益事業を運営する際の留意点が示されています。

区分内   容
目 的社会福祉事業又は公益事業の財源に充てるため、
一定の計画の下に収益を得ることを目的として
反復継続して行われる行為であって、
社会通念上事業と認められる程度のもの
規 模当該事業を行うことにより、
当該法人の行う社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれのないものであること。
位置づけ当該事業は、当該法人の行う社会福祉事業に対し従たる地位にあることが必要であり、
社会福祉事業を超える規模の収益事業を行うことは認められないこと。
種 類事業の種類については、特別の制限はないが、法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの又は投機的なものは適当でないこと。
収益当該事業から生じた収益は、
当該法人が行う社会福祉事業又は公益事業の経営に充当すること。
厚生労働省「社会福祉法人の認可について」別紙1 社会福祉法人審査基準を基に作成

社会福祉法人審査基準の収益事業記載

社会福祉法人審査基準の収益事業の記載を表にしてみました。

NO.内   容
(1)法人が行う社会福祉事業又は公益事業(社会福祉法施行令(昭和33年政令第185号。)第13条及び平成14年厚生労働省告示第283号に掲げるものに限る。以下(3)において同じ。)の財源に充てるため、一定の計画の下に収益を得ることを目的として反復継続して行われる行為であって、社会通念上事業と認められる程度のものであること。
(2)事業の種類については、特別の制限はないが、法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの又は投機的なものは適当でないこと。なお、法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第13号にいう収益事業の範囲に含まれない事業であっても、法人の定款上は収益事業として扱う場合もあること。
(3)当該事業から生じた収益は、当該法人が行う社会福祉事業又は公益事業の経営に充当すること。
(4)当該事業を行うことにより、当該法人の行う社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれのないものであること。
(5)当該事業は、当該法人の行う社会福祉事業に対し従たる地位にあることが必要であり、社会福祉事業を超える規模の収益事業を行うことは認められないこと。
(6)母子及び寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)第14条に基づく資金の貸付を受けて行う、同法施行令(昭和39年政令第224号)第6条第1項各号に掲げる事業については、(3)は適用されないものであること。
厚生労働省「社会福祉法人の認可について」別紙1 社会福祉法人審査基準を基に作成

社会福祉法人審査要領の収益事業の説明

社会福祉法人審査要領では、収益事業について、より具体的に説明がされています。

以下、厚生労働省「社会福祉法人の認可について」別紙 社会福祉法人審査要領を引用して記載しています。

定款に記載不要な収益事業の範囲

次のような場合は、「一定の計画の下に、収益を得ることを目的として反復継続して行われる行為であって、社会通念上事業と認められる程度のもの」に該当しないので、結果的に収益を生ずる場合であっても収益事業として定款に記載する必要はないこと。

区分内   容
当該法人が使用することを目的とする設備等を外部の者に依頼されて、当該法人の業務に支障のない範囲内で使用させる場合、例えば、会議室を法人が使用しない時間に外部の者に使用させる場合等
たまたま適当な興行の機会に恵まれて慈善興行を行う場合
社会福祉施設等において、専ら施設利用者の利便に供するため売店を経営する場合
厚生労働省「社会福祉法人の認可について」別紙 社会福祉法人審査要領を基に作成

社会的信用を傷つけるおそれの例示

次のような事業は、「法人の社会的信用を傷つけるおそれ」があるので、法人は行うことができないこと。

区分内   容
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)にいう風俗営業及び風俗関連営業
高利な融資事業
前に掲げる事業に不動産を貸し付ける等の便宜を供与する事業
厚生労働省「社会福祉法人の認可について」別紙 社会福祉法人審査要領を基に作成

社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれの例示

次のような場合は、「社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれ」があること。

社会福祉施設の付近において、騒音、ばい煙等を著しく発生させるようなおそれのある場合
社会福祉事業と収益事業とが、同一設備を使用して行われる場合
厚生労働省「社会福祉法人の認可について」別紙 社会福祉法人審査要領を基に作成

審査基準(2)、(3)を満たす場合について

(2)及び(3)の要件を満たす限り、収益事業の種類には特別の制限はないものであること。

なお、事業の種類としては、当該法人の所有する不動産を活用して行う貸ビル、駐車場の経営、公共的、公共的施設内の売店の経営等安定した収益が見込める事業が適当であること。

社会福祉事業、公益事業、収益事業のイメージ図

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マツオカ会計事務所のストーリー

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著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。



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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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