マツオカ会計事務所

社会福祉法人の補正予算について 社会福祉法人会計専門 公認会計士・税理士

社会福祉法人の予算流用

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質問の内容

社会福祉法人の補正予算の手続きについて教えてください。

経理規程の規定

社会福祉法人の経理規程の中には、補正予算についての規定があります。確認してみましょう。

モデル経理規程

モデル経理規程の第21条に補正予算の条文があります。

(補正予算)
第21条 予算執行中に、予算に変更事由が生じた場合には、理事長は補正予算を作成して理事会に提出し、その承認を得なければならない。(注17)

(注17)
 租税特別措置法第40条の特例を受けるための定款要件を満たしている法人は、第21条の規定は以下のとおりとする。

第21条 予算執行中に、予算に変更事由が生じた場合には、理事長は補正予算を作成し、理事会において理事総数の三分の二以上の同意及び評議員会の承認を得なければならない。

平成29年版 社会福祉法人モデル経理規程 全国社会福祉法人経営者協議会

社会福祉法人の経理規程でも、モデル経理規程に準じて規定されていることが多いでしょう。法人の経理規程を確認しておきましょう、

補正予算について

補正予算について、モデル経理規程の条文から、検討していきます。

補正予算を行うとき

予算流用を行うのは、「予算執行中に、予算に変更事由が生じた場合」に行うことになります。

予算執行中とは

モデル経理規程第21条に定める「予算執行中」とは、「当年度の途中(当年度内)」を指すと考えることができます。

これは、厚生労働省通知である「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項」の
「2予算と経理(2)」の記載から考えることができます。

2 予算と経理

(2)法人は、全ての収入及び支出について予算を編成し、予算に基づいて事業活動を行うこととする。

 なお、年度途中で予算との乖離等が見込まれる場合は、必要な収入及び支出について補正予算を編成するものとする。ただし、乖離額等が法人の運営に支障がなく、軽微な範囲にとどまる場合は、この限りではない。

厚生労働省「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項」より

予算に変更事由が生じる場合とは

経理規程の「予算に変更事由が生じる場合」とは、厚生労働省通知「運用上の留意事項」に示されている内容から「収入及び費用について、予算との乖離等が見込まれる場合」と考えられそうです。

経理規程厚生労働省通知「運用上の留意事項」
予算に変更事由が生じる場合 収入及び費用について、
予算との乖離等が見込まれる場合

補正予算の承認を受ける時期

当年度内に補正予算の編成行う

経理規程及び厚生労働省通知「運用上の留意事項」の規定内容からは、補正予算は「当年度内」に承認を得る必要があると考えられそうです。

経理規程厚生労働省通知「運用上の留意事項」
予算執行中に、予算に変更事由が生じた場合には、
理事長は補正予算を作成して理事会に提出し、
その承認を得なければならない。
年度途中で予算との乖離等が見込まれる場合は、
必要な収入及び支出について補正予算を編成するものとする。

補正予算の編成を省略できる場合

補正予算の編成を省略できる場合の要件

(厚生労働省)運用上の留意事項の「2 予算と経理」(2)のただし書きに、補正予算の編成を省略できる場合が示されています。

2 予算と経理

(2)法人は、全ての収入及び支出について予算を編成し、予算に基づいて事業活動を行うこととする。

 なお、年度途中で予算との乖離等が見込まれる場合は、必要な収入及び支出について補正予算を編成するものとする。ただし、乖離額等が法人の運営に支障がなく、軽微な範囲にとどまる場合は、この限りではない。

厚生労働省「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項」より

上記の通知から、補正予算の編成を省略できる要件としては、下の2つの要件をともに満たす場合になります。

NO.内 容
乖離額等が法人の運営に支障がない場合
軽微な範囲にとどまる場合

法人の運営に支障がなく、軽微な範囲の例示

令和元年度厚生労働省社会福祉推進事業「社会福祉法人経理事務マニュアル」に、

補正予算の編成が必要となるケース補正予算の編成は必要とは限らないケースについて、例示がされています。

参考に記載しておきます。

出典:令和元年度厚生労働省社会福祉推進事業「社会福祉法人経理事務マニュアル」

補正予算の予算書の様式について

補正予算の編成する際の予算書の様式は、法人の任意になります。

社会福祉法人では、予算書の様式は、法人の任意と示されています。

補正予算の予算書を作成する場合には、当初予算の様式に準じた様式で作成することも考えられます。

(問)予算書の様式を規定すべきではないか。

(回答)資金収支予算書は勘定科目が資金収支計算書の勘定科目に準拠していれば、様式は法人の任意といたします。

出典:「平成23年7月27日付 厚生労働省 社会福祉法人会計基準(案)に関する意見募集手続き(パブリックコメント)の結果について」より

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著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。



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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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