「波長が合う」とはどのような状況にあるか。福祉の職場での「波長が合う職場」、「共鳴する職場」を構築する。職員の身体的負担と精神的負担の解消に向けて
「波長が合う」という表現は、もともと物理学の**共鳴(レゾナンス)**という現象から来ており、人間関係においては「共感し合い、調和がとれている状態」を意味します。
福祉の職場が抱えている課題
福祉の職場が抱えている課題として、良く挙げられるのが「人手不足と職員の身体的・精神的負担」です。
大きくコストをかけずに、職場環境を改善し、「職員の身体的・精神的負担」を軽減していくために「共鳴する組織」を考えてきましょう。
前回、周波数と共鳴を科学の視点から確認しました。今回は、波長の合うことによる効果を見ていきます。
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🔬 物理的な「波長が合う」:共鳴現象
物理学における「波長が合う」とは、物体が持つ固有振動数(固有の周波数)と、外部から与えられた振動の周波数が一致し、共鳴が起こる状態を指します。
- 固有振動数(固有の周波数):全ての物体が持つ、最も振動しやすい特定の周波数です。例えば、ブランコをこぐ時、ブランコには必ず一定の揺れやすいリズムがあります。
- 共鳴(レゾナンス):外部からの振動(押す力)が、その物体が持つ固有の振動数とピッタリ一致すると、その物体の振幅(揺れの幅)が非常に大きくなる現象です。
📌 例:ブランコを押す
- ブランコの固有振動数:ブランコが自然に往復する一定のリズムです。
- 外部からの振動:ブランコを押す人が与える押すリズムです。
- 波長が合う:押す人が、ブランコが戻ってくる最適なタイミング(固有振動数)と完全に同じリズムで押し続けると、ブランコは最小の力で最大まで高く上がります。これが共鳴です。
逆に、押すタイミングがズレると(波長が合わないと)、ブランコの動きは途中で止まったり、スムーズに上がらなかったりします。
🫂 人間関係における「波長が合う」:共感と調和
この物理現象のアナロジー(類推)として、人間関係での「波長が合う」とは、お互いの心の固有のリズムが一致している状態を指します。
1. 感情や価値観のリズムの一致
人間は、それぞれ固有の感情のリズムや思考のペースを持っています。
- 思考のペース:話すスピードや、物事を理解して反応するまでの間合い。
- 心の固有振動数:大切にしている価値観、ユーモアのセンス、情緒的な傾向など。
これらの「心の波長」がお互いに一致していると、最小限の努力で相手の意図や感情を理解できます。

2. 情動伝染と脳波の同期
「波長が合う」状態では、科学的にも共鳴が起きています。
- 情動伝染: 相手の感情が、無意識的な**表情の模倣(ミラーリング)**を通じて自分にも伝わり、同じ感情を共有できるため、「一緒にいて心地よい」と感じられます。
- 脳波の同期: 深い会話をしているとき、お互いの脳の電気活動のパターンが一致(脳間同期)していることが観測されています。これは、認知プロセスが協調し、情報処理がスムーズになっている状態を示します。
✅ 波長が合うことで得られる感覚
「波長が合う」と、具体的に以下のような心地よさを経験します。
- 安心感とリラックス: 相手の言動が予測しやすく、心の防御壁を築く必要がないため、ストレスホルモンの分泌が抑えられ、リラックスできます。
- スムーズなコミュニケーション: 言葉で説明しなくても、「言いたいこと」や「次に何をすべきか」が瞬時に理解し合える感覚があります。
- 感情の増幅: 喜びや楽しさといったポジティブな感情が共有されることで、その感情が増幅され、より大きな幸福感につながります。
🤝 人間の「波長が合う」状態とは?
人間関係で「波長が合う」というのは、お互いの「気持ちのラジオ」の周波数やリズムがピッタリ合っている状態のことです。

1. 心の周波数(気持ちのリズム)
人間の体は、脳波や心臓の動きのように、目には見えないけれど、それぞれ固有の周波数(リズム)を持っています。
- 例: あなたが「楽しい!」と感じているとき、あなたの脳は「楽しい周波数」を出しています。相手も同じくらい「楽しい!」と感じていると、お互いの周波数が自然と同じになります。
2. 「共鳴」で気持ちが大きくなる!
【共鳴のルール!】 物理の世界では、波長がピッタリ合うと、力が何倍にも大きくなる現象を「共鳴」と言います。
人間関係でも同じです。
- ブランコで共鳴!
- ブランコの「揺れやすいリズム(固有の周波数)」と、押す人の「押すタイミング(外部の周波数)」がぴったり合っているとき、ブランコは少しの力でうんと高くなりますよね。
- 気持ちの共鳴!
- 相手の「悲しい気持ちの周波数」と、あなたの「共感する気持ちの周波数」がぴったり合うと、相手は「わかってもらえた!」と感じ、安心感が大きく増幅します。
3. 波長が合うと「心地よい」理由
波長が合っている状態は、**「無駄なエネルギーを使わなくて済む」**ので、とても心地よく感じます。
- イライラしない: 相手が次に何を言うか、何をしたいかがスッとわかるので、「あれ?どういう意味?」と考えたり、心配したりするエネルギー(ストレス)を使わなくて済みます。
- 仲間意識: お互いの「気持ちのラジオ」が同じチャンネルに合っているので、「私たちは一緒だ!」という安心感が生まれます。

💖 気持ちの周波数を合わせるコツ
気持ちの周波数を合わせることは、意識すると、そんなに難しいことではありません。
保育士さんや先生たちがしているように、意図的に周波数を合わせることもできます。
- 目を見て真似っこ(情動伝染):
- 相手が笑っていたら、自分も少し笑ってみる。相手が真剣な顔をしていたら、自分も真剣な表情をしてみる。この**「真似っこ(ミラーリング)」**をすることで、あなたの脳に相手の気持ちが伝わり、周波数が近づきます。
- ゆっくり話す(リズムの同期):
- 相手がゆっくり話しているのに、あなたが急いで話すと周波数がズレます。相手のペースに合わせて、落ち着いて話すことで、お互いのリズムが合います。
このように、波長が合うというのは、お互いの気持ちのリズムが一致して、安心感や楽しさが大きく膨らむことなんです。
💖 まとめ:福祉の職場で周波数を合わせる
波長が合う状況では、職員同士や職員と利用者さんとの間で、心地よい空間が生まれていると考えることができます。
次回は、福祉の職場で波長が合う空間作りを一緒に考えていきましょう。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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