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質問の内容
| 社会福祉法人会計の会計公準のうち、貨幣的評価の公準について、簡単に分かりやすく教えてください。 |
まんがでポイントを押さえよう
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社会福祉法人向けに表現を少し変えています。
| 一般的な表現 | 社会福祉法人向けの表現 | 説明 |
|---|---|---|
| 企業実体の公準 | 法人実体の公準 | 法人と理事長など関係者は別人格。お金も活動も区別する。 |
| 継続企業の公準 | 継続事業の公準 | 来年度以降も事業が継続されるという前提で会計処理する。 |
| 貨幣的評価の公準 | (表現は変更なし) | 会計に記録できるのは「お金で表せるもの」に限る。 |
貨幣的評価の公準とは──“お金で測れないもの”は会計に出てこない理由
会計は「お金で測れること」しか扱いません。
「貨幣的評価の公準」とは、
会計で記録・報告するのは“貨幣で表せるもの”に限るという前提です。
つまり、「数字で金額がつけられないもの」は、会計の帳簿や決算書には登場できないのです。
たとえば、こんなものは会計に現れません
- ボランティアさんの“想い”や“努力”
- ご利用者の“感謝の言葉”
- 職員の“やりがい”や“やる気”
- 理事長の“人脈”や“信用力”
これらは社会福祉法人の活動にとって非常に重要な価値ですが、
会計上は金額がつけられない=記録しない(できない)という扱いになります。
金額がついてはじめて「資産」や「収益・費用」になる
たとえば、「寄贈された福祉車両」。
もしその車両の市場価格や寄附契約書などから金額が明らかであれば、会計に計上できます。
逆に、価値はあっても金額が明らかでなければ、会計上の処理はできません。
“貨幣の安定性”も暗黙の前提です
さらに、貨幣的評価の公準には、
「貨幣の価値は一定である」という暗黙の前提も含まれています。
実際にはインフレや物価変動がありますが、
会計では「1万円はいつでも1万円」という前提で処理を行っています。
これがあるから、数年分の会計データを比較可能に保てるのです。
数字に出ない価値も、法人経営には重要です
社会福祉法人の運営には、「数字に出ない価値」がたくさんあります。
しかし会計という仕組みでは、あくまで「お金に換算できるもの」だけを扱います。
だからこそ、会計以外の報告(たとえば事業報告書)や、現場からの声が大切になるのです。
まとめ:会計は「冷たい」のではなく、「役割が違う」
会計の仕組みは、数字で表せることを「正確に」「比較可能に」示すためにあります。
その代わり、数字にできないことは別の方法で伝える必要があります。
会計は、すべてを語ってはくれない。
でも、それがルールであり、役割なのです。
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記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。
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