法人実体の公準(企業実体の公準)を分かりやすく社会福祉法人会計専門 公認会計士・税理士
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質問の内容
| 社会福祉法人会計の会計公準のうち、法人実体の公準(企業実体の公準)について、簡単に分かりやすく教えてください。 |
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社会福祉法人向けに表現を少し変えています。
| 一般的な表現 | 社会福祉法人向けの表現 | 説明 |
|---|---|---|
| 企業実体の公準 | 法人実体の公準 | 法人と理事長など関係者は別人格。お金も活動も区別する。 |
| 継続企業の公準 | 継続事業の公準 | 来年度以降も事業が継続されるという前提で会計処理する。 |
| 貨幣的評価の公準 | (表現は変更なし) | 会計に記録できるのは「お金で表せるもの」に限る。 |
法人実体の公準とは──理事長=法人ではない、という基本前提
「法人と理事長は、別人格です」
「法人実体の公準」は、会計の大前提のひとつです。
これは、法人の活動と、それに関わる個人(理事長や職員など)の活動を明確に分けて考えるという前提です。
法人の会計の対象となるものは、法人の活動に伴って発生する取引と考えていきます。
法人の財布と理事長の財布
たとえば理事長が自費で立て替えた備品の購入費。
これを法人の経費として処理するには、立替の証拠や明確な理由が必要です。
逆に、法人の口座から理事長のプライベートな出費がされていれば――
それは重大な「公私混同」であり、ガバナンス上の問題になります。
法人と個人は、たとえ密接な関係にあっても、
「お金・活動・責任」を明確に分けなければなりません。
なぜそれが大事なのか?
会計情報は、法人の経済的な状態を正確に伝えるためのものです。
もし個人のお金が混ざっていたら、正確な損益や財政状況は見えなくなってしまいます。
社会福祉法人では、助成金や委託費など「公のお金」を扱うことも多く、
この公準はガバナンス(運営管理)上、特に重要な意味を持ちます。
現場での例:ありがちな“グレーゾーン”
- 法人の物品を理事長自宅で使用(事務用品・タブレット等)
- 個人クレジットカードで法人備品を購入(領収書は法人名)
- 法人の電話番号で個人の買い物に問い合わせ
→ これらは経理処理上の線引きが不明確になる可能性があり、注意が必要です。
法人実体の公準を守るポイント
- 理事長や職員の「個人的な支出」は法人に混ぜない
- 立替・仮払の処理は書面や伝票で明確に
- 法人の資産・物品の管理は規程でルール化する
法人だからこそ、「公私のけじめ」が必要です
社会福祉法人は非営利であっても、「法人格」を持つ存在です。
その活動を支える会計は、常にこの前提に立たなければなりません。
「これは法人のお金ですか?理事長のものですか?」
この問いが、適切な会計の第一歩になります。
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著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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