令和8年度介護報酬改定に関する審議報告をわかりやすく解説― 処遇改善の拡充と食費基準の見直し ―
本ページでは、厚生労働省・社会保障審議会介護給付費分科会が取りまとめた
「令和8年度介護報酬改定に関する審議報告」内容を、実務の視点から解説しています。
今回の報告案の柱は、次の2点です。
- 介護職員等の処遇改善の拡充
- 介護保険施設における食費(基準費用額)の見直し
以下、それぞれのポイントを整理します。
※本ページは、社会保障審議会介護給付費分科会が公表した
「令和8年度介護報酬改定に関する審議報告」を踏まえ、
当初公開していた「審議報告(案)」の内容を確認のうえ、
正式な審議報告の内容を反映しています。
制度の基本的な考え方や方向性に大きな変更はなく、
表記の整理および一部補足を行っています。
- 令和7年12月19日:公表された介護給付費分科会の審議報告の案を基にページを公開。
- 令和7年12月23日:審議報告として公表されたことを受けて正式な審議報告の内容を反映。
審議報告の正確な内容については公表されている本文をご確認ください。
🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui
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1.介護職員等の処遇改善の背景と目的
介護分野では、有効求人倍率が依然として高い水準にあり、
2040年に向けた生産年齢人口の減少を背景に、人材確保は喫緊の課題となっています。
政府の「強い経済」を実現する総合経済対策(令和7年11月閣議決定)では、
これまでの施策により介護職員の賃金は改善傾向にあるものの、
- 他産業との賃金差が依然として存在すること
- 人材不足が深刻な状況であること
が指摘されました。
本来、賃金を含む労働条件は労使間で決定されるべきものですが、
他産業で力強い賃上げが進む中、介護分野においても処遇改善を制度的に担保する必要があると判断されています。
2.処遇改善加算の拡充と施行時期
令和8年度の介護報酬改定では、
「介護職員等処遇改善加算」を拡充し、確実に賃上げにつなげる方針が示されています。
施行時期
- 令和8年6月施行
この時期が選ばれた理由として、
- 第9期介護保険事業計画期間中であること
- 令和7年度補正予算による賃上げ支援が令和8年5月分までを対象としていること
- 前回の加算一本化も6月施行であったこと
などが挙げられています。
3.加算対象の拡大(介護職員以外へ)
今回の改定の大きな特徴は、
処遇改善加算の対象を介護職員以外にも拡大する点です。
専門職への拡大
介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職についても人材不足が深刻であり、
「経済財政運営と改革の基本方針2025」において、幅広い職種の賃上げが求められていることを踏まえ、
介護職員以外の介護従事者も新たに加算対象とされます。
新たに対象となるサービス
介護職員が配置されていないサービスの実態を考慮し、以下のサービスが新たに対象に加えられます。
- 訪問看護・介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
- 居宅介護支援・介護予防支援
4.算定要件と事務負担への配慮
生産性向上との連動
持続的な賃上げを実現するため、
- 生産性向上
- 協働化に向けた取組
を行う事業所については、
現行の処遇改善加算Ⅰ・Ⅱの加算率に上乗せする要件を新設する方針が示されています。
新規対象サービスの算定要件
訪問看護や居宅介護支援などの新規対象サービスについては、
他サービスとの均衡を図るため、
- キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ
- 職場環境等要件
を、現行の処遇改善加算Ⅳに準じて求めることとされています。
事務負担への配慮
制度整備や体制構築に時間を要する点を踏まえ、
- 申請事務負担の軽減
- 移行期間に配慮した措置
を講じることが適当とされています。
5.基準費用額(食費)の見直し
今回の報告では、処遇改善に加えて、
介護保険施設における食費の基準費用額の見直しについても言及されています。
見直しの背景
- 近年の食材料費の高騰
- 令和7年度介護事業経営概況調査において、実際の食費平均額が現行基準を上回っている実態
介護保険法では、費用状況が著しく変動した場合には速やかな改定が求められています。
対応の考え方
- 利用者負担への影響
- 在宅で生活する人との公平性
を考慮した上で、基準費用額について必要な対応を行うとされています。
なお、正式な審議報告では、今回の基準費用額の対応は、
令和7年度介護事業経営概況調査の結果を踏まえた緊急的な対応であることが補足されています。
今後も物価動向を注視しながら、必要に応じた検討が行われるとされています。
6.今後の課題(令和9年度以降)
令和8年度の措置状況を踏まえた上で、
- 持続的な賃上げに向けた制度設計
- 事業所・施設の事務負担軽減
といった観点から、処遇改善の考え方を引き続き整理していく必要があるとされています。
また、制度全体の課題として、
- 介護サービスの適正化・重点化
- 限られた財源の中での保険料・利用者負担のあり方
を含めた介護報酬の見直しについても、継続的な検討が求められています。
7.令和7年12月22日追記
令和7年12月22日、読売新聞、各社の記事では、令和8年6月以降の臨時改定の方針が伝えられています。
記事による改定率
- 介護サービスの改定率・・・2.03%
- 障がい福祉サービス等の改定率・・・1.84%
(出典:読売新聞「介護報酬2・03%引き上げへ、職員の「処遇改善」で26年度に前倒し改定…障害福祉サービスは1・84%」 7.12.22配信より)
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令和8年度介護報酬改定については、
その後、令和7年12月26日に予算大臣折衝を踏まえた具体的な改定内容も示されています。
処遇改善の対象拡大や、食費(基準費用額)引上げの内容については、
以下のページで整理しています。
▶ 令和8年度介護報酬改定の具体内容(処遇改善・食費の見直し)
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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