評議員会の議事録(記録)の確認 指導監査の準備 社会福祉法人会計・法人運営
この記事の目次
社会福祉法人の評議員会の決議
6月の定時評議員会(決算評議員会)が終了しました。今年は、評議員とともに、理事、監事の改選期の法人さんも多く、たくさんの議案があったと思います。
今回は、評議員会決議が適正に記録・保存されているかを確認してみましょう。
評議員会の決議が適正に記録・保存されているか(議事録の確認)
確認事項 | ポイント | |
① | 厚生労働省令に定めるところにより,議事録を作成しているか。 | 議事録の有無、記載されている内容 |
② | 議事録を法人の事務所に法定の期間備え置いているか。 | 議事録の保存 |
③ | 評議員会の決議があったとみなされた場合(決議を省略した場合)に,同意の書面又は電磁的記録を法人の主たる事務所に法定の期間備え置いているか。 | 同意書の保存 |
社会福祉法の規定 評議員会の議事録について
社会福祉法では、評議員会の議事録について、下のように定めています。
社会福祉法
(議事録)
第四十五条の十一 評議員会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 社会福祉法人は、評議員会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。
3 社会福祉法人は、評議員会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもつて作成されている場合であつて、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとつているときは、この限りでない。
4 評議員及び債権者は、社会福祉法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもつて作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
① 厚生労働省令に定めるところにより,議事録を作成しているか
評議員会の議事録に記載する必要があるのは以下になります。
項目 | ポイント | |
① | 評議員会が開催された日時及び場所 | オンラインなどで出席した場合には、出席の方法を記録しておく (当該場所に存しない評議員、理事、監事又は会計監査人が評議員会に出席した場合における当該出席の方法を含む。) |
② | 評議員会の議事の経過の要領及びその結果 | 決議の結果と、議案の内容の説明要旨や各評議員による意見・質疑応答等の審議の内容を記載する |
③ | 決議を要する事項について特別の利害関係を有する評議員があるときは、当該評議員の氏名 | 特別の利害関係を有する評議員の有り無しを確認したことを記録する |
④ | 法令に基づき監事その他が評議員会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要 | 監事その他に意見陳述権が認められる議案(監事の解任など)に注意する |
⑤ | 評議員会に出席した評議員、理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称 | 社会福祉法 第45の10 理事及び監事は、評議員会において、評議員から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が評議員会の目的である事項に関しないものである場合その他正当な理由がある場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。 |
⑥ | 評議員会の議長が存するときは、議長の氏名 | 評議員会において、議長を選出した場合に、議長の氏名を記録する。 |
⑦ | 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名 | 法人の定款にしたがう 定款第14条(前後)に、評議員会の議事録署名人について規定されています。 |
② 議事録を法人の事務所に法定の期間備え置いているか
社会福祉法にあるように、評議員会の議事録は、法人の事務所に備え置く必要があります。
場所 | 備え置き期間 |
主たる事務所(法人本部のある施設、事業所) | 10年間 |
従たる事務所(各施設、事業所など) | 5年間 |

備え置くとは、
閲覧の求めがあった時に、速やかに見せることができる状態にしておくことです。
施設の見えるところに置いておく必要は、必ずしもありません。
いつでも、すぐに出せる状態にしておくことが大切になります。
③ 評議員会の決議があったとみなされた場合(決議を省略した場合)に,同意の書面又は電磁的記録を法人の主たる事務所に法定の期間備え置いているか
令和2年度や3年度のように、評議員会の決議・報告を省略する事例も出てきます。
決議を省略した場合には
以下の書類を備え置く必要があります。
同意の書面 | 同意の電磁式記録 |
決議を省略した場合
① | 評議員会の決議があつたものとみなされた事項の内容 |
② | ①の事項の提案をした者の氏名 |
③ | 評議員会の決議があつたものとみなされた日 |
④ | 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名 |
報告を省略した場合
⑤ | 評議員会への報告があつたものとみなされた事項の内容 |
⑥ | 評議員会への報告があつたものとみなされた日 |
⑦ | 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名(④と共通) |

社会福祉法では、議事録は、書面又は電磁的記録で作成することになっています。
電磁的記録で作成しても構わないのですね。
私も、まだ、見たことはありませんが、今後は増えていくのかもしれません。
次回はこのテーマです。
- 定時評議員会での事業報告書の取扱い、評議員会の報告事項か、承認事項か
- 法人運営・指導監査の準備の記事の一覧はこちら
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この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士 スマート介護士
マツオカ会計事務所 代表
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
約20年間、社会福祉法人と一緒になり、法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。

(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計)