マツオカ会計事務所

社会福祉法人が利用する人材サービス①|人材紹介・労働者派遣の基本整理

社会福祉法人 紹介手数料の支払い

はじめに

社会福祉法人では、人材確保が年々難しくなる中で、
人材サービスを利用して職員を確保するケース が増えています。

一方で、

といった声も多く聞かれます。

そこで本記事では、
社会福祉法人が利用する人材サービスの全体像 を整理し、
人材紹介と労働者派遣の基本的な違いを確認します。

本記事は、社会福祉法人会計を専門とする公認会計士・税理士が、法令や厚生労働省の通知に沿って、実務で起こりやすい論点を解説しています。

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1.社会福祉法人が利用する人材サービスの種類

社会福祉法人が利用する人材サービスには、
大きく分けて 次の2種類 があります。

どちらも「人を紹介してもらう」点では似ていますが、
法的な仕組みや雇用関係はまったく異なります。


2.人材紹介(職業紹介サービス)の基本

職業紹介とは、
求人と求職の申込みを受け、
雇用関係の成立をあっせんするサービス をいいます。

人材紹介を利用した場合、

になります。

職業紹介は、
職業安定法 に基づくサービスです。

職業安定法

(定義) 
第四条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。

出典:職業安定法


3.有料職業紹介と無料職業紹介

職業紹介には、

があります。

民間の人材紹介会社を利用する場合は、
通常 有料職業紹介 に該当し、
雇用成立時に紹介手数料が発生します。


4.労働者派遣サービスの基本

労働者派遣とは、
派遣会社が雇用する労働者を、
法人の指揮命令の下で働かせる仕組み です。

この場合、

という関係になります。

労働者派遣は、
労働者派遣法 (※)に基づく制度です。

(※)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

労働者派遣法

(用語の意義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人の ために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。

出典:労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)より


5.人材紹介と労働者派遣の違い

両者の違いを整理すると、次の点に集約されます。

この違いを理解していないと、
契約・会計処理・監査対応で混乱が生じやすくなります。


次回予告

次回は、
人材紹介サービスを利用する際の規制や注意点 を、
制度面・実務面から確認していきます。


(参考)人材紹介及び労働者派遣について

人材紹介

職業紹介のイメージ図

図にしてみましょう。

有料職業紹介と無料職業紹介

職業紹介には、有料職業紹介と無料職業紹介があります。

有料職業紹介と無料職業紹介では、紹介手数料(報酬等)の発生の有無について違いがあります。

区  分 有料職業紹介 無料職業紹介
紹介手数料の要否 職業紹介に際し、紹介事業者は
手数料または報酬を受け取る
職業紹介に際し、紹介事業者は、
いかなる名称でも報酬を受け取らない
事業者の例 民間の人材紹介会社 民間の紹介会社
(参考)職業安定法
第四条
③ この法律において「有料の職業紹介」とは、無料の職業紹介以外の職業紹介をいう。② この法律において「無料の職業紹介」とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介をいう。

労働者派遣

労働者派遣のイメージ図

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記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。


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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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