マツオカ会計事務所

専門的財務監査のポイント㉒ 監査の指摘事項例 ~企業主導型保育事業~ 

専門的財務監査 指摘事項例

企業主導型保育事業の専門的財務監査

令和3年度から、企業主導型保育事業に対して専門的財務監査が行われています。
専門的財務監査は、監査法人(公認会計士等)によって行われることになります。

こども家庭庁の資料から、専門的財務監査の指摘事項を確認していきます。

専門的財務監査の実施施設数

令和6年8月現在、令和4年度と令和3年度に実施した監査について説明が行われています。

区分令和4年度令和3年度
実施施設500施設500施設
うち文書指導施設494施設
(98.8%)

448施設
(89.6%)
うち口頭指導施設407施設
(81.4%)
406施設
(81.2%)
こども家庭庁・資料を基に作成

実施施設の選定基準

こども家庭庁の資料によると、専門的財務監査の実施施設の選定は、下のような基準によって選定されています。

区分選定基準
最優先監査実施年度前年における立入調査や完了報告の審査において、助成金の適正な管理・使用の観点で指摘(把握)があった施設を最優先
施設選定にあたっては、運営費の助成額が3,000万円以上の施設のうち、過去の立入調査で財務関係の指摘を受けた施設
①の助成額の条件に限らず、審査上の問題施設や、内閣府から個別に指示のあった施設について、
追加で選定される可能性がある

専門的財務監査での指摘事項

NO.指摘事項の内容令和4年度
件数
(割合)
令和3年度
件数
(割合)
1運営費完了報告の収支決算書に助成対象外の支出が計上されている。375 (75.0%)184 (36.8%)
2現金の管理(現金実査等)が適正でない。264 (52.8%)215 (43.0%)
3発注業務に関する規程または規定が定められていない。224 (44.8%)135 (27.0%)
4保育事業に係る経理規程が設定されていない。内容に不備がある。218 (43.6%)106 (21.2%)
5経費支出の計上額が不明確または誤っている。202 (40.4%)173 (34.6%)
6契約業務に関する規程または規定の内容に不備がある。199 (39.8%)97
(19.4%)
7保育事業の予算に対する実績管理の未実施。予算・実績管理帳表作成に不備がある。165 (33.0%)21
(4.2%)
8親族、役員や関係会社との取引の適正性が確認できない。129 (25.8%)99
(19.8%)
9決算書(貸借対照表や損益計算書)の作成が適正でない。102 (20.4%)129 (25.8%)
10会計責任者および出納職員の任命、設定に不備がある。101 (20.2%)87
(17.4%)
こども家庭庁・資料を基に作成

今後、項目ごとの解説を記事していく予定です。


企業主導型保育事業

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著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。



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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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