総額主義の原則(総額表示)を簡単に分かりやすく 社会福祉法人会計専門 公認会計士・税理士
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社会福祉法人会計の総額主義の原則(総額表示)について、簡単に分かりやすく教えてください。 |
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総額主義の原則(総額表示)って?──社会福祉法人会計の“見せ方”の基本
社会福祉法人の会計には、「総額主義の原則」という大切なルールがあります。
これは、計算書類に記載する金額について、「差し引き後の金額」ではなく「それぞれの総額」をきちんと表示しましょう、という考え方です。
社会福祉法人会計基準ではこう定められています
(総額表示)
社会福祉法人会計基準
第二条の二 計算関係書類及び財産目録に記載する金額は、原則として総額をもって表示しなければならない。
たとえば、「収入−支出=差引額」という形ではなく、
- 総収入:2,000円
- 総支出:1,800円
- 差引額(=収支差額):200円
というように、“収入と支出をそれぞれ明示”することが求められるのです。
なぜ「総額表示」が大切なの?
一言でいえば、「情報の透明性」と「利用者の理解しやすさ」のためです。
収入と支出を個別に表示することで、以下のような効果が生まれます:
- 📊 財務活動の全体像が分かる
- 🤝 どのくらいの規模の運営かが明確になる
- 👀 利害関係者にとって“ごまかしのない”会計になる
社会福祉法人は、事業収入の多くは、公金を原資としているほか、補助金・委託費・寄付金など「公共性の高いお金」を扱うため、会計の“見せ方”にも誠実さが求められるのです。
企業会計原則でも「総額表示」が基本です
企業会計原則の損益計算書原則でも、次のように明記されています:
企業会計原則
第二 損益計算書原則
一
B 費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。
企業会計原則
つまり、社会福祉法人会計でも企業会計でも、「項目ごとにちゃんと見せる」ということが、財務書類の基本姿勢なのです。
まとめ:見せ方にこそ、信頼が宿る
「収入と支出をちゃんと分けて出す」というシンプルなルールが、法人の信頼につながります。
差し引き後の数字だけでは見えない情報を、きちんと届けるために。
“数字の積み上げ”だけでなく、“見せ方の姿勢”も会計のうち。
これが、「総額表示の原則」です。
📘 会計原則を守ることは、信頼を守ること。
それが、社会福祉法人経営の土台です。
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著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
