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社会福祉法人会計基準の解説

継続事業の公準(継続企業の公準)を分かりやすく社会福祉法人会計専門 公認会計士・税理士

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質問の内容

社会福祉法人会計の会計公準のうち、継続事業の公準(継続企業の公準)について、簡単に分かりやすく教えてください。

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経費伝票を見て減価償却に悩む女性に対し、男性が「法人が明日終わる予定なの?」と問いかけ、女性は「来年度も利用者が増えそう」と返す。最後に男性が「継続事業の公準」を説明し、女性が納得する。

社会福祉法人向けに表現を少し変えています。

一般的な表現社会福祉法人向けの表現説明
企業実体の公準法人実体の公準法人と理事長など関係者は別人格。お金も活動も区別する。
継続企業の公準継続事業の公準来年度以降も事業が継続されるという前提で会計処理する。
貨幣的評価の公準(表現は変更なし)会計に記録できるのは「お金で表せるもの」に限る。

継続事業の公準とは──「この法人は来年も続く」ことを前提にする理由

明日も、来年も、事業は続く──それが会計の出発点です。

「継続事業の公準」とは、会計において法人が将来も事業を継続するという前提で処理を行うという考え方です。

この前提があるからこそ、私たちは「建物を10年間かけて減価償却する」といった処理ができるのです。

清算前提ではない

もし「この法人は来月で解散する」という状態であれば、
資産はすべて時価で評価し、負債をすぐに精算し、収支も1回で締める必要があります。

ですが、ほとんどの社会福祉法人は、継続的にサービスを提供する存在です。

だからこそ、会計も「時間をかけて」整理する方法が取られています。

減価償却も「継続」の発想

建物や備品を、耐用年数に応じて少しずつ費用化する「減価償却」も、
この継続事業の公準があるからこそ成立する処理です。

もし継続しない前提であれば、全額を一度に費用にする必要が出てきます。

社会福祉法人にとっての「継続」とは?

福祉サービスは、多くの場合で利用者の生活そのものに直結します。

その意味で、社会福祉法人は「法人が潰れないこと」が極めて重視される存在です。

  • 利用者の生活の継続
  • 職員の雇用の継続
  • 地域福祉の拠点としての継続

→ これらすべてが、継続事業の公準とつながっています。

継続事業の公準が崩れるとき

外部監査などでは「継続企業に重要な疑義がある場合」として、

  • 資金繰りの悪化
  • 債務超過
  • 重大な経営不振

などがある場合、継続の前提に注記を加える必要があります。

これは社会福祉法人でも同様で、理事会・評議員会の場でも重要な検討事項となります。

まとめ:未来を前提に、いまの処理を考える

会計は「いま」を記録するための仕組みですが、
その裏には「未来がある」という暗黙の前提があります。

「この法人は来年もある」
この想定があるからこそ、日々の会計処理がスムーズに運用できるのです。

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著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。

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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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