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質問の内容
積立金に関して理事会を開催して承認を受ける時期を教えて下さい。 |
関連するページは下のようになります。
社会福祉法人会計基準の積立金の規定
前回の積立金と積立資産の取扱いの続きになります。
積立金に関して、会計基準では以下のように規定されています。
社会福祉法人会計基準
第6条(純資産)
社会福祉法人会計基準
3 その他の積立金には、将来の特定の目的の費用又は損失の発生に備えるため、 社会福祉法人が理事会の議決に基づき事業活動計算書の当期末繰越活動増減差額から積立金として積み立てた額を計上するものとする。
積立金の理事会での承認手続き
1 積立時の理事会決議
社会福祉法人会計基準第6条第3項の定めから、積立金を積み立てる場合には、予め理事会での決議が必要になります。
会計基準の記載からの、理事会で承認を受ける時のポイントは
NO. | 区分 | 内 容 |
---|---|---|
① | 積立の目的を付す | 将来の特定の目的の費用または損失に備えるものであるため |
② | 当期末繰越活動増減差額はプラスであること | 当期末繰越活動増減差額の中から積み立てるため、マイナスが見込まれる場合には、積み立てることはできない。 |
2 理事会を開催する時期
積立金の積立について、理事会の開催時期は、いつにするかです。
年度内に開催する必要があるか、翌年度の決算理事会でも大丈夫かどうかになります。
例えば、会計年度が令和3年度の場合
令和4年3月までの理事会で承認が必要か、または、令和4年5月の決算理事会でも大丈夫か
という問題になります。
原則的な考え方としては
年度内の理事会(令和5年度であれば令和6年3月までの理事会)で承認を受ける方が望ましいでしょう。
積立金として積み立てた金額は、事業活動計算書に反映されるためです。
事業活動計算書の「繰越活動増減差額の部」に計上され、
また貸借対照表の純資産の中の「その他積立金」の金額に反映されるためです。
積立金の積立は、事業活動計算書や貸借対照表に反映された上で、監事監査を受けます。
会計監査人の監査を受けておられる法人さんもありますね。
監事監査や、会計監査人の監査は、決算理事会の前に実施されて、監査報告が行われます。決算理事会での承認を受ける場合には、承認前の積立額が決算に計上されることになります。
決算理事会で、審議の結果、積立を行わないとなった場合には、積立金に関する決算の金額が変わってしまうことになり、妥当ではありません。
監事監査や会計監査人の監査を想定しますと、積立の承認を受けておくのは、決算理事会ではなく、年度内の理事会の方が望ましいと考えられます。
3 翌年度に積み立てることの検討
年度内の理事会で承認を受けることが望ましいけれども、決算の金額も確定しない時点で、積立金を検討することは、実務上悩ましい法人さんもあると思われます。
例えば、
就労支援事業に関する積立金である工賃変動積立金などを積み立てたい法人さんの場合には、決算の金額が確定してから行いたいとの考えもあるかと思います。
厚生労働省の通知では、
積立は、増減差額の発生した年度の決算に反映させる必要があり、当年度の増減差額を基に、翌年度の決算で積立てることは原則としてできなくなっています。
19 積立金と積立資産について
厚生労働省「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
(2)積立資産の積立ての時期
積立金と積立資産の積立ては、増減差額の発生した年度の計算書類に反映させるものであるが、専用の預金口座で管理する場合は、遅くとも決算理事会終了後2か月を越えないうちに行うものとする。
4 理事会の開催時期を少し遅らせる方法
上記の通知では、積立預金の管理の手続きについて、
「専用の預金口座で管理する場合は、遅くとも決算理事会終了後2か月を越えないうちに行うものとする」
という表現があるように、積立の手続きについては、翌年度に行うことも想定(許容)されているようです。
理事会の承認を受ける時期が、翌年度になることも、ある程度、想定されているのではと想像できそうですね。
ただし、
上記2のように、監事監査(や特に会計監査人監査)の監査報告の時期を勘案しますと、決算作業から監査報告前の時期(4月~5月頃)で決算の金額が凡そ確定した時期に(決算理事会とは別に)理事会を開催して、積立金の積立について承認を受けるという方法も考えられます。
社会福祉法人指導監査要綱(指導監査ガイドライン)にも、積立金に関する理事会の開催時期については、言及されていないようです。翌年度の理事会で承認を受けたい場合には、所轄庁へ相談しておくと安心と言えそうです。
所轄庁からの具体的な指示がありましたら、指示にしたがってください
今回の内容である、積立を行うかどうかの理事会の承認手続きとは別に、
積立資産支出のための予算を計上する手続き(理事会の承認など)も忘れずに行っておく必要があります。
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