評議員の選任手続きの確認③ 「評議員の資格要件の確認手続き」社会福祉法人会計・運営
社会福祉法人の評議員の改選期
令和3年度は、ほとんどの社会福祉法人で評議員の改選期でした。6月の定時評議員会後(決算評議員会)に新しい評議員の任期が始まっている法人さんが多いと思います。
評議員の選任について正しい手続きを行い、記録がきちんと残されているか、今年度以降の指導監査に向けて準備をしていきましょう。
評議員の資格要件について
評議員には、「評議員なることができない者」の他にも、求められる資格要件があります。
その要件は
社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有すること
になります。
社会福祉法の規定
社会福祉法では、評議員に求められる資格要件について以下のように定められています。
(評議員の選任)
第三十九条 評議員は、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから、定款の定めるところにより、選任する。

社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有することの具体例
どのような者が、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有するとなるのか
具体的な内容が知りたいですね。
具体例について、社会福祉法人の審査要領には例示がされています。
社会福祉法人の適正な運営に必要な識見の具体例
ア 社会福祉に関する教育を行う者
イ 社会福祉に関する研究を行う者
ウ 社会福祉事業又は社会福祉関係の行政に従事した経験を有する者
エ 公認会計士、税理士、弁護士等、社会福祉事業の経営を行う上で必要かつ有益な専門知識を有する者
社会福祉法人の審査要領を下に書いておきます。
第3 法人の組織運営
(1) 「社会福祉事業について識見を有する者」は、例えば、次のような者が該当すること。
ア 社会福祉に関する教育を行う者
イ 社会福祉に関する研究を行う者
ウ 社会福祉事業又は社会福祉関係の行政に従事した経験を有する者
エ 公認会計士、税理士、弁護士等、社会福祉事業の経営を行う上で必要かつ有益な専門知識を有する者
審査要領の中に、「例えば」という文言があるように、これは例示であり、必ずしも、ア~エに該当しなくても構いません。
ア~エに類推されるものであれば、大丈夫だと考えられますが、この場合には、「社会福祉事業について識見を有する者」として判断した理由を明確に説明できるように、書類を整えておきましょう。
評議員の選任・解任委員会での確認の手続き
評議員の候補者が、評議員のしての資格要件を満たしていることを、選任の手続きの中できちんと確認を行ったことの記録が大切になります。
具体的には、
・評議員の候補者から履歴書や誓約書などの提出を受けて、
・選任・解任委員会の場で説明・報告し、議事録に記録していくことになります。

履歴書において、
職歴(在職状況)など、
資格要件を満たしていることを確認しておきましょう。

評議員選任・解任委員会の議事録には、評議員候補者が「資格要件を満たしていること」の説明が行われた記録がされているか
評議員選任・解任委員会の議事録、評議員(候補者)の履歴書を、一度、確認してみましょう。

履歴書は、新任となる評議員さんだけでなく、再任された評議員さんを含めて全ての評議員さんのものが必要になります。
次回はこのテーマです。
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この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士 スマート介護士
マツオカ会計事務所 代表
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、お客様から聞かせてもらった「福祉は私の人生の使命」という言葉に感銘を受け、この言葉を支えるために、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
約20年間、社会福祉法人と一緒になり、法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
