マツオカ会計事務所

⑥役に立った習慣 1から学べる社会福祉法人会計勉強会の資料ができるまで

社会福祉法人 公営企業 規制緩和

1から学べる社会福祉法人勉強会の資料や書籍は、本質を伝えることを目的にしています。本質を伝えるために資料や文章へのこだわりについてお伝えしていきます。今回は今、役に立っている役所時代の仕事の習慣についてです。

社会福祉法人と公営企業

社会福祉法人と公営企業の似ている点の1つ

私が役所時代に所属していたのは、市の公営企業の部署でした。
平成2年から11年お世話になりました。

第⑤回で社会福祉法人と公営企業で似ている点を3つ書きました。
3つの中で、公営企業と社会福祉法人は位置づけとして、自治体と民間企業の中間にあると表現できる点を挙げました。

公営企業と社会福祉法人は、どちらも高い公共性や公益性が求められるとともに、経営基盤の維持のために独立採算性が求められている点でとても似ていると考えたからです。

公営企業での業務の根拠

私は、市役所の公営企業に11年在籍していました。
この間、3つの課に所属していました。一番長い課が財務部門で7年在籍していました。

市に採用された職種は、一般(行政)事務職です。事務方の仕事が中心です。
3つの課の業務に共通するのは、法令や条例、規則といった定めにしたがって事務手続きを行う点です。

それぞれの業務を行う上で、根拠となる法令などがあり、これにしたがって仕事をしていきます。
しかし、法令や規則に、事細かく業務の手続きが定められている訳ではありません。

そこで、大切になってくるのが、国などから発出される通知などです。
通知には要綱や要領、取扱いのQ&Aなど、様々な書類があります。

当時の仕事の習慣

当時は平成2年頃です。インターネットはもちろん、Windowsもありません。
国からの通知を確認するには、もっぱら加除式の本です。
加除式ってご存知でしょうか。ページの差替えができるように綴じ紐で綴られた分厚い本です。
この本が、課の本棚いっぱいに並んでいました。

法令や通知、通達などが改正される度に、新しいページが届いて差替えを行います。
年に数回、出版社の方がお越しになり、黙々と差替えをして下さっていました。
今思えば、とても大切なお仕事をして下さっていました。

ネットで検索できない時代に、自分の業務に関連する通知を探すのは、必然的に分厚い加除式の本が中心でした。
何冊もある本の中から、必要な項目を探して確認することを繰り返し行います。
徐々に、本の記載項目が頭に入っていきます。
どの本から探していくか、本のどの辺りから調べていくかなどです。

おかしな表現ですが、自分が求めている項目が記載されているページを探す作業が、まるで宝探しのように感じ、見つかった時はとてもうれしい思いでいました。
それと合わせて、分厚い本には私が知らなかった内容が盛りだくさんのため、周辺知識を増やすことにもつながりました。

本で調べた大切な項目については、コピーを取って、自分のファイルに綴じておきます。
何年も繰り返すと、自分の仕事用のオリジナルファイルが出来上がっていきます。
私だけではなく、上司や先輩方も同じように自分のファイルを持っていました。

そして人事異動があると、そのファイルは後任に引き継がれていきました。

会計士になってから役に立った出来事

公務員時代の経験から、国などからの通知やその他の行政文書から、必要な項目を探すことは苦にならなくなりました。

会計士になり独立してから、東京で地方公会計についての会計士の勉強会がありました。
テーマは、地方公会計についての研究です。総務省が進めていた地方公会計(地方自治体の会計にも複式簿記を用いた財務書類を公表させる制度)についての勉強会です。

地方自治体には、一般会計や公営企業会計以外にも、自治体が出資などを行っている外郭団体があります。
外郭団体には、公益法人や社会福祉法人、公社や株式会社など様々な法人格があります。

そこで、自分のメモ用にエクセルで、法人格ごとに根拠法令や会計基準、会計の参考となる通知名を一覧にして持ち歩いていました。

会議でご一緒した会計士の大先輩の方が、私の資料を見て「こんなんが欲しかったんや!」とおっしゃって下さり、「そうなんですか。どうぞどうぞ」とお渡ししました。

このようオリジナルの資料でも喜んでもらえるんだと知り、嬉しくなりました。

役所時代の習慣が社会福祉法人のお役に立つ

第⑤回で社会福祉法人と公営企業で似ている点を書きましたが、社会福祉法人の特徴として、運営面での行政の指導監督があります。
一般の企業から社会福祉法人に転職した方などは、社会福祉法人に対する行政からの指導監督の範囲の広さに驚かれることもあるでしょう。

行政の指導監督は、法令や厚生労働省からの通知にしたがって行われます。
そのため、指導を受ける社会福祉法人側でも、関連する法令はもちろんのこと、様々な通知等の内容を理解しておくことは、運営上とても大切ですね。

社会福祉法人に関連する法令や通知はとてもたくさんあります。
社会福祉法だけでも

などがあります。
合わせて、事業運営上、適用を受ける様々な法律があります。

厚生労働省からの法人運営関係の通知では

などについては、たくさんの通知が発出されています。
また、通知についても事業ごとに様々な通知があり、例えば報酬改定時にはQ&Aとして多くの項目が記載されています。

法人運営関係の通知の内容を把握しておくことは、会計上の判断を行う時や、役員会の運営において必要となる手続きの確認、また指導監査の準備の際にはとても役に立ちます。

今でも、自分の探したい項目をたくさんの通知から見つけることは、仕事の楽しみの一つです。
探し出した内容は、今は紙ファイルではなく、データとして保管することで、外勤中や施設に訪問した際にも見ることができるようになりました。

通知の内容やどの通知に書かれているかなどをお伝えできると、私自身が思っている以上にお客様が喜んで下さることが多いです。
役所時代に覚えた仕事の習慣は今でも活きていて、「通知を探しだして自分なりの通知集を作る習慣」を続けていくことが、社会福祉法人さんに貢献できることだと改めて感じています。

勉強会の資料の中にも、管理職として覚えて欲しい項目について記載するようにしています。
通知の内容を一言一句覚えておいて欲しいというより、この通知にはこのような項目が記載されている、ということを覚えておいてもらえるようにしています。
管理職の方々に、自分のオリジナルのファイルを頭の中に作ってもらえることをイメージしています。

最後までお読み下さり、ありがとうございました。

マツオカ会計事務所のストーリーこちら

NO.
ストーリー 本質を伝えたい 資料へのこだわり 理事長からの質問 50円の奇跡
NO.
ストーリー 規制緩和 役に立った習慣夢とクロワッサン会計と四柱推命鑑定
NO.
ストーリー途中で諦めた?80点の資料

社会福祉法人専門 公認会計士・税理士による書籍

本の内容をブログ記事でご紹介しています

事務所スタッフによる本の感想です。(本のタイトルまたは画像をクリックして下さい)

(第4巻 経営組織は、法人の役員(理事、監事)や評議員について解説しています)

オンライン研修会「1から学べる社会福祉法人会計勉強会」のスタッフの感想は、こちら

Amazonのページはこちら(試し読み機能あり)

Amazonの試し読み機能をぜひご活用ください。本の内容を一部ご覧いただくことができます。

第1巻
資金収支計算書

63ページ
1870円

NO.タイトルページ価格
第1巻資金収支計算書 (第5版)581870円
第2巻事業活動計算書(第3版)731925円
第3巻貸借対照表 (第3版)811980円
第4巻経営組織(理事・監事や理事会・評議員会について)571760円
第5巻随意契約 451650円
第6巻注記と附属明細書1091980円
第7巻社会福祉法人会計簿記の特徴
『大切なのは、1行増えること』
521870円
第8巻管理職のための
社会福祉法人会計基準の逐条解説
831980円
第9巻利益と増減差額
 ~その違いからわかること~
471815円

(第4巻 経営組織は、法人の理事・監事や評議員について解説しています)

よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。

勉強会のご案内

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。


代表挨拶へ

モバイルバージョンを終了