理事会の招集通知について(招集通知の発出や省略) 指導監査の準備 社会福祉法人会計・法人運営
社会福祉法人の理事会の招集通知
社会福祉法人の運営上の意思決定として、理事会を開催する機会が多くなります。
今回は、理事会の招集通知が適切に発せされているかを確認してみましょう。
理事会の招集通知の発出
社会福祉法の規定
社会福祉法では、理事会の招集通知について、下のように定めています。
社会福祉法の要点
No. | 要 点 |
---|---|
(1) | 理事会の1週間前までに、招集通知を各理事、各監事に発出しなければならない |
(2) | (1)について、定款で期間を定めている場合には、定款で定める期間にしたがう |
(3) | 理事及び監事の全員の同意がある場合には、招集通知を省略することができる。(例外規定) |
以下、項目ごとに確認していきましょう。
招集通知を発する場合 (1)及び(2)
記録・保存しておく書類等
招集通知を発出する場合に、記録・保存しておいた方が望ましい書類等は下のようになります。
No. | 要 点 |
---|---|
① | 招集通知(控え) |
② | 発出日の記録(期日までに発出していることが記録されているもの) |
③ | 全理事及び全監事宛てに招集通知を発出していることが記録されているもの(発出漏れがないことの記録) |
招集通知を省略する場合 (3)
招集通知の発出を省略する場合には、全ての理事、監事の同意が必要になります。
記録・保存しておく書類等
No. | 要 点 |
---|---|
① | 全ての理事の同意書 |
② | 全ての監事の同意書 |
③ | 理事会議事録に、全ての理事・監事の同意があった旨の記載(望ましい対応) |
※①、⓶の同意書を受け取らず、③の議事録への記載のみで対応することも考えられますが、
理事会に欠席者がいた場合など全員の同意があったことを証明する上では、同意書を受け取ることが望ましいでしょう。
理事・監事の同意を得たことの記録(ポイント)
理事会の招集通知を省略した場合には、全理事・全監事の同意書の入手や記録に注意しましょう
- 全理事の同意書・全監事から確認書の入手(書面・または電磁的記録)
- 全理事の同意書・全監事の確認書の備置き
- 議事録に全理事、全監事からの同意を得たことを記録する
指導監査ガイドライン:1 理事会は法令及び定款の定めに従って開催されているか。
○ 指導監査を行うに当たっては、理事会を招集した理事(法第45 条の14 第3項により招集した理事を含む。)が開催通知を期限までに発出しているか、招集通知を省略している場合には、理事及び監事の全員の同意があるかを確認する。
なお、理事会の招集通知を省略することについての理事及び監事の同意の取得・保存の方法について、法令上の制限はないが、法人において、理事及び監事の全員が同意書を提出することとする、又は理事会の議事録に当該同意があった旨を記載する等、書面若しくは電磁的記録による何らかの形で保存できるようにしておくことが望ましい。
出典:厚生労働省:指導監査ガイドライン「着眼点、指摘基準、確認書類」より
参考条文
理事会招集通知については、社会福祉法では「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を準用する形で定められています。
社会福祉法
社会福祉法
(理事会の運営)
第四十五条の十四 理事会は、各理事が招集する。ただし、理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは、その理事が招集する。2~8 省略
出典:社会福祉法
9 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十四条の規定は理事会の招集について、同法第九十六条の規定は理事会の決議について、同法第九十八条の規定は理事会への報告について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(招集手続)
第九十四条 理事会を招集する者は、理事会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならない。2 前項の規定にかかわらず、理事会は、理事及び監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
次回はこのテーマです。
- 定時評議員会での事業報告書の取扱い、評議員会の報告事項か、承認事項か
- 法人運営・指導監査の準備の記事の一覧はこちら
社会福祉法人専門 公認会計士・税理士による書籍
本の内容をブログ記事でご紹介しています
Amazonのページはこちら(試し読み機能あり)
Amazonの試し読み機能をぜひご活用ください。本の内容を一部ご覧いただくことができます。
第1巻
資金収支計算書
63ページ
1870円
NO. | タイトル | ページ | 価格 |
第1巻 | 資金収支計算書 (第5版) | 58 | 1870円 |
第2巻 | 事業活動計算書(第3版) | 73 | 1925円 |
第3巻 | 貸借対照表 (第3版) | 81 | 1980円 |
第4巻 | 経営組織(理事・監事や理事会・評議員会について) | 57 | 1760円 |
第5巻 | 随意契約 | 45 | 1650円 |
第6巻 | 注記と附属明細書 | 109 | 1980円 |
第7巻 | 社会福祉法人会計簿記の特徴 『大切なのは、1行増えること』 | 52 | 1870円 |
第8巻 | 管理職のための 社会福祉法人会計基準の逐条解説 | 83 | 1980円 |
第9巻 | 利益と増減差額 ~その違いからわかること~ | 47 | 1815円 |
第10巻 | 現金主義と発生主義、実現主義 ~収益と費用を計上するタイミングはいつ?~ | 67 | 1980円 |
(第4巻 経営組織は、法人の理事・監事や評議員について解説しています)
よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。
著者情報 この記事を書いた人
(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計)