勘定科目の解説 事業活動計算書 事業費 雑費 社会福祉法人会計
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厚生労働省の勘定科目の説明 雑費
雑費(事業費)
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
事業費のうち他のいずれにも属さない費用をいう。
勘定科目説明の解説
費用科目の解説について
事業活動計算書の費用科目については、中区分の分類を用いながら小区分の科目を解説していきます。
雑費
今回、解説する勘定科目の体系は下のようになっています。
大区分 | 中区分 | 小区分 |
事業費 | 雑費 | - |
大区分は、「事業費」です。
ご利用者の処遇に直接要する費用になります。
平成12年度に制定された(旧)社会福祉法人会計基準の科目説明には
大区分についても説明がありました。
事業費支出
平成12年 社会福祉法人会計基準 事業活動収支計算書勘定科目の説明より
利用者の処遇に直接要する費用をいう。
中区分は「雑費」です。
事業費の科目名として明示されている他の科目には属さない性質の費用を使用する科目です。
雑費(事業費及び事務費)について
「雑費」は、事業費と事務費のどちらにも示されています。
事業費と事務費について
現行の社会福祉法人会計基準(平成二十八年厚生労働省令第七十九号)の勘定科目の説明では、事業費や事務費といった大区分の説明はありません。
一方で、旧社会福祉法人会計基準と言われる「社会福祉法人会計基準の策定について」(平成12年2月17日社援第31号、平成12年2月17日社援施第6号を含む)の勘定科目の説明では、事業費(支出)や事務費(支出)についても、説明がされていました。
事業費支出
利用者の処遇に直接要する費用をいう。事務費支出
平成12年 社会福祉法人会計基準 事業活動収支計算書勘定科目の説明より
本部及び施設の運営事務に要する人件費以外の費用をいう。
上記の説明をまとめてみましょう
区分 | 大区分 | 内 容 | 分 類 |
① | 事業費 | 利用者の処遇に直接要する費用 | 直接費 |
② | 事務費 | 本部、施設の運営事務に要する費用 | 間接費 |
事業費の「雑費」は、利用者の処遇に直接要する費用と考えることができますね。
雑費と○○費の科目名について
〇〇費について
雑費とは別に、事業費や事務費には「○○費」として、具体的な科目名を設けて使用する勘定科目も示されています。
○○費
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
費用の内容を示す名称を付した科目で記載する。
事業運営上、継続的(日常的)に発生する場合に、「〇〇」のところに具体的な名称をつけて科目を設けていくことになります。
費用を「雑費」とするか、「〇〇費」として科目を設けるか
実際に発生する費用を「雑費」に計上するか、「○○費」として名称をつけて計上していくのかは、
法人の業務管理や予算管理の観点から判断したり、
法人の財務情報の有用性の観点から判断していくことが考えられます。
法人の業績を分析して運営に活かしていく上で、
科目を設けた方が運営上の判断に資することや予算管理上望ましいこと、
また、
計算書類を読む人にとって分かりやすくなるという観点と
反対に、
科目を分けて計上していくために業務量が増えたり、
また、細かく科目を設けることが返って、法人の財務情報を読み取りにくくすることもあるかもしれません。
発生する費用の金額毎年、継続して発生するものかなども含めて、
総合的な観点から
雑費とするか〇〇費として科目を設けるかを検討していくといいでしょう。
下に記載しますが、社会福祉法人会計には、「重要性の原則」という考え方もあります。
発生する費用の重要性の観点から、「○○費」として科目を設けるか、「雑費」として処理を行うかの判断をすることもできます。
参考 「○○費」の科目の設定と重要性の原則
社会福祉法人会計基準には、「重要性の原則」という考え方があります。
重要性の原則では、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理を行わずに、簡便な方法を採用することができます。
重要性の原則は、会計処理の方法だけでなく、計算書類の表示(勘定科目の設定)についても適用されます。
「○○費」として考えられる費用の金額や内容に、重要性が乏しい場合には、「雑費」等の適当な科目に含めて表示する方法を採用することができると考えられます。
「○○費」の重要性の原則の適用について 厚生労働省の見解
○○費にも「重要性の原則」が適用されるどうかについて、厚生労働省の見解が平成23年のパブリックコメントの結果に記載されています。
(給食用材料についての回答になります)
ご意見 | 回答(考え方) |
給食用材料の計上について、現実的に給食用材料の棚卸は大変な手間を伴い困難ではないかと思う。また実際に多くはすぐに消費するものではないか。資産としての価値も低い。重要性に乏しく、計上しない選択もできるようにして欲しい。 | 重要性の原則は全ての取り引きに適用されますので、実態に即してご判断いただいて結構です。 |
社会福祉法人会計基準の重要性の原則の規定
社会福祉法人会計基準
(会計原則)
第二条
一~三 略四 重要性の乏しいものについては、会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができること。
社会福祉法人会計基準
簡単な説明です
雑費(事業費)
利用者のために直接要する費用で、他の科目には該当しない性質の費用がある場合に使用します。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
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勘定科目の解説の一覧
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マツオカ会計事務所のストーリー
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。