機械及び装置|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と考え方
はじめに
社会福祉法人が保有する有形固定資産は、
その性質に応じて 建物、構築物、機械及び装置、器具及び備品 などに区分されます。
このうち 機械及び装置 は、
一定の作業や工程を担うために設置され、
複数の機器が一体となって機能する設備 を整理するための勘定科目です。
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厚生労働省の勘定科目の説明
機械及び装置
機械及び装置をいう。出典
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う
会計処理等に関する運用上の留意事項について」
機械及び装置
定義は簡潔ですが、
実務では 他の勘定科目との区分 が重要になります。
機械及び装置の基本的な考え方
機械及び装置は、
単体で完結する備品 ではなく、
製造・作業などの 一連の工程の中で使用される設備 を想定した科目です。
複数の機器が組み合わさり、
それぞれの機能を果たしながら、
全体として一つの作業や工程を構成している場合、
それらは 機械及び装置 として整理されます。
器具及び備品との区分
機械及び装置と混同しやすい科目に
器具及び備品 があります。
両者を区分する際の考え方は、次のとおりです。
- 機械及び装置
- 生産や作業の工程の一部を構成する
- 複数の機器が一体となって機能する
- 器具及び備品
- それ自体で固有の機能を果たす
- 独立して使用される
単独で使用する機器か、
工程の一部として使用される設備か、
という点が判断のポイントになります。
建物附属設備との違い
機械及び装置は、
建物附属設備 とも混同されやすい科目です。
建物附属設備とは、
- 冷暖房設備
- 給排水設備
- 電気設備
- 昇降設備
など、
建物と一体となって機能する設備 を指します。
これらは、
機械としての性質を持っていても、
建物に附属し、建物の機能を補完するものであるため、
機械及び装置ではなく、建物(附属設備) に区分されます。
車両運搬具との区分
機械及び装置は、
車両運搬具 との区分も重要です。
- 車両運搬具
- 人や物を運搬することを目的とするもの
- 機械及び装置
- 作業や加工を行うことを目的とするもの
同じ車輪付きの機械であっても、
運搬が主目的であれば車両運搬具、
作業が主目的であれば機械及び装置、
というように、使用目的 によって区分します。
社会福祉法人における機械及び装置
社会福祉法人では、
機械及び装置を保有するケースは多くありませんが、
- 就労支援事業
- 授産事業
- 自主製品の製造・加工
などを行う場合には、
製造工程に使用される設備が
機械及び装置 に該当することがあります。
取得価額の考え方
機械及び装置の帳簿価額は、
次の考え方で整理します。
機械及び装置の帳簿価額
= 取得に要した直接費用 + 付随費用
付随費用には、
- 設置工事費
- 試運転費用
- 使用可能な状態にするために必要な費用
などが含まれます。
管理上の留意点
機械及び装置は、
器具及び備品や建物附属設備と区分を誤りやすいため、
- 使用目的は何か
- 単体か、工程の一部か
- 建物と一体か、独立しているか
といった点を整理しながら、
固定資産管理台帳に登録することが重要です。
まとめ
機械及び装置は、
- 作業や生産工程の一部を構成する設備であること
- 器具及び備品とは「独立性」で区分すること
- 建物附属設備とは「建物との一体性」で区分すること
- 車両運搬具とは「使用目的」で区分すること
これらを整理して理解しておくことで、
固定資産の区分や減価償却の場面でも、
迷いにくくなります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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