長期預り金|社会福祉法人会計における位置づけと考え方
はじめに
長期預り金は、入居者等から将来のサービス提供等に備えて受け取る預り金のうち、長期にわたり返還義務が存続するものをいいます。
代表例は、軽費老人ホーム(ケアハウス)等における入居者からの管理費等の一括預り金です。
これは法人の収益ではなく、将来返還義務を伴う負債として処理します。
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厚生労働省による勘定科目の説明
長期預り金
固定負債で長期預り金をいう。(軽費老人ホーム(ケアハウスに限る。)等における入居者からの管理費等預り額をいう。)出典
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
この定義から分かるポイントは、
- 固定負債であること
- 入居者からの預り金であること
- 返還義務があること
です。
発生する場面
軽費老人ホーム等では、居住に要する費用を「一括支払い方式」で受け取ることがあります。
一括で受け取った金額は、
- 毎月の利用料へ振替
- 退去時には未経過分を返還
という性質を持ちます。
したがって、受け取った時点では収益ではなく、負債として計上します。
長期預り金積立資産との関係
長期預り金は、対応する資産として
長期預り金積立資産を計上するのが一般的です。
■ 基本的な対応関係
固定資産
長期預り金積立資産
固定負債
長期預り金
このように、資産と負債を対応させて表示します。
これは、
- ○○積立資産 と ○○積立金(純資産)
の対応関係と似ていますが、
長期預り金は負債である点が異なります。
管理の重要性
長期預り金は、入居者ごとの管理が不可欠です。
- 預り金管理規程の整備
- 入居者別台帳の管理
- 毎月の収益振替の適正処理
- 返還額の計算根拠の明確化
預かった金額は法人固有の資金ではないため、
適切な区分経理が求められます。
長期預り金と収益の関係
受領時
現金預金 / 長期預り金
毎月振替時
長期預り金 / 事業収益
という形で、時間の経過に応じて収益化していきます。
この処理により、適正な期間配分が行われます。
実務上の確認ポイント
- 預り金管理規程の有無
- 入居者別残高の整合
- 長期預り金と長期預り金積立資産の対応
- 退去時精算の処理方法
特に、積立資産との対応関係が崩れていないかを確認します。
まとめ
長期預り金は、
- 入居者等からの一括預り金
- 返還義務を伴う固定負債
- 毎月収益へ振替処理を行う
- 長期預り金積立資産と対応させて管理する
預り金は収益ではありません。
制度の趣旨を理解し、
入居者との信頼関係を守るためにも、正確な管理が重要です。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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