その他の固定負債|社会福祉法人会計における位置づけと考え方
はじめに
「その他の固定負債」は、固定負債の各科目に該当しない長期債務をまとめて表示するための科目です。
ただし、この科目はあくまで補助的なものです。
金額が大きい場合や内容が特定できる場合には、独立した科目を設けることが望ましいとされています。
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厚生労働省による勘定科目の説明
その他の固定負債
上記(固定負債の各科目)に属さない債務等であって、貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものをいう。ただし、金額の大きいものについては独立の勘定科目を設けて処理することが望ましい。出典
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
ここから読み取れるポイントは、次の2点です。
この科目の2つの特徴
① 他の固定負債に属さない長期債務であること
支払期限が1年を超える債務であっても、
- 設備資金借入金
- 長期運営資金借入金
- 長期未払金
- 退職給付引当金
- 長期預り金
など、既に定められた科目に該当するものは、それぞれの科目で処理します。
それらに該当しないものが、「その他の固定負債」となります。
② 金額が比較的小さいこと
通知では、
金額の大きいものについては独立の勘定科目を設けることが望ましい
と明記されています。
つまり、「その他」は本来、金額が大きくなるべき科目ではありません。
なぜ「その他」を増やしてはいけないのか
貸借対照表に次のような表示があったとします。
- 長期未払金 150万円
- 長期預り金 24万円
- その他の固定負債 1,000万円
この場合、多くの人は
「その他って何だろう?」と疑問を持ちます。
一方で、
- 長期未払金 150万円
- 長期預り金 24万円
- 設備資金借入金 1,000万円
と表示されていれば、資金の性格が一目で理解できます。
財務諸表は「説明するための書類」です。
科目名は、その説明の入り口になります。
新しい取引と科目の整理
経済環境の変化により、新しい契約形態や債務が生まれることがあります。
既存科目に当てはまらない場合、
- まずは性質を整理する
- 他の固定負債に該当しないか確認する
- 金額の重要性を検討する
そのうえで、必要に応じて新たな科目を設けます。
「その他」にまとめることは、最終手段です。
実務上の確認ポイント
- その他の固定負債の内容が具体的に把握できているか
- 内訳明細が整備されているか
- 金額が重要性を超えていないか
- 独立科目を設けるべき取引が含まれていないか
特に、残高が大きい場合は注意が必要です。
まとめ
その他の固定負債は、
- 他の固定負債に該当しない長期債務
- 金額が比較的小さいもの
- 内容を明確にできない場合の補助的科目
という位置づけです。
「その他」という言葉は便利ですが、
多用すると財務情報の透明性を下げてしまいます。
科目名は、法人の財務状況を伝えるメッセージです。
内容に応じた整理を心がけましょう。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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