勘定科目の解説 事業活動計算書 事務費 修繕費 社会福祉法人会計
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厚生労働省の勘定科目の説明 修繕費
修繕費
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
建物、器具及び備品等の修繕又は模様替の費用をいう。ただし、建物、器具及び備品を改良し、耐用年数を延長させるような資本的費用を含まない。
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勘定科目説明の解説
費用科目の解説について
事業活動計算書の費用科目については、中区分の分類を用いながら小区分の科目を解説していきます。
修繕費
今回、解説する勘定科目の体系は下のようになっています。
大区分 | 中区分 | 小区分 |
事務費 | 修繕費 | - |

大区分は、「事務費」です。
施設(及び本部)の運営事務に要する費用になります。
平成12年度に制定された(旧)社会福祉法人会計基準の科目説明には
大区分についても説明がありました。
事務費支出
平成12年 社会福祉法人会計基準 事業活動収支計算書勘定科目の説明より
本部及び施設の運営事務に要する人件費以外の費用をいう。

中区分は「修繕費」です。
施設・事業所の建物や器具及び備品、車両などを修繕・改修する際の費用です。
施設や事業所を継続して運営していく上では、発生してしまう費用の一つと言えますね。
修繕とは:(スル)壊れたり悪くなったりしたところを繕い直すこと。修理。
出典 「デジタル大辞泉」(小学館より)
修繕費と固定資産の計上(資本的支出)について
法人が保有する固定資産を修繕する場合には、費用(支出額)を修繕費に計上するか、資本的支出として固定資産に計上するか、判断が重要になります。
判断の基準として、厚生労働省の修繕費の勘定科目説明の中の、ただし書きがポイントです。
勘定科目 | 厚生労働省の勘定科目の説明 |
修繕費 | 建物、器具及び備品等の修繕又は模様替の費用をいう。 ただし、建物、器具及び備品を改良し、耐用年数を延長させるような資本的費用を含まない。 |
修繕を行う場合には、内容について、名目的に判断するのではなく実質的な観点から検討し、
修繕内容が固定資産の改良に該当して、耐用年数を延長させる場合には、
修繕費ではなく、固定資産を計上していく必要があります。
計算書類 | 事業活動計算書 | 貸借対照表 |
大区分 | 事務費 | 固定資産 |
中区分 | 修繕費 | 建物・器具及び備品ほか |
内容 | 原状の機能を維持するため | 機能が改善されて 耐用年数が延長される |
例 | 原状回復 維持管理 | 使用可能期間が延長 固定資産の価値が向上 |
(参考)国税庁ホームページ 修繕とならないものの判定
国税庁のホームページには、修繕とならないものの判定について示されています。参考に記載しておきます。
修繕費になるかどうかの判定
修繕費になるかどうかの判定は修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなく、その実質によって判定します。例えば、次のような支出は原則として修繕費にはならず資本的支出となります。1 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
2 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額
3 機械の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額
出典 国税庁ホームページ「修繕費とならないものの判定」より
ただし、一つの修理や改良などの金額が20万円未満の場合またはおおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などである場合は、その支出した金額を修繕費とすることができます。
修繕に要する費用が経理規程に定める固定資産の計上の基準を満たさない場合(10万円以下など)には、修繕費として計上していきます。
簡単な説明です

修繕費
建物や器具、車輌等の固定資産を改修、修理する必要です。
修理することで機能が向上するなど、固定資産の耐用年数が伸びる場合には、修繕費ではなく固定資産に計上します。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
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勘定科目の解説の一覧
よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。
マツオカ会計事務所のストーリー
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
