マツオカ会計事務所

専門的財務監査のポイント⑨ 「3 収入⑵その他収入」について ~企業主導型保育事業~

出納帳

企業主導型保育事業の専門的財務監査

令和3年度から、企業主導型保育事業に対して専門的財務監査が行われます。
専門的財務監査は、監査法人(公認会計士等)によって行われることになります。

児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。

今回は、3 収入(2)その他収入 になります。

専門的財務監査の評価基準の内容とポイント
3 収入(2)その他収入

専門的財務監査の評価基準の内容の横に、ポイントとなるところを記載していきます。

区分監査事項評価事項社会福祉法人のポイント
・保育料収入(保護者から徴収する基本保育料や延長保育料、実費徴収の収入等)

・共同利用収入(共同利用契約を締結している企業から受け取る利用料・契約料の収入等)

・その他の事業収入(一時預かり事業、病児保育事業の収入)

・その他の収入(預金の受取利息、職員から徴収する寮費や給食代、寄付による収入等)

については、領収書を発行し、会計責任者の承認を得るなど、適正な収入処理が行われているか確かめる。
・適正な収入処理が行われていない。

・収入処理に一部不備等がある。
○収入について領収書を発行しているか(領収書控え)

○会計責任者の承認を受けているか

○領収書の控えと会計帳簿(各収入科目)の金額は一致しているか。
収入として計上されている金額は、
児童育成協会に報告した収支決算書に記載されている金額と一致しているか確かめる。
・不一致の場合、その理由が明確になっていない。○児童育成協会へwebで報告する際に、計算書類(決算書)を基に正しく入力できているか。
運営費の対象となっている経費を
保護者から別途徴収していないか確かめる。
・不適切な徴収をしている。○徴収不可の経費を保護者から徴収していないか
現金収入は直ちに支出に充てることなく、
金融機関に預け入れているか確かめる。
・金融機関に預け入れず、支出に充てている。○(小口)現金(支払用)と、収入された現金を分けて管理できているか。

○通帳の入金額と、収入金額が一致しているか
現金収入は、現預金出納帳を作成し、日々記帳しているか確かめる。・数日分をまとめて記帳している。○現金出納帳は、日々、記帳ができているか。
現金実査を原則日々実施しているか確かめ、帳簿の現金残高と実際現金残高の一致を確かめる。・現金実査を行っている形跡がない○現金実査を行っているか。
小口現金及び現金残高を実査し、実査表を作成し上長の承認を得ているかを確かめる。・上長の承認を得ていない○現金実査表を作成して、会計責任者などの押印が適切にされているか。

保護者から別途徴収可能な経費の例

保護者から徴収可能な経費の例

  • 帽子、名札、制服・体操着、IDカード、写真、アルバム、DVD、自由画帳、個人用の物品等(オムツ、オムツ処理費、お尻ふき、コップ・箸・スプーン、歯ブラシ、のり、鉛筆、マーカー、はさみ、クレパス、ゴム印、教材費、シール、スモック、お道具箱、文具セット、ワークブック、カスタネット、衣類)
  • 遠足積立金、宿泊行事費、展覧会見学費、保護者に係る費用(保育参加時給食費、遠足費用)、イベント費用
  • 3歳以上の児童の主食/副食の提供に係る費用、布団カバー、タオルタオルケット、布団カバー等の洗濯代、夕食・夕方の補食代
  • 個人ごとに任意に加入する保険の保険料、駐車場利用料、防災頭巾

などが想定されています。

保護者から実費徴収をする際の注意点

実費徴収にあたっては、あらかじめ、当該金銭の使途及び金額並びに保護者に金銭の支払を求める理由について書面によって明らかにするとともに、保護者に対して説明を行い、同意を得る必要があります。

  • 徴収する金銭の使途(用途)
  • 金銭の支払いを求める理由
  • 保護者へ書面によって明示する
  • 保護者に説明を行い、同意を得る

実費徴収できない経費の例

保護者から徴収できない経費の例

敷布団、掛布団等の寝具、冷暖房費、ティッシュペーパー 、連絡帳、おしぼり、入園料

収入手続きについて

児童育成協会からの助成金以外の収入について、注意しておくことは、以下のところが中心になってきます。

NO.確認しておきたい手続きの内容
領収書を発行する等、適切に収入の手続きを行っているか。
収入を現金で受け入れた場合に経理規程に定める日数以内に金融機関へ預け入れているか。
収入した現金を銀行に入金せずに、直接、経費の支払いなどに使用していないか。
経理規程の規程にしたがい、現金実査を行い現金の有り高を確認しているか。

状況を一度、確認してみましょう。


その他の収入の口座と助成金専用口座の取扱い

助成金の受入にあたっては、助成金受入専用口座を設けることが求められています。

助成金の受入とその他の収入を受け入る口座を別々にすることが望ましいです。

  • 助成金の受入専用口座とその他の収入の受入口座は別に設けているか。
  • 助成金の受入専用口座には、助成金以外の入金が行われていないか。
  • 助成金以外の収入(保護者からの利用料等)は、助成金専用口座とは別の口座で受入ることが望ましいでしょう。

企業主導型保育事業 各監査での指摘事項 令和4年度~令和5年度

下のリンクから指摘事項のページに進みます。

専門的財務監査専門的労務監査立入調査午睡時抜き打ち調査
4年度4年度4年度4年度
5年度速報値5年度速報値5年度速報値5年度速報値

企業主導型保育事業

専門的財務監査の対応支援をオンラインで

各種規程の販売

ご要望にお応えし、各種規程の販売を開始しました。販売サイトはこちら

専門的財務監査の解説記事の一覧はこちら


社会福祉法人専門 公認会計士・税理士による書籍

Amazonのページはこちら(試し読み機能あり)

Amazonの試し読み機能をぜひご活用ください。本の内容を一部ご覧いただくことができます。

第1巻
資金収支計算書

63ページ
1870円

NO.タイトルページ価格
第1巻資金収支計算書 (第5版)581870円
第2巻事業活動計算書(第3版)731925円
第3巻貸借対照表 (第3版)811980円
第4巻経営組織(理事・監事や理事会・評議員会について)571760円
第5巻随意契約 451650円
第6巻注記と附属明細書1091980円
第7巻社会福祉法人会計簿記の特徴
『大切なのは、1行増えること』
521870円
第8巻管理職のための
社会福祉法人会計基準の逐条解説
831980円
第9巻利益と増減差額
 ~その違いからわかること~
471815円
第10巻現金主義と発生主義、実現主義
 ~収益と費用を計上するタイミングはいつ?~
671980円
※ 第4巻 経営組織は、法人の理事・監事や評議員について解説しています

マツオカ会計事務所のストーリー

よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。



代表挨拶へ

(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

モバイルバージョンを終了