社会福祉法人の理事会・評議員会では書面決議は認められているかー「書面決議(書面投票)」と「決議の省略の書面による同意」の違いとは?ー
はじめに
社会福祉法人の運営において、
- 書面決議(書面投票:書面による議決権行使)
- 決議の省略(いわゆる「みなし決議」の書面による同意)
が混同されることがあります。
しかし、この2つは全く異なる制度です。
実務上の違いを整理します。
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1.「書面決議(書面投票)」とは何か
書面決議(書面投票)とは、
会議を開催したうえで、出席できない者が書面で議決権を行使する仕組み
です。
ポイント
- 会議は開催される
- 出席概念がある
- 書面で賛否を提出する
- 書面議決者は出席者として扱われる
👉上場企業で株主の議決権行使を行うハガキをイメージすると分かりやすいでしょう。
社会福祉法人では書面決議(書面投票)は原則不可。
社会福祉法人の理事会・評議員会では、
書面による議決権行使は原則として認められていません。。
理事会、評議員会は「出席・開催による討議を前提とする機関」だからです。
2.「決議の省略(みなし決議)」とは何か
決議の省略とは、
会議そのものを開催せず、全員の同意があった場合に決議が成立したとみなす制度
です。
成立要件
- 理事または評議員の全員同意
- 書面または電磁的方法による意思表示
- 監事が異議を述べないこと(理事会)
同意の確認書類
理事・評議員が同意したことを「同意書」として書面で残す方法が推奨されています。
ここが書面決議との違い
| 項目 | 書面決議(書面投票) | 決議の省略 |
|---|---|---|
| 会議開催 | する | しない |
| 全員同意 | 不要 | 必要 |
| 出席概念 | ある | ない |
| 社会福祉法人の取扱い | 不可 | 可 |
※なお、決議の省略のことを「書面決議」と表現することも、一般的によくあります。
文章や説明の中で、「書面決議」という言葉が、書面投票と決議の省略のどちらを意味しているのか、十分に注意してください。
3.理事会の場合
社会福祉法人の理事会では、
- 書面決議(書面投票) ❌ 原則不可
- 決議の省略 ⭕ 可能(全員同意の場合)+(※定款で定めた場合のみ)
となります。
注意(定款で定めた場合)
※社会福祉法人の理事会で決議の省略を行うためには、予め、定款に「理事会決議の省略」について定めておく必要があります。
(理事会の決議の省略)
社会福祉法第四十五条の十四第9号で準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十六条
第九十六条 理事会設置一般社団法人は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
4.評議員会の場合
評議員会では、
- 書面決議(書面投票) ❌ 原則不可
- 決議の省略 ⭕ 可能(全員同意の場合)
(評議員会の決議の省略)
社会福祉法第四十五条の九第10号で準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十四条
第百九十四条 理事が評議員会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき評議員(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなす。
5.実務で注意すべき点
✔ 議事録は必ず作成する
✔ 全員同意の証拠を残す(同意書)
✔ 監事への確認を忘れない
✔ 理事会の場合には定款規定を確認する
形式を誤ると、
決議が適正に行われていないことにつながります。
6.まとめ
社会福祉法人では、
書面決議(書面投票)
原則不可
決議の省略の書面による同意
可能(下の場合)
- 理事会・・・「定款で定める場合+理事全員同意+監事の異議がない場合
- 評議員会・・・評議員全員の同意がある場合
という整理になります。
制度趣旨を理解し、
適切な手続きを行うことが重要です。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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