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役員と役員会・指導監査の準備

監事の資格要件|社会福祉法・審査基準に基づく実務での確認ポイント

はじめに

社会福祉法人の監事は、
法人の業務・財産の状況を監査し、理事会・評議員会と並ぶ重要な役員です。

そのため、監事には

  • 法令で定められた資格要件
  • 審査基準が求める能力
    を満たしていることが必要であり、
    選任手続きの中で、要件を満たしていることを説明・記録することが不可欠です。

この記事では、監事の資格要件を体系的に整理し、
評議員会の選任時に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。


本記事は、社会福祉法人会計を専門とする公認会計士・税理士が、法令や厚生労働省の通知に沿って、実務で起こりやすい論点を解説しています。

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1.監事に必要な資格要件(全体像)

社会福祉法では、監事について次の要件を定めています。

● 監事は 2名以上 必要

● 監事のうち、次の2つの専門性を備える者を含む必要がある

必要な専門性内容
① 社会福祉事業について識見を有する者事業の内容・目的・実務に関する理解
② 財務管理について識見を有する者会計・決算書・内部統制等を理解し監査できる者

(社会福祉法 第44条 第5項)
「監事のうちには、次に掲げる者が含まれなければならない。」


2.社会福祉法に基づく根拠

社会福祉法 第44条の規定では、役員の資格・員数・構成が次のように定められています。

  • 監事は 2名以上
  • 監事のうちに
    • ① 社会福祉事業に識見を有する者
    • ② 財務管理に識見を有する者
      を含むこと

これは、福祉の現場の理解と財務監査の専門性の両面を法人内部で確保するための仕組みとされています。


3.審査基準が求める追加の能力(重要)

社会福祉法人審査基準では、監事の望ましい構成として次のように示されています。

監事には、公認会計士または税理士を登用することが望ましい。

これは義務ではありませんが、審査基準で明示されていることから、財務監査を適切に行える能力のある者を選任することが望ましいとされています。

● なぜ会計士・税理士が望ましいとされるのか

  • 社会福祉法人会計は制度改正が多く専門性が高い
  • 財務・会計の内部牽制や決算書の信頼性を確保するため
  • 監査の指摘事項が法人運営に直結するため

※ただし、法律上「必須」ではないため、法人の規模や事業内容に応じて判断します。

社会福祉法人審査基準

4 監事

(5) 監事には、公認会計士又は税理士を登用することが望ましいこと。

出典:厚生労働省「社会福祉法人審査基準」より


4.監事の役割から見た必要な専門性

監事は、

  • 業務監査(事務局・現場の業務運営の状況)
  • 会計監査(計算書類・財務運営の状況)
    を担うため、次の専門性が求められます。

① 社会福祉事業に関する識見

例:

  • 社会福祉協議会や福祉団体等での経験
  • 社会福祉事業の業務内容に関する実務経験
  • 地域福祉に関する理解や実務経験 など

② 財務管理に関する識見

例:

  • 会計士・税理士
  • 企業等での財務・経理実務経験
  • 内部管理体制・リスク管理の実務経験 など


5.評議員会で行う「資格要件の確認」と記録(重要)

監事を選任する際には、評議員会の選任決議の中で、資格要件を満たしているかを必ず確認し、議事録に記録する必要があります。

▼ 確認すべき項目

  • 監事が 2名以上であるか
  • うち1名以上が
    • 社会福祉事業に識見を有する者
    • 財務管理に識見を有する者
      のいずれかを満たしているか
  • その根拠(略歴・実務経験など)が説明されているか

▼ 資料として準備するもの

  • 監事候補者の履歴書(新任・再任問わず全員分)
  • 誓約書(欠格事由・特殊関係者の確認にも使用)
  • 必要に応じて資格証明・経歴資料

▼ 議事録に記録すべき内容

  • 各監事候補者がどの資格要件に該当するか
  • その根拠を評議員会で説明したこと
  • 評議員会が適正と判断した旨

履歴書について

履歴書は、新任となる監事さんだけでなく、再任される監事さんを含めて全ての監事さんのものが必要になります。


6.実務でよくある質問(Q&A)

Q:監事は1名でもよいか?

不可。必ず2名以上が必要(社会福祉法)。

Q:2名とも会計系の人材でよいか?

→ 法的には問題ないが、1名は社会福祉事業の識見が必要。

Q:理事と監事を兼ねることはできるか?

不可。(社会福祉法 第44条第2項の準用)


7.チェックリスト

  • 監事は2名以上いる
  • うち1名以上が「福祉の識見」を満たす
  • うち1名以上が「財務の識見」を満たす
  • 履歴書で根拠を確認している
  • 評議員会で資格要件を説明し議事録に記録している
  • 誓約書(欠格事由・特殊関係者の確認)を取得している

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参考条文

人数及び資格要件

(役員の資格等)
第四十四条 第四十条第一項の規定は、役員について準用する。
2 (略)
3 理事は六人以上、監事は二人以上でなければならない。
4 (略)
5 監事のうちには、次に掲げる者が含まれなければならない。
一 社会福祉事業について識見を有する者
二 財務管理について識見を有する者

社会福祉法

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アラフィフ
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記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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