監事の選任手続きの確認 「監事の資格要件の確認手続き」社会福祉法人会計・法人運営
社会福祉法人の監事の改選期
令和3年度は、ほとんどの社会福祉法人では評議員の改選期とともに、理事、監事も改選期でした。
6月の定時評議員会後(決算評議員会)に新しい理事、監事の任期が始まっている法人さんが多いと思います。
監事の選任について正しい手続きを行い、記録がきちんと残されているか、今年度以降の指導監査に向けて準備をしていきましょう。
監事の資格要件について
前回まで、評議員と理事の資格要件を確認しました。
評議員は、こちらの記事になります。
理事は、こちらの記事です。
今回は、監事の資格要件を確認していきましょう。
監事の資格要件は
監事は2人以上で、その内に、①~②に該当する者を含む必要があります。
監事の資格要件
① 社会福祉事業について識見を有する者
② 財務管理について識見を有する者
になります。
監事は、1人だけではだめで、複数必要ということです。
多くの法人さんでは、①と②の要件を満たす方をお一人ずつ、監事に任命されていますね。
社会福祉法の規定
社会福祉法では、理事に求められる資格要件について以下のように定められています。
(役員の資格等)
第四十四条 第四十条第一項の規定は、役員について準用する。
2 (略)
3 理事は六人以上、監事は二人以上でなければならない。
4 (略)
5 監事のうちには、次に掲げる者が含まれなければならない。
一 社会福祉事業について識見を有する者
二 財務管理について識見を有する者
社会福祉法人審査基準の規定
平成29年度の社会福祉法人の制度改革からは、社会福祉法人の審査基準にこのような項目が追加されました。
社会福祉法人審査基準
4 監事
(5) 監事には、公認会計士又は税理士を登用することが望ましいこと。

社会福祉法人制度改革の資料では、経営組織のガバナンス強化という言葉が使われています。
とても複雑な社会福祉法人会計に対する法人内部の財務面のチェック機能として役割ですね。

当事務所では、京都市役所版の「監事監査チェックポイント」を作成しています。
初めて社会福祉法人さんの監事になられる、公認会計士・税理士さんにも使ってもらえる内容です。
監事さん向けの実務研修会も開催しています。

社会福祉法人さんへは、初めて公認会計士や税理士に法人の監事をお願いする際のポイントをお伝えしています。
評議員会での監事の選任決議の確認
監事の候補者が、監事としての資格要件を満たしていることを、選任の手続きの中できちんと確認を行ったことの記録が大切になります。
具体的には、
・監事の候補者から履歴書や誓約書などの提出を受けて、
・評議員会の監事を選任する場で説明・報告し、議事録に記録していくことになります。

履歴書において、
職歴(在職状況)など、
資格要件を満たしていることを確認しておきましょう。

評議員会の議事録には、監事候補者が2名以上、うち①~②の「資格要件を満たしている者が含まれていること」の説明が行われた記録がされているか
評議員会の議事録に添付する監事(候補者)の履歴書を、一度、確認してみましょう。

履歴書は、新任となる監事さんだけでなく、再任された監事さんを含めて全ての監事さんのものが必要になります。
次回はこのテーマです。
- 評議員会による決議の確認
- 法人運営・指導監査の準備の記事の一覧はこちら
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この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士 スマート介護士
マツオカ会計事務所 代表
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
約20年間、社会福祉法人と一緒になり、法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
