車両運搬具|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と考え方
はじめに
社会福祉法人が保有する有形固定資産は、
その用途や性質に応じて
建物、構築物、機械及び装置、車両運搬具、器具及び備品
などに区分されます。
このうち 車両運搬具 は、
人や物を運搬することを目的として使用される資産を整理するための勘定科目です。
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厚生労働省の勘定科目の説明
車両運搬具
出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
乗用車、送迎用バス、入浴車等をいう。
この定義のとおり、
車両運搬具に該当するかどうかは、
「人や物を運ぶこと」を主たる目的としているか
という点が判断の基準になります。
車両運搬具の範囲
車両運搬具には、
自動車だけでなく、
一定の条件を満たす次のような資産も含まれます。
- 送迎用の乗用車
- マイクロバス
- 福祉車両
- 入浴車
- 自動二輪車
- 電動自転車
社会福祉法人会計では、
一般に 取得価額が10万円以上 のものが
固定資産として整理されます。
そのため、
取得価額が10万円を超える
自動二輪車や電動自転車についても、
車両運搬具として計上されることがあります。
機械及び装置との区分
車両運搬具は、
機械及び装置 と区分を誤りやすい科目です。
両者の考え方は次のとおり整理されます。
- 車両運搬具
- 人や物を運搬することを目的とする
- 機械及び装置
- 作業や加工を行うことを目的とする
同じ車輪付きの設備であっても、
使用目的が「運搬」か「作業」か によって、
勘定科目が異なります。
車両運搬具の取得価額の考え方
車両運搬具の帳簿価額は、
次の考え方で整理します。
車両運搬具の帳簿価額
= 車両本体の取得価額 + 取得に直接要した付随費用
車両購入時の見積書や請求書には、
さまざまな明細が記載されていることが一般的です。
そのうち、
- 車両本体価格
- 常時搭載する附属品やオプション
- 納車費用
などは、
車両運搬具の取得価額に含めて整理します。
一方で、
- 自賠責保険料
- 税金
- リサイクル預託金
などは、
内容に応じて
保険料、租税公課、前払費用等 として
区分して処理することになります。
補助金等を受けて取得した場合
社会福祉法人では、
車両の購入にあたり、
補助金や寄附金を受けるケースも少なくありません。
その場合には、
- 車両の取得価額は通常どおり資産計上
- 補助金等は施設整備等補助金収益として計上
- 同額を国庫補助金等特別積立金として積み立て
といった会計処理を行い、
減価償却の進行に応じて
国庫補助金等特別積立金を取り崩していきます。
会計処理の継続性
車両の購入は、
社会福祉法人の運営において
一定の頻度で発生する取引です。
そのため、
- 車両ごとに処理方法を変えないこと
- 同じ用途の車両には同じ会計処理を適用すること
といった
会計処理の継続性 を意識することが重要です。
まとめ
車両運搬具は、
- 人や物を運搬することを目的とする資産であること
- 取得価額10万円以上のものが固定資産となること
- 機械及び装置とは使用目的で区分すること
- 付随費用の扱いに注意が必要であること
これらを整理して理解しておくことで、
決算や監査の場面でも、
車両に関する説明を落ち着いて行いやすくなります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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