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勘定科目の解説|社会福祉法人会計

建設仮勘定|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と考え方

はじめに

社会福祉法人が固定資産を取得する際には、
建物や構築物などの完成までに、
一定期間を要する工事が行われることがあります。

建設仮勘定 は、
こうした固定資産の建設・拡張・改造などに関連して、
工事が完了し、実際に使用を開始するまでの間に発生する支出を、
一時的に整理するための勘定科目です。

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厚生労働省の勘定科目の説明

建設仮勘定
有形固定資産の建設、拡張、改造などの工事が完了し稼働するまでに発生する
請負前渡金、建設用材料部品の買入代金等をいう。

出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

この定義から分かるとおり、
建設仮勘定は 完成前の固定資産に関する支出を集約するための科目 です。


建設仮勘定が用いられる場面

社会福祉法人において建設仮勘定が用いられるのは、
主に次のようなケースです。

  • 施設の新築工事
  • 施設の増築・改修工事
  • 大規模な設備更新工事

これらの工事では、
工期が長期にわたることが多く、
契約時・工事途中・竣工時など、
複数回に分けて支払いが行われる のが一般的です。


工事代金の支払いと会計処理

建設工事の代金の支払い方法は、
建設請負契約書に基づいて定められます。

大規模な工事では、

  • 着手金
  • 中間金
  • 竣工時の最終支払

といった形で支払いが行われることがあります。

これらの支出は、
工事が完了し、固定資産として使用を開始するまでは、
建物や構築物といった正規の固定資産科目ではなく、
建設仮勘定で処理
します。


正規の勘定科目への振替

工事が竣工し、
引渡しを受けて施設の供用(使用)が開始された時点で、
それまで建設仮勘定に計上していた金額を、
正規の固定資産科目(建物、構築物等)へ振り替えます。

この際には、

  • 工事期間中に支払った金額の合計
  • 建設仮勘定の残高

が一致しているかを確認したうえで、
振替処理を行うことが重要です。


仮払金との違い

建設仮勘定は、
一時的に支出を集約する点で、
流動資産である 仮払金 と似た性質を持ちます。

しかし、

  • 建設仮勘定
    • 将来、固定資産として計上されることを前提とした支出
  • 仮払金
    • 内容確定前の一時的な支払

という点で、
目的と位置づけが異なる 科目です。


管理上の留意点

建設仮勘定は、
工事期間が長期に及ぶ場合、
帳簿残高が長期間残る ことがあります。

そのため、

  • 建設仮勘定の残高内容を把握しているか
  • 工事の進捗状況と整合しているか
  • 竣工後の振替漏れがないか

といった点を、
定期的に確認しておくことが重要です。


まとめ

建設仮勘定は、

  • 固定資産の建設・改修が完了するまでの支出を整理する科目であること
  • 工事期間中は正規の固定資産科目では処理しないこと
  • 供用開始時に正規の科目へ振り替えること
  • 残高管理と振替漏れ防止が重要であること

これらを整理して理解しておくことで、
決算や監査の場面でも、
建設工事に関する会計処理を落ち着いて説明しやすくなります。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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