勘定科目の解説「○○減価償却累計額」社会福祉法人会計
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厚生労働省の勘定科目の説明 その他の固定資産 ○○減価償却累計額
○○減価償却累計額
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
貸借対照表上、間接法で表示する場合の有形固定資産の減価償却の累計をいう。
勘定科目説明の解説
減価償却
社会福祉法人会計基準の規定
社会福祉法人会計基準では、減価償却について、下のように規定されていますね。
(資産の評価)
第四条 資産については、次項から第六項までの場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。ただし、受贈又は交換によって取得した資産については、その取得時における公正な評価額を付すものとする。
2 有形固定資産及び無形固定資産については、会計年度の末日(会計年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この条及び次条第二項において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。
さらに
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて」では、以下のように通知されています。
16 減価償却について(会計基準省令第4条第2項関係)
(1)減価償却の対象
耐用年数が1年以上、かつ、使用又は時の経過により価値が減ずる有形固定資産及び無形固定資産(ただし、取得価額が少額のものは除く。以下「償却資産」という。)に対して毎期一定の方法により償却計算を行わなければならない。
なお、土地など減価が生じない資産(非償却資産)については、減価償却を行うことができないものとする。(2)減価償却の方法
減価償却の方法としては、有形固定資産については定額法又は定率法のいずれかの方法で償却計算を行う。
また、ソフトウエア等の無形固定資産については定額法により償却計算を行うものとする。
なお、償却方法は、拠点区分ごと、資産の種類ごとに選択し、適用することができる。(3)減価償却累計額の表示
有形固定資産(有形リース資産を含む。)に対する減価償却累計額を、当該各資産の金額から直接控除した残額のみを記載する方法(以下「直接法」という。)又は当該各資産科目の控除科目として掲記する方法(以下「間接法」という。)のいずれかによる。間接法の場合は、これらの資産に対する控除科目として一括して表示することも妨げない。
無形固定資産に対する減価償却累計額は直接法により表示する。
減価償却の始まり
減価償却の考え方は、産業革命時の鉄道の発展とともに、会計の処理として考えられたという説がありますね
蒸気機関車の発明により、人や物資の移動網が広範囲に渡るようになってきました。
線路(軌道)をどんどん伸ばしていく中で、膨大に係る軌道敷設のための費用を、支出時の費用とせずに、使用できる期間(耐用年数)に渡って配分していこうと考えられたと言われています。
減価償却後の固定資産の表示方法
減価償却累計額について
会計に馴染みがないと、減価償却累計額の意味がピンとこないところもあります。
減価償却累計額は、これまで、その資産について、減価償却を行ってきた金額の合計額です。
例えば、100円で取得した資産について、1年につき10円減価償却を行う場合、2年間、減価償却を行うと減価償却累計額は、20になります。
科目として建物の減価償却累計額という場合には、建物として区分(登録)されている全ての資産の減価償却累計額の合計額になります。
直接法と間接法
計算書類(決算書)に、固定資産に減価償却を行った後の固定資産の帳簿価額を表示する方法として、
直接法と間接法があります。
右例の資産を直接法と間接法で表示して見ましょう。
取得価額(科目 建物) | 100 |
減価償却累計額 | △20 |
帳簿価額(減価償却後) | 80 |
直接法
科 目 | 金 額 |
建物 | 80 |
間接法
科 目 | 金 額 |
建物 | 100 |
建物減価償却累計額 | △20 |
(計) | 80 |
○○減価償却累計額について
上記の例のように、「○○減価償却累計額」は、固定資産の表示(減価償却累計額)について、間接法を採用している場合に、表示されます。
直接法を用いている場合には、「○○減価償却累計額」は表示されないことになります。
会計処理の継続性
固定資産の表示については、直接法と間接法のどちらかを用いることになります。
どちらを用いても大丈夫ですが、いったん決めた方法は、(正当な)理由がない限り変更してはいけません。
平成12年に制定された(旧)社会福祉法人会計基準では、直接法が原則的な取扱いになっていました。
間接法は例外的な取扱いのように明示されていたことから、今も直接法を用いている法人さんが多い印象がありますね。
社会福祉法人会計基準
(会計原則)
第二条
三 採用する会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法については、毎会計年度継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。
簡単な説明です
○○減価償却累計額
決算書(計算書類)の貸借対照表で、有形固定資産の科目を間接法で表示している時に、記載が必要となる科目です。
直接法の場合には、表示する必要がないので、法人が直接法と間接法のどちらを用いているか確認しておこう。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
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よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。