勘定科目の解説「○○積立金」社会福祉法人会計
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厚生労働省の勘定科目の説明 ○○積立金
○○積立金
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
会計基準第4章第4第4項に規定されたその他の積立金をいう。積立ての目的 を示す名称を付した科目で記載する。
勘定科目説明の解説
〇〇積立金についての規定
第六条
社会福祉法人会計基準
3 その他の積立金には、将来の特定の目的の費用又は損失の発生に備えるため、社会福祉法人が理事会の議決に基づき事業活動計算書の当期末繰越活動増減差額から積立金として積み立てた額を計上するものとする。
会計基準を読むと、積立金のポイントを3つ挙げることができます。
NO. | 内 容 |
---|---|
① | 将来の特定の費用や損失に備えるもの |
② | 理事会決議によって積み立てる |
③ | 事業計算書の当期末繰越増減差額から積み立てる |
会計基準を受けて、厚生労働省の通知には、下のように示されています。
19 積立金と積立資産の関係について(会計基準省令第6条第3項関係)
社会福祉法人会計基準の運用上の取り扱い
事業活動計算書(第2号第4様式)の当期末繰越活動増減差額にその他の積立金取崩額を加算した額に余剰が生じた場合には、その範囲内で将来の特定の目的のために積立金を積み立てることができるものとする。積立金を計上する際は、積立ての目的を示す名称を付し、同額の積立資産を積み立てるものとする。また、積立金に対応する積立資産を取崩す場合には、当該積立金を同額取崩すものとする。
会計基準と厚生労働省の通知を基に、3つのポイントを整理してみましょう。
① 将来の特定の費用や損失に備える
積立金は、将来に発生する(または発生するかもしれない)費用や損失について、予め、備えておくために積み立てます。
積み立てる(特定の)目的を明らかにするとともに、名称をつける必要があります。
〇〇積立金の、〇〇のところに具体的な名称をつけていきます。
施設整備積立金や修繕積立金などですね。
②理事会の決議によって積み立てる
積立金を積み立てるには、予め、理事会決議を経て積み立てを行う必要があります。
様々な論点が考えられます。
当ブログのカテゴリー「質問と回答」では、積立金と積立資産の計上手続きについてページを分けて説明しています。
③事業計算書の当期末繰越増減差額から積み立てる
積立金は、事業計算書の当期末繰越活動増減差額(+積立金の取崩額)がプラスの場合に、プラスの金額の範囲内で、積立てを行うことができます。
当期末繰越活動増減差額は、過去からの増減差額(業績)の累計と表すことができますので、過去からの業績の累計がマイナスの場合には、積み立てることができません。
積立金は、拠点単位で積み立てます。事業活動計算書の当期末繰越活動増減差額がプラスかどうかは、拠点単位の事業活動計算書で判断していきます。
積立金と積立資産の取扱い
積立金(純資産の科目)及び積立資産(資産の科目)の積立てについては、大きくは2つの方法が考えられます。
NO. | 内 容 | 目 的 |
---|---|---|
① | 積立金の積立てや取崩しに対応させて同額の積立資産を積み立てる、または取り崩す | 将来の特定目的のため |
② | 積立資産のみを積み立てる。(積立金とは対応させていない) | 資金管理上の目的など |
社会福祉法人の社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについてでは、以下のように規定されています。
19 積立金と積立資産の関係について(会計基準省令第6条第3項関係)
事業活動計算書(第2号第4様式)の当期末繰越活動増減差額にその他の積立金取崩額を加算した額に余剰が生じた場合には、その範囲内で将来の特定の目的のために積立金を積み立てることができるものとする。積立金を計上する際は、積立ての目的を示す名称を付し、同額の積立資産を積み立てるものとする。また、積立金に対応する積立資産を取崩す場合には、当該積立金を同額取崩すものとする。
社会福祉法人の積立金と積立資産の例
①の例
良い例
(1)施設整備積立金を積み立てた場合には、同額の(2)施設整備積立資産を積み立てなければならない
科 目 | 金 額 | 科 目 | 金 額 |
(2) 施設整備積立資産 | 24 | (1) 施設整備積立金 | 24 |
ダメな例
(1)施設整備積立金を積み立てた場合に、(2)施設整備積立資産を積み立てないのはダメ
科 目 | 金 額 | 科 目 | 金 額 |
(2) 施設整備積立資産 | 0 | (1) 施設整備積立金 | 24 |
②の例
(1)資金管理目的で積立資産を積み立てた場合には、必ずしも、積立金の積立ては求められていない。
科 目 | 金 額 | 科 目 | 金 額 |
(1) 資金管理積立資産 | 24 | なし |
積立金を積み立てる場合には、必ず、同額の積立資産の積立が必要になります。
一方で、資金管理目的などで、積立資産を積み立てていく場合には、必ずしも積立金の積立は要請されていません。
積立金と積立資産の整理
社会福祉法人の積立金と積立資産には、手続き上、判断が悩ましいところが色々とあります。
「質問と回答」コーナーでは、積立金と積立資産について、いただいた質問とその回答を書いています。
今後も質問と回答の項目を増やしていく予定です。
固定資産の「○○積立資産」の勘定科目の解説も参考にしてください。
簡単な説明です
○○積立金
将来のいろいろな目的のために、過去からの増減差額(業績)の合計額から予め積み立てておくもの。将来のお給料の支払いのためや大きな修繕のため、新しい施設のためなど目的ごとに口座を作って管理していく。科目例では「○○」となっているが、きちんと名称をつけて管理をしていく。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
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勘定科目の解説の一覧
よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。