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勘定科目の解説|社会福祉法人会計

事業未収金|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と実務のポイント

はじめに

事業未収金は、
介護・障がい福祉・保育などの事業を行う社会福祉法人では
日常的に発生する流動資産の科目のひとつです。

請求自体は終わっていても、
入金は翌月以降になることが多く、
月次や期末では「未収」という形で残ります。

金額の大小よりも、
誰から・いつ入る予定のものかを把握できているか
実務の安定に直結する科目です。

※本記事は、社会福祉法人会計を専門とする公認会計士・税理士が、

厚生労働省の勘定科目の定義に沿って、
実務で起こりやすいポイントを整理しています。

「ホームページ利用上のご注意について」をお読み頂き、これらの条件にご同意の上ご利用ください。

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1. 厚生労働省の定義

事業未収金
事業収益に対する未収入金をいう。

出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

事業未収金は、
すでに収益として計上しているが、
まだ入金されていない金額
を表します。

そのため、

  • 補助金
  • サービス以外の未収金
  • 一時的な貸付
    などは含まれず、
    あくまで「事業収益」に対応する未収金に限定されます。

2. 実務で発生しやすい事業未収金の例

社会福祉法人の会計では、
事業の特性上、入金までに一定の期間が空くことが一般的です。

たとえば、

  • 国保連からの介護給付費・自立支援費給付
  • 市町村からの委託料・市町村特別給付
  • 利用者負担分の請求
  • 企業主導型保育園における利用料

いずれも、
請求月と入金月が一致しないことが多いため、
月次や期末では事業未収金として残ります。

3. 月次実務で気をつけたいポイント

① 相手先ごとに整理する

事業未収金は、
「合計額」だけを見ていると実態が分かりにくくなります。

  • 国保連分
  • 市町村分
  • 利用者分
  • その他取引先分

といった形で、
相手先ごとに把握しておくことが大切です。

② 入金予定と突き合わせる

未収金が長く残っている場合でも、
必ずしも問題があるとは限りません。

  • 入金サイクルがもともと遅い
  • 請求月と支払月が制度上ずれている

といったケースも多いため、
「予定どおりかどうか」を確認する視点が重要になります。

③ 放置しないことが大切

一方で、
入金予定が不明確なまま残っている未収金は、
後から確認が難しくなります。

  • 査定減や再請求漏れ
  • 金額差異
  • 入金確認の行き違い

こうした点を防ぐためにも、
月次の中で簡単に確認する習慣を持つことが
実務の安定につながります。

4. 監査で確認されやすい点

監査では、次のような点が確認されます。

  • 事業未収金の内訳が分かるか
  • 相手先と金額が整理されているか
  • 長期未収になっているものがないか
  • 回収可能性に問題がないか

特に、
通常の入金期限を越えて残っている未収金については、
理由を説明できるようにしておくことが求められます。

5. 現場でよく見かける状況

月次資料を確認していると、
事業未収金の残高が前月と大きく変わっていないことがあります。

金額自体は想定どおりでも、
どこからの入金が残っているのかを整理していないと、
確認作業に時間がかかることがあります。

一方で、
相手先ごとに一覧が整理されている法人では、
月次確認も落ち着いて進み、
担当者さんの負担が小さい印象があります。

まとめ

事業未収金は、
社会福祉法人の会計では避けて通れない科目です。

  • 金額の大小よりも
  • 相手先と入金予定の把握
  • 定期的な確認

こうした基本を押さえることで、
月次・決算・監査いずれの場面でも
実務が安定しやすくなります。

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著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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