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勘定科目の解説|社会福祉法人会計

1年以内回収予定長期貸付金|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と実務の考え方

はじめに

1年以内回収予定長期貸付金は、
社会福祉法人が行った 長期貸付金のうち、決算日の翌日から起算して1年以内に回収期限が到来する部分 を整理するための勘定科目です。

もともとは固定資産に区分されている長期貸付金について、
回収時期に着目して流動資産へ組み替える という考え方が、この科目の基本になります。

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厚生労働省の勘定科目の説明

1年以内回収予定長期貸付金
長期貸付金のうち貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金の期限が到来するものをいう。

出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

この定義のポイントは、
「決算日の翌日から起算して1年以内」 という時間基準にあります。


流動資産と固定資産の区分(1年基準)

貸借対照表の資産は、
流動資産固定資産 に区分されています。

この区分の基本となる考え方が、
1年基準 です。

  • 1年以内に現金化・回収されるもの → 流動資産
  • 1年を超えて現金化・回収されるもの → 固定資産

長期貸付金は、
契約上、返済が1年を超える期間にわたるため、
原則として固定資産に分類されます。


長期貸付金との関係

長期貸付金は、
契約に基づき、長期間にわたって返済を受ける貸付金です。

多くの場合、

  • 月々返済
  • 年1回返済
  • 半年ごとの返済

など、
返済スケジュール(償還予定表・返済計画表)が定められています。

その返済予定表をもとに、

  • 1年以内に回収される金額
  • 1年を超えて回収される金額

を区分し、
1年以内分のみを流動資産として切り出す のが、
1年以内回収予定長期貸付金の会計処理です。


会計処理の考え方(組み替え)

決算時には、
固定資産に計上されている長期貸付金のうち、
1年以内に回収される部分を、
流動資産へ組み替えます。

考え方は次のとおりです。

  • 組み替え前
    • 固定資産:長期貸付金(全額)
  • 組み替え後
    • 流動資産:1年以内回収予定長期貸付金
    • 固定資産:長期貸付金(1年超部分)

この処理は、
貸借対照表上の表示区分を変更するものであり、
新たな貸付や回収が発生したわけではありません。


「1年以内〇〇」科目に共通する考え方

1年以内回収予定長期貸付金は、
「1年以内〇〇」と名のつく科目の一つです。

これらの科目に共通する考え方は、

  • 契約や返済条件に基づき
  • 1年以内分と1年超分に区分し
  • 1年以内分を流動資産・負債として表示する

という点にあります。


支払資金との関係

1年以内回収予定長期貸付金は、
流動資産に分類されますが、
支払資金には含まれません

これは、

  • 実際に現金が増減したわけではない
  • 固定資産から流動資産への表示上の組み替えである

ためです。

したがって、
この組み替え処理は、
資金収支計算書には影響しません


「1年以内」の起算日

「1年以内かどうか」を判断する際の基準日は、
決算日の翌日 です。

たとえば、
決算日が3月31日の場合、
4月1日から起算して1年以内に回収期限が到来する金額が、
1年以内回収予定長期貸付金に該当します。


まとめ

1年以内回収予定長期貸付金は、
長期貸付金のうち、
回収時期に着目して表示区分を変更するための科目です。

  • 長期貸付金を1年基準で区分すること
  • 1年以内分を流動資産として表示すること
  • 表示上の組み替えであり、資金の増減ではないこと

これらを整理して理解しておくことで、
決算や監査の場面でも、
落ち着いて対応しやすくなります。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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