その他の固定資産(土地)|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と考え方
はじめに
社会福祉法人が保有する資産は、その性質に応じて
基本財産、その他財産、公益事業用財産、収益事業用財産
に区分されます。(社会福祉法人審査基準上の資産の分類です)
このうち その他の固定資産 は、
基本財産には該当しないものの、
長期にわたって保有・使用される資産を整理する区分です。
その他の固定資産(土地)は、
基本財産に該当しない土地 を整理するための勘定科目です。
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厚生労働省の勘定科目の説明
(その他の固定資産)土地
出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
基本財産以外に帰属する土地をいう。
定義は簡潔ですが、
実務では 「基本財産に該当するかどうか」 の判断が重要になります。
社会福祉法人における資産区分の整理
社会福祉法人審査基準では、
法人の資産を次のように区分することが示されています。
- 基本財産
- その他の財産
- 公益事業用財産(公益事業を行う場合)
- 収益事業用財産(収益事業を行う場合)
社会福祉法人会計では、
このうち 基本財産以外の土地 は、
原則として その他の固定資産(土地) に区分されます。
基本財産(土地)との違い
その他の固定資産(土地)を理解するためには、
基本財産(土地)との違い を整理しておくことが重要です。
基本財産(土地)は、
- 社会福祉施設の敷地
- 法人存続の基礎となる重要な土地
として位置づけられ、
原則として 基本財産に区分しなければならない とされています。
これに対して、
その他の固定資産(土地)は、
- 社会福祉施設の敷地ではない土地
- 基本財産として定款で定められていない土地
が該当します。
その他の固定資産(土地)に該当する例
その他の固定資産(土地)として整理されるのは、
例えば次のような土地です。
- 公益事業に使用している建物の敷地
- 収益事業に使用している建物の敷地
- 将来利用を予定しているが、現時点では施設用地ではない土地
ただし、
これらの土地であっても、
法人が重要と判断し、定款で基本財産と定めた場合 には、
その他の固定資産ではなく、
基本財産(土地) に区分される点に注意が必要です。
土地の帳簿価額の考え方(購入した場合)
その他の固定資産(土地)であっても、
帳簿価額の考え方は、
基本財産(土地)と同様です。
土地を購入した場合の帳簿価額は、
次のように整理されます。
土地の帳簿価額
= 土地の購入代価 + 取得に要した付随費用
付随費用には、例えば次のようなものが含まれます。
- 仲介手数料
- 固定資産税等の精算金
- 土地造成費用
- 旧建物の解体費用(取得と一体のもの)
土地の帳簿価額の考え方(寄付を受けた場合)
土地の寄付を受けた場合には、
売買価額が存在しないため、
公正な評価額 により帳簿価額を決定します。
評価にあたっては、
- 公示価格
- 実勢価格
- 路線価
- 固定資産税評価額
などを参考に、
客観性と合理性のある方法 によって評価することが求められます。
評価額の妥当性については、
所轄庁に相談したり、
不動産鑑定士など専門家の意見を参考にすることも考えられます。
管理上の留意点
その他の固定資産(土地)は、
基本財産ではないものの、
多額になるケースもあり、
法人運営にとって重要な資産であることに変わりはありません。
そのため、
- 基本財産との区分が適切か
- 定款の定めと整合しているか
- 帳簿価額の算定が妥当か
といった点を、
定期的に確認しておくことが重要です。
まとめ
その他の固定資産(土地)は、
- 基本財産以外に帰属する土地であること
- 社会福祉施設の敷地以外の土地が中心となること
- 定款の定めにより、基本財産に切り替わる場合があること
- 帳簿価額の考え方は基本財産(土地)と同様であること
これらを整理して理解しておくことで、
決算や監査、所轄庁対応の場面でも、
資産区分について落ち着いて説明しやすくなります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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