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企業主導型保育事業 専門的財務監査

専門的財務監査のポイント③ 「2(2)予算」について ~企業主導型保育事業~

この記事の目次

企業主導型保育事業の専門的財務監査

企業主導型保育事業では、令和3年度から公認会計士等による「専門的財務監査」が実施されています。

今回はその中から、会計一般(2)予算、を分かりやすく解説します。

予算は単に「作るだけ」でなく、適正な手続き・管理・承認まで含めて確認される項目です。

児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。

🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui


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専門的財務監査の評価基準の内容とポイントの4コマ漫画
2 会計一般(2)予算 について

企業主導型保育事業の専門的財務監査の評価基準のうち予算について説明する4コマ漫画

🌟 1.予算に関する監査ポイントの全体像(ア〜ウ)

監査基準では次の3段階で確認されます。


● ア:年度末までに翌年度の予算書を作成しているか

監査のチェック内容

  • 翌年度の「経理区分ごとの予算書」が作成されているか(保育事業の予算)
  • 内容に不備がないか
  • 補正予算が必要な場合は作成されているか

社会福祉法人、株式会社その他の法人のポイント

  • 当初予算・補正予算の書類が揃っているか
  • 3月末までに理事会(または評議員会)で承認されているか
  • 企業主導型保育事業(拠点区分)の予算が明確に区分されているか

✔ 法人全体の予算内に埋もれてしまい、 企業主導型保育の予算が独立して見えないケースは指摘されやすいです。


● イ:予算を適切に運用(執行)しているか

監査のチェック内容

  • 予算は「事業計画に基づいて」作られているか
  • 支出は予算の範囲内で適切に行われているか
  • 予算と実績の差異管理(予実管理)」が行われているか

社会福祉法人、株式会社その他の法人のポイント

  • 毎月の予算管理ができているか
  • 予実管理の結果を記録(差異の理由など)として残しているか
  • 会計ソフトの出力だけで終わらず、分析が残っているか

● ウ:予算は規程に定められた機関で承認されているか

監査のチェック内容

  • 承認プロセスが明確か
  • 議事録に承認の記録が残っているか

社会福祉法人、株式会社その他の法人のポイント

  • 定款の規定に従い、 予算の理事会承認または評議員会承認確実に行われているか
  • 関係する議事録が整っているか(理事会+評議員会の両方になる場合あり)

🌱 2.アの解説:年度末までに翌年度予算を作成する

社会福祉法人は、もともと年度末に翌年度予算を作る文化がありますが、企業主導型保育は「法人格によって慣習が異なる」点が特徴です。

法人、事業者が確認すべきこと

  • 企業主導型保育「拠点」の予算が独立して作成されているか
  • 補正予算が必要な場合は適切に対応しているか
  • 予算書に不整合(計算ミス、科目漏れなど)がないか

🌱 3.イの解説:予算の管理(予実管理)

(1)経理規程の確認

多くの法人でモデル経理規程をベースにしており、そこに「予算管理」と「予算管理表その他の作成」が規定されています。

例:モデル経理規程

  • 主要簿
  • 補助簿
  • その他の帳簿 → 予算管理表

→ 規程に定めてある場合、作成が必要です。

(2)予算管理表のポイント

予算管理表には

  • 予算額
  • 実績額
  • 差額
  • 差額の理由・原因

を記録し、大きな差が出ている科目は分析を残すのが望ましいです。

会計ソフトの出力機能に頼るだけでなく、「分析・記録」が残っているかが監査の視点です。

(3)月次報告も重要

モデル経理規程には、「拠点区分ごとの月次試算表を理事長(代表取締役その他)へ毎月提出する」という規定があります。

→ 月次報告が行われていない場合、 監査だけでなく指導監査でも指摘されやすい部分です。


🌱 4.ウの解説:予算の承認手続き

予算の承認は「定款に基づく手続き」が必要です。

● 理事会承認の場合(取締役会の場合)

  • 理事会議事録に「予算承認の議決」を記録

● 評議員会承認の場合(株主総会や社員総会の場合)

  • 理事会で「評議員会を招集する決議」
  • 評議員会に提出する予算案の承認
  • 評議員会での「予算承認」
  • 評議員会議事録で記録

複雑に見えますが、監査では 議事録の有無・内容・日付 まで確認されます。


🌟 5.まとめ:予算は作って終わりではなく「管理」まで含めて監査される

企業主導型保育の予算に関する監査では、次が重要ポイントです。

✔ 拠点ごとの予算が年度末までに作成されている

✔ 補正予算の作成も適切

✔ 月次で予算管理(予実管理)が行われている

差異の分析・理由の記録が残っている

理事会/評議員会の承認が適切に行われている

予算書・予算管理表・月次報告・議事録、この4つは監査の主要資料になります。


(参考)専門的財務監査の評価基準と社会福祉法人のポイント解説

専門的財務監査の評価基準と項目ごとの社会福祉法人のポイントを掲載しています。

区分監査事項評価事項社会福祉法人のポイント
事業年度末に翌年度の経理区分ごとの予算書を作成しているか確かめる。・作成されていない。
・作成されているが、内容に不備、誤り等がある。
○当初予算、補正予算の書類(予算書)などを確認します。
○3月末までに、理事会(または評議員会)が開催されて、翌年度予算の承認を受けているか
予算は事業計画に基づき作成し、予算の範囲内で支出するよう適切に運用しているか確かめる。・適切に運用されていない。○予算の管理(差引)や月次報告がされているか
○予算と実績の管理(予実管理)のを行なった記録を残しているか。
予算が規程に定められた機関で承認されていることを確かめる。・承認の過程が不明確である。○理事会(または評議員会)で承認をされているか。議事録を確認しましょう。


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5年度5年度5年度5年度
6年度6年度6年度6年度

企業主導型保育事業に関する4コマ漫画

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記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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