企業主導型保育事業 専門的財務監査のポイント⑥ 「2(5)発注」について
企業主導型保育事業の専門的財務監査
令和3年度から、企業主導型保育事業に対して専門的財務監査が行われます。
専門的財務監査は、監査法人(公認会計士等)によって行われることになります。
児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。
今回は、2 会計一般(5)発注 について
専門的財務監査の評価基準の内容とポイント
2 会計一般(5)発注 について
専門的財務監査の評価基準の内容の横に、ポイントとなるところを記載していきます。
監査事項 | 評価事項 | 社会福祉法人のポイント | |
ア | 保育事業に関わる発注については、経理規程や内部規程でその手続が定められているか確かめる。 | ・発注に関しての経理規程が定められていない。 ・規程はあるが内容に不備がある。 | ○法人の契約担当者を確認しましょう (経理規程及びその他の規程) ○経理規程以外の内部の規程の有無を確認する |
イ | 一定の金額以上のものについては、事前に発注伺い等により発注責任者の承認を得て行っているか確かめる。 | ・事前に承認を得て行っていない。 | ○理事会決議及び理事長等の決裁を確認しましょう |
アの解説 発注手続きの規程
発注について
今回は、「発注」というテーマです。
社会福祉法人の(モデル)経理規程には、「発注」という言葉は、用いられていませんね。

「発注」とは、
注文を出すことを言いますね(申込み)。

民法では
契約は、買い手側の申込みに対して、売り手側が承諾をした時に成立すると定められています。
民法522条(契約の成立と方式)
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
発注を行う者
発注は、契約が成立するための手続きになることから、理事長または契約担当者の名前で、発注を行う必要があります。
法人の経理規程では下のように規定されていると思います。経理規程を確認してみましょう。
モデル経理規程(例)
(契約機関)
第71条 契約は、理事長又はその委任を受けた者(以下「契約担当者」という。)でなければこれをすることができない。
2 理事長が契約担当者に委任する場合には、委任の範囲を明確に定めなければならない。
保育事業に係る発注書や注文書の控えがきちんと残っているか。
発注者の名前はどのようになっているか確認してみましょう。
イの解説 発注責任者の承認
発注を行う際の承認手続きがきちんと行われているかの確認になります。

必要となる承認手続きがなされているかです
1から学べる社会福祉法人会計 勉強会の中の該当テーマ
令和3年8月、9月開催の1から学べる社会福祉法人会計勉強会は、2回にテーマの継続性を持たせて
社会福祉法人の役員会と契約事務について、お話をしました。
社会福祉法人のみなさんには、2回の勉強会をセットにして、ぜひ聞いて欲しい内容になっています。
次回はこのテーマです。
⑦ 「3 収入(1)助成金(整備費・運営費等)収入<勘定残高と実際残高の照合>」 専門的財務監査の記事の一覧はこちら
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この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士 スマート介護士
マツオカ会計事務所 代表
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、お客様から聞かせてもらった「福祉は私の人生の使命」という言葉に感銘を受け、この言葉を支えるために、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
約20年間、社会福祉法人と一緒になり、法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
