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企業主導型保育事業 専門的財務監査

専門的財務監査のポイント⑨ 「3 収入⑵その他収入」について ~企業主導型保育事業~

この記事の目次

企業主導型保育事業の専門的財務監査

企業主導型保育事業では、助成金以外にもさまざまな収入があります。

  • 保育料(保護者負担)
  • 共同利用企業からの利用料・契約料
  • 一時預かり・病児保育などの事業収入
  • 利息・寄付・職員からの徴収など

こうした収入についても、適正な処理・保管・報告ができているか が監査でチェックされます。

児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。

🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui


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専門的財務監査の評価基準の内容とポイントの4コマ漫画
3 収入(2)その他収入

企業主導型保育事業の専門的財務監査の評価基準のうち助成金以外の収入手続きについて説明する4コマ漫画

🌟 1.その他の収入に関する監査ポイント(ア〜キ)


● ア:各収入の領収書発行・承認・帳簿との一致

監査が確認する内容

  • 領収書を発行しているか
  • その控えが残っているか
  • 会計責任者の承認があるか
  • 領収書と帳簿の金額が一致しているか

ポイント

  • 領収書控えは監査で必ず確認される
  • 領収書の番号と帳簿の突合が重要

● イ:児童育成協会へ報告した収入金額との一致

児童育成協会の収支決算書(WEB報告)と、決算書の金額が一致しているかが確認されます。

よくある不一致の原因

  • 小規模な収入の計上漏れ
  • 実績値と報告値の月ズレ
  • 共同利用料の扱い間違い

● ウ:運営費対象経費を保護者から別徴収していないか

これは 重大な指摘事項 になりやすい項目です。

運営費で賄うべき経費を、保護者から個別徴収するのはNG。

NGの例(徴収不可)

  • 冷暖房費
  • 寝具一式
  • ティッシュ、連絡帳
  • 入園料 など

(後の章で具体的なリストを整理)


● エ:現金収入はすぐに銀行に預け入れているか

監査の視点

  • 現金で受け取った収入を、そのまま支出に回していないか
  • 経理規程どおりに預け入れているか
  • 通帳と帳簿の一致が確認できるか

● オ:現金収入は日々記帳できているか

現預金出納帳を日々つけているか確認されます。

✔ 数日分をまとめて記帳はNG
✔ 毎日記帳 → 現金実査につながる


● カ:現金実査を行っているか

現金の「帳簿残高」と「実際残高」が一致しているかを日々確認。

  • 実査を行った記録があるか
  • 現金実査表が残っているか

● キ:現金実査表に上長の承認があるか

  • 会計責任者の承認印があるか
  • 実査者と承認者が同じになっていないか

監査では承認の有無を非常に重視します。


🌱 2.保護者から“徴収できる経費”と“できない経費”

その他の収入で特に重要なのが

何を実費徴収できるのか(OK)
何を徴収してはいけないのか(NG)

という区別です。


✔ 保護者から徴収できる経費(OK例)

(個人用の物品や、個人の選択に基づく費用)

  • 帽子・名札
  • 制服・体操着・スモック
  • お道具箱・文具類(クレパス・鉛筆など)
  • 写真・アルバム・DVD
  • おむつ・おむつ処理費
  • コップ・箸・スプーン・歯ブラシ
  • 個人加入の保険料
  • 遠足積立金、宿泊行事費
  • 3歳以上の主食・副食費(保育所と同様に徴収可)

※多くは「個人別の利用・所有に帰属するもの」。


✔ 保護者から徴収できない経費(NG例)

(本来、運営費で賄うべきもの)

  • 敷布団・掛布団などの寝具
  • 冷暖房費
  • ティッシュ
  • 連絡帳
  • 入園料

✔ とくに冷暖房費・寝具の費用は監査でも必ず見られるポイント。


✔ 実費徴収するときの注意(必須)

実費徴収は、

  • 使途
  • 金額
  • 徴収理由
  • 説明
  • 同意

を「事前に書面」で示す必要があります。


🌱 3.現金収入の管理(超重要)

その他の収入で最も指摘が多いのが現金管理です。

現金は必ず “現金収入 → 預け入れ → 帳簿反映” の流れ

現金を受け取った瞬間に経費支払いへ使うのはNG

日々の現金実査が必須(実査表+承認印)


🌱 4.その他の収入と助成金専用口座の区分

助成金は専用口座で受入れる必要がありますが、その他の収入は

専用口座とは別の口座で扱うのが望ましい

混在させると

  • 助成金の流用
  • 入金の突合が困難
  • 説明が複雑
    になり、監査で指摘されます。

🌱 5.その他の収入で確認すべき 4つの手続き

下記4つが整っていれば、監査ではほぼ問題になりません。

① 領収書の発行と承認

② 現金収入の速やかな預け入れ

③ 現金を支払いに直接使わない

④ 現金実査(記録+承認)


🌟 6.まとめ:その他の収入は「正しい処理+現金管理」が鍵

その他の収入に関する監査では、次が必須ポイントです。

✔ 領収書の発行と承認

✔ 帳簿と領収書の一致

✔ 協会報告と決算書の一致

✔ 徴収OK/NGの理解

✔ 現金の預け入れルール

✔ 現金実査と承認

✔ 助成金口座との区分

これらを整理しておけば、助成金以外の収入に関する指摘はほぼ防げます。

(参考)専門的財務監査の評価基準と社会福祉法人のポイント解説

専門的財務監査の評価基準と項目ごとの社会福祉法人のポイントを掲載しています。

区分監査事項評価事項社会福祉法人のポイント
・保育料収入(保護者から徴収する基本保育料や延長保育料、実費徴収の収入等)

・共同利用収入(共同利用契約を締結している企業から受け取る利用料・契約料の収入等)

・その他の事業収入(一時預かり事業、病児保育事業の収入)

・その他の収入(預金の受取利息、職員から徴収する寮費や給食代、寄付による収入等)

については、領収書を発行し、会計責任者の承認を得るなど、適正な収入処理が行われているか確かめる。
・適正な収入処理が行われていない。

・収入処理に一部不備等がある。
○収入について領収書を発行しているか(領収書控え)

○会計責任者の承認を受けているか

○領収書の控えと会計帳簿(各収入科目)の金額は一致しているか。
収入として計上されている金額は、
児童育成協会に報告した収支決算書に記載されている金額と一致しているか確かめる。
・不一致の場合、その理由が明確になっていない。○児童育成協会へwebで報告する際に、計算書類(決算書)を基に正しく入力できているか。
運営費の対象となっている経費を
保護者から別途徴収していないか確かめる。
・不適切な徴収をしている。○徴収不可の経費を保護者から徴収していないか
現金収入は直ちに支出に充てることなく、
金融機関に預け入れているか確かめる。
・金融機関に預け入れず、支出に充てている。○(小口)現金(支払用)と、収入された現金を分けて管理できているか。

○通帳の入金額と、収入金額が一致しているか
現金収入は、現預金出納帳を作成し、日々記帳しているか確かめる。・数日分をまとめて記帳している。○現金出納帳は、日々、記帳ができているか。
現金実査を原則日々実施しているか確かめ、帳簿の現金残高と実際現金残高の一致を確かめる。・現金実査を行っている形跡がない○現金実査を行っているか。
小口現金及び現金残高を実査し、実査表を作成し上長の承認を得ているかを確かめる。・上長の承認を得ていない○現金実査表を作成して、会計責任者などの押印が適切にされているか。

保護者から徴収可能な経費の例

  • 帽子、名札、制服・体操着、IDカード、写真、アルバム、DVD、自由画帳、個人用の物品等(オムツ、オムツ処理費、お尻ふき、コップ・箸・スプーン、歯ブラシ、のり、鉛筆、マーカー、はさみ、クレパス、ゴム印、教材費、シール、スモック、お道具箱、文具セット、ワークブック、カスタネット、衣類)
  • 遠足積立金、宿泊行事費、展覧会見学費、保護者に係る費用(保育参加時給食費、遠足費用)、イベント費用
  • 3歳以上の児童の主食/副食の提供に係る費用、布団カバー、タオルタオルケット、布団カバー等の洗濯代、夕食・夕方の補食代
  • 個人ごとに任意に加入する保険の保険料、駐車場利用料、防災頭巾

などが想定されています。

保護者から徴収できない経費の例

敷布団、掛布団等の寝具、冷暖房費、ティッシュペーパー 、連絡帳、おしぼり、入園料

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(2)経理規程・関連規程

発注規程
企業主導型保育事業の発注規程
積立資産管理規程
企業主導型保育事業の積立資産管理規程
助成金取扱規程
企業主導型保育事業の助成金取扱規程
寄附金関係書類
企業主導型保育事業の寄附金関係書類

②会計・財務コンサルティングサービス


企業主導型保育事業 各監査での指摘事項 令和4年度~令和6年度

下のリンクから指摘事項のページに進みます。

専門的財務監査専門的労務監査立入調査午睡時抜き打ち調査
4年度4年度4年度4年度
5年度5年度5年度5年度
6年度6年度6年度6年度

企業主導型保育事業に関する4コマ漫画

「まんがの部屋」コーナーでは、内容ごとに4コマ漫画で説明しています。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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