勘定科目の解説「国庫補助金等特別積立金」社会福祉法人会計
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厚生労働省の勘定科目の説明 国庫補助金等特別積立金
国庫補助金等特別積立金
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
会計基準省令第6条第2項に規定された国庫補助金等特別積立金をいう。
勘定科目説明の解説
国庫補助金等特別積立金についての規定
社会福祉法人会計基準には、国庫補助金等特別積立金について以下のように規定されています。
第六条
社会福祉法人会計基準
2 国庫補助金等特別積立金には、社会福祉法人が施設及び設備の整備のために国、地方公共団体等から受領した補助金、助成金、交付金等(第二十二条第四項において「国庫補助金等」という。)の額を計上するものとする。
積立の対象となる補助金には、
施設及び設備整備のために受領した補助金、助成金、交付金等となっていますね。
交付金等
交付金等の「等」の例としては、民間公益補助事業による助成金があります。(民間公益補助事業には、競輪振興法人や共同募金会が窓口になられている「公益財団法人中央競馬馬主社会福祉財団」、「公益財団法人車両競技公益資金記念財団」の補助事業があります(共同募金会のHPより)
会計基準の規定を受けて、厚生労働省の通知によりますと国庫補助金等特別積立金に計上する補助金は以下のようになります。
NO. | 内 容 |
---|---|
① | 施設及び設備の整備のために、国や地方公共団体等から受領した補助金 |
② | 設備資金借入金の返済時期に合わせて交付される補助金等のうち、施設整備時又は設備整備時においてその受領金額が確実に見込まれており、実質的に施設整備事業又は設備整備事業に対する補助金等に相当するもの |
10 国庫補助金等特別積立金への積立てについて(会計基準省令第6条第2項、第 22 条第4項関係)
社会福祉法人会計基準の運用上の取り扱い
会計基準省令第6条第2項に規定する国庫補助金等特別積立金として以下のものを計上する。
(1)施設及び設備の整備のために国及び地方公共団体等から受領した補助金、助成金及び交付金等を計上するものとする。
(2)設備資金借入金の返済時期に合わせて執行される補助金等のうち、施設整備時又は設備整備時においてその受領金額が確実に見込まれており、実質的に施設整備事業又は設備整備事業に対する補助金等に相当するものは国庫補助金等特別積立金に計上するものとする。
また、会計基準省令第6条第2項に規定する国庫補助金等特別積立金の積立ては、同5項に規定する国庫補助金等の収益額を事業活動計算書の特別収益に計上した後、その収益に相当する額を国庫補助金等特別積立金積立額として特別費用に計上して行う。
基本金の会計処理
積立ての処理(補助金受領時)
国庫補助金等特別積立金にすべきものとして受領した補助金は事業活動計算書の特別収益の部にいったん計上された後、同じ金額(国庫補助金等特別積立金の計上額に相当する金額)を特別費用の部において、国庫補助金等特別積立金積立額として計上します。
例
①新施設の建設のために、100万円の補助金を口座振込で受け入れた。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金額 |
普通預金 | 100万円 | 施設整備等補助金収益 | 100万円 |
② ①で受け入れた補助金に相当する金額を、国庫補助金等特別積立金として積立てた
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
国庫補助金等特別 積立金積立額 | 100万円 | 国庫補助金等特別積立金 | 100万円 |
取崩しの処理
国庫補助金等特別積立金に計上された金額は、毎年度、国庫補助金等により取得した資産が、減価償却等によって事業費用に計上される際に、事業費用と対応させる形で、相当する部分について取崩しの処理が行われることになります。
また、国庫補助金等により取得した資産が、廃棄または売却された場合には、その時点で、その資産の国庫補助金等特別積立金の帳簿価格の取崩しを行います。
例
①新施設を100万円で建設し、建設費のうち国庫補助金等の補助金を50万円受領した。
毎会計年度、減価償却費を10万円計上する
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金額 |
減価償却費 | 10万円 | (基)建物 | 50万円 |
国庫補助金等特別積立金取崩額 | △10万円 | 国庫補助金等特別積立金 | △10万円 |
② ①の建物を廃棄することになった。 建物の帳簿価格50万円
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
建物売却損・処分 損 | 50万円 | (基)建物 | 50万円 |
国庫補助金等特別 積立金取崩額(除 却等) | △25万円 | 国庫補助金等特別積立金 | △25万円 |
(参考)非償却資産である土地に対する国庫補助金等は、原則として、①のように毎会計年度の取崩しは行われず、土地を保有する限り、国庫補助金等特別積立金は純資産に計上され続けることになります。
なお、土地の売却があったには、②と同様の処理が行われることになります。
決算時の確認
決算では、附属明細書にも、当年度に国庫補助金等特別積立金に積立てた金額や取崩した金額を記載していきます。附属明細書の記載と一致しているか確認をしていきましょう。
補助金の交付目的
施設整備などのための補助金は、施設建設のコスト負担を軽減させることで、法人のサービス提供のためのコストを軽減させることにつながります。このことを通じて利用者さんの負担を軽減させることが、補助金の目的と言われています。
簡単な説明です
国庫補助金等特別積立金
施設整備などのための補助金は、受領した会計年度のみの収益とせずに、補助金を原資に取得した資産を利用する期間において按分していこうという趣旨で、補助金の金額をいったん積立てた上で、毎年取崩しを行っていきます。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
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マツオカ会計事務所のストーリー
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。