国庫補助金等特別積立金|社会福祉法人会計における位置づけと考え方
はじめに
国庫補助金等特別積立金は、施設や設備の整備のために受け入れた補助金等を純資産として計上するための科目です。
社会福祉法人では、建物や設備の整備にあたって、国や地方公共団体などから補助金を受けることがあります。
その補助金は、単年度の収益として処理するのではなく、資産の利用期間に対応させて処理する仕組みになっています。
この考え方に基づき設けられているのが、国庫補助金等特別積立金です。
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厚生労働省による勘定科目の説明
国庫補助金等特別積立金
会計基準省令第6条第2項に規定された国庫補助金等特別積立金をいう。
この科目の具体的な内容は、社会福祉法人会計基準第6条第2項に規定されています。
会計基準における規定
会計基準では、次のように定められています。
第六条
2 国庫補助金等特別積立金には、社会福祉法人が施設及び設備の整備のために国、地方公共団体等から受領した補助金、助成金、交付金等の額を計上するものとする。
つまり、
施設や設備の整備のために受領した補助金等が、この積立金の対象となります。
積立の対象となる補助金
通知では、主に次の補助金が対象とされています。
① 施設・設備整備のための補助金
国や地方公共団体などから受領した、施設整備や設備整備のための補助金です。
② 実質的に施設整備補助金と同じ性格のもの
設備資金借入金の返済時期に合わせて交付される補助金のうち、
- 施設整備時に受領が確実に見込まれているもの
- 実質的に施設整備事業に対する補助金と同じ性格のもの
についても、国庫補助金等特別積立金として処理されます。
積立ての会計処理
補助金を受領したとき、直接積立金に計上するのではありません。
処理は次のように行います。
① 補助金受領時
(借方)普通預金
(貸方)施設整備等補助金収益
まず、事業活動計算書の特別収益として計上します。
② 積立処理
(借方)国庫補助金等特別積立金積立額
(貸方)国庫補助金等特別積立金
収益と同額を特別費用として処理し、純資産に積み立てます。
国庫補助金等特別積立金の取崩し
この積立金は、補助金を受けて取得した資産の利用期間に対応して、毎年度取り崩されます。
例えば、
- 補助金で建物を建設
- 建物を減価償却
この場合、減価償却費の計上に対応して、同じ割合で積立金を取り崩します。
この仕組みにより、
補助金の効果を資産の利用期間にわたって配分する
ことになります。
資産処分時の取崩し
補助金で取得した資産を
- 売却
- 廃棄
- 除却
した場合には、その時点で残っている積立金を取り崩します。
土地など非償却資産の場合
土地などの非償却資産については、
- 毎年の減価償却がない
- したがって毎年度の取崩しも行わない
という扱いになります。
土地を保有している間は、国庫補助金等特別積立金は純資産として計上されたままとなります。
決算時の確認ポイント
決算では、次の点を確認します。
- 当年度の積立額
- 当年度の取崩額
- 附属明細書との整合
附属明細書に記載された金額と一致しているかを確認することが重要です。
補助金制度の趣旨
施設整備の補助金は、
- 施設建設の負担を軽減する
- 法人の運営コストを下げる
- 利用者負担の軽減につなげる
という目的で交付されています。
そのため、補助金は単年度の利益として処理するのではなく、
資産の利用期間に応じて配分する仕組みが採用されています。
まとめ
国庫補助金等特別積立金は、
- 施設や設備整備のための補助金を計上する純資産
- 補助金受領後に積立処理を行う
- 減価償却に対応して毎年度取り崩す
という特徴を持つ科目です。
社会福祉法人の財務諸表では、
施設整備の財源構造を示す重要な科目となります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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