勘定科目の解説 利用者等利用料収入 施設サービス利用料収入 居宅介護サービス利用料収入 地域密着型介護サービス利用料収入 社会福祉法人会計
「ホームページ利用上のご注意について」をお読み頂き、これらの条件にご同意の上ご利用ください。 |
説明の内容
管理職になり、初めて社会福祉法人の会計に接することになったお客様へ、 「自分は会計の初心者だ」と思っておられる方々へ、 社会福祉法人会計で用いる勘定科目のイメージを持ってもらうための簡単な説明になります。始めたきっかけはこちら |
厚生労働省の勘定科目の説明 ○○サービス利用料収入
施設サービス利用料収入
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
介護保険の利用者等利用料収入で施設サービス利用料収入をいう。
(介護保険法の給付等に関する省令・告示において支払いを受けることができることとされている理美容料、日常生活サービス料等)
居宅介護サービス利用料収入
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
介護保険の利用者等利用料収益で居宅介護サービス利用料収入をいう。
(介護保険法の給付等に関する省令・告示において支払いを受けることができることとされている送迎費、おむつ料、日常生活サービス料等)
地域密着型介護サービス利用料収入
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
介護保険の利用者等利用料収益で地域密着型介護サービス利用料収入をいう。
(介護保険法の給付等に関する省令・告示において支払いを受けることができることとされているサービス料等)
科目の簡単な説明をしてみましょう

利用者等利用料収益の小区分 施設サービス利用料収入、居宅介護サービス利用料収入、地域密着型介護サービス利用料収入
介護サービスの本人負担の利用料(介護給付の本人負担分は含まれない)の金額のうち、食費や居住費以外の金額。利用者の自由選択に基づく、サービス提供と関連する利用料で、厚生労働省令により受領が認められているもの。科目名にあるように、サービスによって科目が異なることに注意。
収入と収益の違いについて
資金収支計算書と事業活動計算書
まず、収入と収益の違いについて、説明をしていきます。
資金収支計算書では、「収入」と「支出」という表現を使い、事業活動計算書では、「収益」と「費用」という表現を使っています。
計算書類名 | プラスの科目 | マイナスの科目 |
資金収支計算書 | 収入 | 支出 |
事業活動計算書 | 収益 | 費用 |
計算する対象の違い
資金収支計算書と事業活動計算書では計算の対象が異なるため、「収入」と「収益」のように表現が異なっています。
計算書類名 | 計算の対象 | 計算の考え方 |
資金収支計算書 | (支払)資金 | 法人のお金が 増えたor減った を計算する |
事業活動計算書 | 増減差額 | 法人の純然たる財産が 増えたor減った を計算する |
社会福祉法人の計算書類(資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表)の関係を簡単に表すと下のようになります。

ポイント 計算する対象の違い
資金収支計算書は、貸借対照表の緑色の部分、支払資金(流動資産ー流動資産)の1年間の増減を計算します。
事業活動計算書は、貸借対照表の青色の部分、純資産の1年間の増減を計算します。
法人のお金が増えることは、法人の純然たる財産が増えることと、ほとんど同じと想像することができるように、資金収支計算書と事業活動計算書では、同じような科目名(○○収入、○○収益)が用いられています。
自分自身の財布の中のお金が増えることは、自分自身の財産が増えると考えられます。
ただし、借入金のように、財布のお金は増えるけれども、自分自身の財産は増えないということがあるように、
必ずしも、お金の増減と純資産の増減は一致(対応)しないことがあります。
資金収支計算書と事業活動計算書とを見比べると、分かってきますね。
勘定科目説明の解説
収入科目の解説について
資金収支計算書の収入科目については、中区分の分類を用いながら小区分の科目を解説していきます。
利用者等利用料収入
今回、解説する勘定科目の体系は下のようになっています。
大区分 | 中区分 | 小区分 |
介護保険事業収入 | 利用者等利用料収入 | 施設サービス利用料収入 |
居宅介護サービス利用料収入 | ||
地域密着型介護サービス利用料収入 | ||
(「食費収入」以下は、次回に) |

大区分は、「介護保険事業収入」とあるように、介護保険制度に基づく事業の区分になりますね。

そして今回の中区分は、「利用者等利用料収入」になります。
介護保険の本人負担分以外の、ご本人が負担する利用料になります。一般的に「利用料」と呼ばれている収入ですね。理美容料などがイメージしやすいですね。
厚生労働省令等により、収受できる利用料の範囲が決まっています。
ポイントは、下のイメージです。
① | 利用料は、サービスごとに科目が分かれる。 |
② | 食費、居住費は、小区分に別の科目に計上する |
③ | 厚生労働省令で定められた(サービス)利用料を計上する |
ポイントの解説
①施設サービス、居宅介護サービス、地域密着型サービスについて、利用料を計上する科目(小区分)は別々になっています。
②利用料のうち、食費や居住費については、別の科目が設けられています。
③厚生労働省令等により収受することができる利用料を計上していきます。
厚生労働省令
利用料について規定されている厚生労働省令
施設サービス | 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 等 |
居宅介護サービス | 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 |
地域密着型介護サービス | 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 |
日常生活サービス料
日常生活サービス料のポイントは下のようになります。
① | 日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるもの |
② | 入所者・利用者(またはその家族等)の自由な選択制であること |
③ | サービスの提供と関係のある費用であること |
④ | 重要事項説明書により、あらかじめ、入所者・利用者(またはその家族)に対し、当該サービスの内容及び費用を記した文書を交付して説明を行い、入所者・利用者(またはその家族)の同意を得たもの。 |
簡単な説明をもう一度

利用者等利用料収益の小区分 施設サービス利用料収入、居宅介護サービス利用料収入、地域密着型介護サービス利用料収入
介護サービスの本人負担の利用料(介護給付の本人負担分は含まれない)の金額のうち、食費や居住費以外の金額。利用者の自由選択に基づく、サービス提供と関連する利用料で、厚生労働省令により受領が認められているもの。科目名にあるように、サービスによって科目が異なることに注意。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
勘定科目の解説の一覧
勘定科目の解説の記事の一覧はこちら
本のご案内の記事一覧
勉強会のご案内

- 会計を上手く説明したい時に
1から学べる社会福祉法人会計 勉強会 - 「書籍版(絵本のタイプ)」
1から学べる社会福祉法人会計 計算書類3部作 - 「動画版」
1から学べる社会福祉法人会計 勉強会
この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士 スマート介護士
マツオカ会計事務所 代表
平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、お客様から聞かせてもらった「福祉は私の人生の使命」という言葉に感銘を受け、この言葉を支えるために、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
約20年間、社会福祉法人と一緒になり、法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
