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企業主導型保育事業 専門的財務監査

専門的財務監査のポイント⑫ 「4 支出(2)運営費 ①人件費関連経費 1)完了報告書内の収支決算書」について ~企業主導型保育事業~

企業主導型保育事業の専門的財務監査

企業主導型保育事業では、令和3年度から専門的財務監査専門的労務監査 が導入されました。

人件費はこの2つの監査が重なる領域であり、

  • 給与台帳
  • 勤怠記録
  • 収支決算書
  • 総勘定元帳

など、「労務の記録」と「会計の記録」がすべて一致しているか が見られるため、監査の中でもとても重要な項目です。

児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。

🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui


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専門的財務監査の評価基準の内容とポイント
4 支出(2)運営費
  ①人件費関連経費
    1)完了報告書内の収支決算書

企業主導型保育事業の専門的財務監査の評価基準のうち人件費関係の支出手続きについて説明する4コマ漫画

🌟 1.人件費関連の監査ポイント(ア〜ウ)


● ア:専門的労務監査の改善事項のフォローアップ

監査で確認される内容

  • 労務監査で受けた指摘を改善しているか
  • 改善内容が財務処理に反映されているか

ポイント(法人側の対応)

  • 労務監査の「立入調査結果通知書」を確認
  • 指摘事項の改善記録(報告書・会議資料)を保管
  • 改善後の勤怠・配置・契約内容が会計に反映されているか説明できる状態に

● イ:労務監査の指摘のうち“会計に影響がある部分”を修正したか

監査人は、労務監査の内容を踏まえて、会計処理に影響が出る部分を重点的に見ます。

代表的な内容

  • 職員配置基準違反 → 人件費の計上漏れ・過大計上
  • 休憩取得の扱い → 超過勤務の計上誤り
  • 契約時間と実労働のズレ → 給与台帳との不一致

ポイント

  • 労務監査と財務監査は “別物ではなく連動している”
  • 記録・手続き・会計数字が全部一貫していることが必要

● ウ:収支決算書(運営助成金最終確定計算書)と帳簿の一致

監査で必ず突合されるもの

  • 給与台帳
  • 勤怠記録(タイムカード)
  • 総勘定元帳の人件費勘定
  • 収支決算書(完了報告書)

✔ いずれかが不一致 → 指摘・再提出の対象

ポイント(法人側でやるべきこと)

  • 給与台帳の毎月の金額と総勘定元帳を一致させる
  • 総勘定元帳の金額と収支決算書の金額を一致させる
  • 手当・福利厚生費など細かい科目も突合する
  • 金額の“根拠資料”をすぐ提示できる状態にしておく

🌱 2.「人件費は労務と財務の両方」がポイント(実務の視点)

人件費関連の監査では、次の3つが揃っているかが問われます。

① 支給額の根拠(給与台帳・雇用契約・勤務時間)

② 実績(勤怠記録)

③ 会計処理(総勘定元帳・収支決算書)

これら3つがすべて一致している必要があります。


● 給与台帳・勤怠記録が重要

  • 台帳に記載された金額
  • タイムカードや勤怠ソフトの記録
  • 雇用契約の労働時間

これらの間に不整合があると、
財務監査での数字(会計処理)にも影響するため
「労務→財務」の流れで見られます。


● 総勘定元帳との突合

総勘定元帳の人件費勘定は、

  • 基本給
  • 職務手当
  • 時間外
  • 賞与
  • 法定福利費

などに分かれます。

台帳の合計と帳簿の金額が一致しているか、監査ではサンプル抽出を行い1ヶ月単位で確認が行われます。


🌱 3.収支決算書(完了報告書)の確認ポイント

運営助成金の最終確定の際に提出する「収支決算書」は、監査では 会計数値の最終版 として扱われます。

そのため、次の一致が必須になります。

✔ 給与台帳

✔ 総勘定元帳

✔ 収支決算書(完了報告書)

✔ 補助簿(給与明細・賃金台帳)

一致しない場合の原因例

  • 手当の仕訳漏れ
  • 賞与の計上月ズレ
  • 勤怠データの修正漏れ
  • 台帳更新の抜け
  • 会計処理が月次で遅れている

🌟 4.まとめ:人件費は「労務・財務の一貫性」が命

人件費関連の監査では、次の点が重要になります。

✔ 労務監査の指摘を改善し、財務処理に反映している

✔ 給与台帳・勤怠記録が整備されている

✔ 台帳と総勘定元帳が一致

✔ 総勘定元帳と収支決算書が一致

✔ 根拠資料(台帳・勤怠)がすぐ提示できる

人件費は金額が大きく、助成金の算定にも直結するため、監査では最も丁寧に確認される分野です。

(参考)専門的財務監査の評価基準と社会福祉法人のポイント解説

専門的財務監査の評価基準と項目ごとの社会福祉法人のポイントを掲載しています。

区分監査事項評価事項社会福祉法人のポイント
立入調査・専門的労務監査が、専門的財務監査前に行われている場合は、

事前にその監査結果等について理解を行い、人件費関連の監査でフォローアップを行う。
・フォローアップの結果、重要な改善が見られない。

・改善が不十分。
○専門的労務監査を既に受けている場合には、立入調査結果通知書(専門的労務監査)の改善事項について、改善を行ったことが説明できるようにしておきましょう。
立入調査・専門的労務監査結果を確認し、
会計上影響のある指摘事項が修正されているか確認する。
・まったく修正されていない。

・修正が不十分。
○アの改善事項について、改善ができていない項目がないか確認しましょう。

○改善未実施の項目があれば速やかに改善しておきましょう。
収支決算書(運営助成金最終確定計算書)の人件費関連経費については

正規の帳簿及び損益計算書をベースに計上されていることを決算書、総勘定元帳や補助簿等と照合を行い確かめる。
・計上額の根拠帳簿や明細を示すことができない。

・計上額の根拠資料に不十分な面がある。
○人件費の計上根拠となる給与台帳(賃金台帳)、タイムカード等の勤怠記録が整っているか確認しましょう。

○給与台帳の毎月の金額と、総勘定元帳の人件費関連の各科目に記帳された金額が一致していることを確認しましょう。

○収支決算書と、総勘定元帳の人件費関連の各科目の金額が一致していることを確認しましょう。
参照「運営費・施設利用給付費年度報告並びに処遇改善加算の実績報告手続きについて(修正令和2年4月8日)」

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企業主導型保育事業 各監査での指摘事項 令和4年度~令和6年度

下のリンクから指摘事項のページに進みます。

専門的財務監査専門的労務監査立入調査午睡時抜き打ち調査
4年度4年度4年度4年度
5年度5年度5年度5年度
6年度6年度6年度6年度

企業主導型保育事業に関する4コマ漫画

「まんがの部屋」コーナーでは、内容ごとに4コマ漫画で説明しています。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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